第186話
「京都には風魔や近衛様がいらっしゃるとはいえ、これだけの任地を任せて頂くとなればそれ相応の献上品が必要となります。しかし、献上品で官位を買う様な真似は現帝は望まないでしょう。そこをしっかりと伝えられる、交渉できる人材を朝廷に送るべきかと考えます。」
そのまま続けて具体案を幻庵がだす。
「今年一年で大分落ち着きを取り戻しております。来年も大きな動きはございませぬ。それなりのものを送っても大丈夫だとは思いますが。」
光秀が手を上げながら発言する。
「私としては他の土地もこのまま行けば順調に成長すると考えます。海に関しても私が手を加えますので安心下さい。5年後に常陸を手に入れるべく動きたいと思っています。それまでは関東で大きな動きは起こしたくはございませぬ。」
俺はある考えを持っていた。京都に行きたい!!!!!勿論、遊びに行くわけでは無いのは当たり前だが朝廷の現状を知るのと近衛前久との対談もしたいし、来年 2年後は水軍を大きく動かしたい。その為にも俺が自由に動ける環境が欲しいのだ。
「幻庵殿はこう言うのも何ですがお年を召しておられますし重鎮にございますればここから動かすのは得策では無いかと、外交の出来るものでそれなりの格があり政治的判断のできる者、私をいかせては貰えませぬか?水軍の環境を整える間に行って参りたいと思います。」
皆が腕を組み考え始める。俺の配下達は特に悩む必要もないようだが他のもの達はそうではない。
「幻庵はどう思う?」
「私としては若殿が行くのはお世継ぎとして大変危ない事と思います。しかし、行く時期としては今しかないのも事実です、しっかりと警備を整えていけばよろしいのではないかと。直勝殿は水軍を纏める観点でどう思われますか?」
「はっ、私としても特に問題はないかと北条水軍は日の本において最強だと自負しております。それもこれも氏政様が与えてくれたものではありますがこの命に変えても氏政様は守り抜きます。現地までは何度も行っておりますし、新型艦も何隻か揃っております。京に向かう際に船を増やしても問題ないかと。むしろ私としては地上での護衛について意見を頂きたいです。」
「では、小太郎 康虎何か意見はあるか?」
氏康が続きを促す。
「はっ、まず我々の手のものが長年京におりますので安全性は高いかと。それに我々自身もついて行かせて頂ければ闇討ちなどはさせませぬ。」
「私としては関東軍を揃えなければいけない関係でもう馬廻りはできないが政豊や義弘 義堯殿や光秀殿 真田殿がついて居れば滅多なことはないと思いまする。」
氏康は皆の意見を聞き、一度目を閉じ熟考し始めた。
「…よし、では来年水軍の整備を終えた後、年始に間に合うように朝廷への献上品を載せた船をら送っているのに合わせて氏政を向かわせよう。皆もその様に心得る様に。」
「はっ!」
「では、ある程度の方針は決まったのだ、宴会としよう。皆には年始の挨拶が終わった頃にもう一度集まってもらい評定で1年の予定をここにいない者も集めた皆で決めようと思う。康虎は陸軍を直勝は水軍を幻庵は外交を、それぞれ計画書を既に作っていると思うがよろしく頼む。内政と他の部門の統括は氏政に任せる、ワシや皆が納得できる様に差配せよ。」
「「「ははっ!」」」
宴会が終わりそれぞれが任地へと一旦帰る事となった。その前に担当者それぞれが集まり一度草案を小太郎達風魔でも重臣と呼ばれる組頭達にそれぞれ任せて草案を俺に送ってもらうこととなった。大体1月の末に大評定を行うこととなるのでそれに間に合う様にしなければならない為年始から忙しくなるのが確定してしまったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます