第225話
意外な大物が混じっていた三好勢力との対面を終えた氏政一行は1泊だけ船上で取り、次の日には風魔たちに用意させていた馬を乗り継いで京都へと向かっていた。そして入京した後は幕府勢力に足止めを喰らわないように前久の配下である近衛家の手引きを受けてするりと内裏へと参上する予定であった。
「今回の護衛は100だ。指揮官は義堯が務めよ。直衛に政豊と義弘をつける。供回りが少ないが速さを重視した結果だと思ってくれ。そのうち30は風魔で固める。現地につけば京都に潜入している風魔の現地員が町人に扮して護衛の層を厚くしてくれる予定だ。何か質問はあるか?」
義堯が残る幸隆についての質問をするために発言をする。
「幸隆殿はどうされるのですか?残ったものたちの取りまとめ役を?」
「幸隆には残りの京へ向かう人員の指揮を任せたいと考えている。この船に残る人員は直勝が纏める。地上は幸隆、海上は直勝に優先的な指揮権があると考えてくれて構わない。」
二人が頷く姿を見て周りの他のメンツも理解してくれたようだ。
「他には?」
次に質問してきたのは義弘であった。
「殿のお召し物などはどうされるのですか?また、参内できるのは殿のみにございまするが中ではどなたが護衛を務めるので?」
「着る物は向こうで近衛殿が用意してくれているし、案内役も買って出てくれた。我々は向かうだけでいいはずだ。それよりも問題なのは京都について朝廷との話し合いが終わるまでに幕府が何やら文句をつけてくることだ。それを牽制するためにも義堯は京へ着き次第幕府へと使者として向かってもらう。伝える内容は帝から声がかかった為、先に朝廷へと向かうこととなったことだ。」
「それでは、帝のご不快を買うことになるのでは?」
「いや、実際のところ帝の方から会ってみたいと申されているそうだ。前久殿の文からも伝えられている。」
何らかの情報源を持っているのであろう風魔の上忍の1人が頷いて同意を表す。
「では、我々はついてからどういう動きをすればいいなど指示はありますでしょうか?」
政豊が兵達の扱いについて質問してくる。
「今回連れていく連中は黒鍬衆だ。まずは、近衛家から、そのあとは彼らの指示に従って順にと屋敷の修繕などに入ってあげてくれ。風魔たちも数名紛れ込ませろ。言いたいことはわかるな?」
「はっ、お望みの通りに。もし、他の公家たちに横槍を入れられた場合の対処はどのような方針でしょうか。」
「基本的には近衛家を通すように伝えれば良い。それでも言いよるならば無視しろ。実力的には我らに危害を与えることは無理だ。最悪我々は関東に帰るのだから彼らから爪弾きにされたところで問題はない。」
「ははっ!」
1551年師走、ちょうど年末の日に氏政たちは京都にある内裏に向けて向かい始めたのであった。これは、氏政が初めて能動的に日本という国全体に介入することを決めた日でもあり、日本中が北条氏政という傑物を知るきっかけともなった出来事であった。
第1章〜飛雄〜完
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