第241話
「では、氏政様が離れられていた間の北条の動きと周辺国についてです。」
幻庵が場を取り仕切り進行していく。まずは内政面からである。
「私めが差配しておりました地域は、相模武蔵です。こちらは前々から御屋形様が進めておられた内政を引き継ぎ発展させました。収入は安定しており、新たにやってきた商人や流人などの管理もできておりまする。」
次に発言したのは叔父である綱成だ。本人からは武一辺倒だが、配下に付いている者たちでなんとか回しているのだろう。と言っても正木兄弟や原親子などこちらも武一辺倒の者たちばかりなのだが。
「俺が預かっていた駿東と伊豆は特に変わりなしだ。若殿がしっかりとした地盤を作ってくれていたおかげで内政菅に丸投げできたぜ。」
ガハハと笑いながら答える。玄庵と氏康は慣れたもので無視しているが、綱成叔父上に求められているのは武将としての能力なので問題はない。
「次は私めにございまするが、房総半島一帯は問題ございませぬ。下野はやっと戸籍作成が終わりました。特に内政面では北条に従って昔ながらのやり方を止める者たちが多かったので特に手こずる事もなく北条式農法を始めており、来年再来年と歳を経る毎に石高も上がっていく事でしょう。また、房総半島一帯の道路整備を終え、下野に取り掛かりました。」
康虎はさすがと言うべきか内政面もしっかりとこなしているようだ。
「では、最後は私に任された上野にございまする。上野は武田から流れてくる流民が多く戸籍作成が追いついておりませぬ。また、三国峠の要塞化に力を入れて労役を多めに行っている為開墾なども進んでおりませぬ。しかし、要塞の方は順調に進んでおり、年内、いえ夏には完成すると思われます。」
光秀は俺が頼んだ仕事をきっちりこなしてくれているみたいだ。大掛かりな砦作りをしている為統治の方には手が回ってない様だが流民が多いせいでもある。そこはあまり問題ではないだろう。
「うむ。それぞれよく励んでくれた。これからもこの調子で頼むぞ。光秀の方には氏政から何人か配下を手助けに出すように。それと綱成はもう少し内政に関心を持て…」
氏康が頭に手を当てながら顔を顰めている。それを見て幻庵と綱成はまた笑っている。
「ほほほ、まあ、綱成殿が内政を軽んじているわけではなく適材適所で他の方に任せているのは知っておりまする。そこら辺にしておきましょう。さて、周辺国の動きについてですが、皆様方はどの様になっておりまするかな?」
外交関連は幻庵が一手にとりまとめているがその様なことをすればキャパオーバーを起こす。それぞれの担当地域をもつ内政官たちが幻庵の手足となってある程度自由意志のもとに交渉をしていた。勿論重要な内容や決定権については幻庵や氏康、俺しか持っていない。
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