北条氏政転生 関八州どころか東日本は全部俺の物 西は信長に任せて俺は歴史知識を利用して天下統一を手助けします。
ヒバリ
第1話
北条氏政 現代では有能なのに暗愚と作り話で評価を下げられている残念な人。実際は能力が高いのが事実からわかっているなど色々な歴史的観点から評価を上げている人物だ。
そんな人を知ったきっかけは某ゲーム。ではなく、小説を書こうと思ったのだ。北条氏政に転生して関八州の太守となり織田信長と協力、もしくは徹底的に叩き潰す展開。
そのために逆行転生で必要になるであろう知識も身につけて、伊豆の鉱山や漁業、周りの国人や有能なスカウト可能な武将。
そして、その物語を書こうと思った直後に俺は死んだ。それがわかったのはこちらの世界に来て1週間後だ。死因は栄養失調や心不全。そんなところだろう。
さて、前置きが長くなったが俺 高田涼雅
は前世大学生。今世、逆行転生を果たして北条氏政です。よろしくお願いします。
この世界はどうも史実の日本とはほんの少しだけ違うことがあるみたいだ。大筋の流れでは変化がないことがわかる。俺が生まれた年に第一次国府台合戦が行われたし去年富士川以東を制して、吉原城 興国寺城 長久保城 に誰々を入れるなど話をしていたからだ。
しかし、違うところが一つだけある。それは俺 北条氏政 幼名松千代丸が長男であるということだ。歴史に少し強ければみんな知っていると思うが北条氏政は次男で、本当は氏親という長男がいたのだが死亡して繰り上げ当主となった事を。
実際に転生を果たして何かできるかというと、なにもできない。それは当たり前だ。いくら次期当主といえども1歳にもなっていない俺は口も目も耳も発達してない。少なくとも歩くには1年は必要だし他もそれくらいかかる。
だから俺にできるのはただ周りを見て耳を澄ませてあーあー言って少しでも成長を促進する事だ。流石にいきなり何もかもできると怪しまれると思うので少しずつ成長しているのを分かってもらう為に練習している姿も見せていく。38年の年末には一応ハイハイをできるようになった。嬉しい。
俺はできるなら会いたい人がいた。2代目当主北条氏綱。北条早雲から家を継いでここまでの基盤を作った北条6代英傑の2人目。やはりというべきか、史実の考察の通り既に病にかかっているようで床に入っていて、幼児の俺はうつるといけないからと会えない。
勿論会ったところで話はまだできないので意味はない。だからこそ話せるように少しでも発音の練習をする。最近では母音の練習を終えて子音の発音練習をしている。
この異常な発達速度には周りも恐れ慄くかと思われたが放って置かれている。というか、将来が安泰だ。神童になるかもしれんとあまり気にされていないようだ。都合がいい。
誕生日の2月18日になり1年が経った。俺は最近では歩くようになり、少しの会話はできるようになっていた。しかし、まだ人とは話していない。赤ちゃん言葉のはーはー、ちーちーなど簡単な単語で何かを指すという程度だ。乳母に対してもはーはーと一応呼んでいる。
俺はここで勝負に出ることにした。小田原城の本丸の中でも当主の部屋と正室、側室の部屋は分けられている。そして少し離れたところに床に入っている氏綱様がいる。その氏綱様に会いにいくつもりだ。
最近は乳母と手を繋いで歩くことが多く、疲れたら抱っこをしてもらう。だから今日は乳母とは離れて氏綱様の部屋まで行く。まずは乳母が出ていくタイミングを図る。誰かは絶対に部屋にいて簡単には出られない。
どうする?簡単だ。散歩の時間を利用するのだ。厠に向かうのは一人で行くのにも人が来ない。隣だからだ。
「しーしー。」
そう言って部屋の前にいる侍女に襖を開けてもらい、氏綱様の部屋に向かう。ここからはもう運である。誰かに見つかれば話す。そして権力を傘に来て押し通るのみ! と気合を入れて部屋に向かうが、運が良く誰にも見つからなかった。氏綱様の部屋の前にはやはり、誰かそば付きの人がいた。
ここだけはどうしようもない…!ということもなく、迷ったふうにして乳母を呼んでもらう。
「はーはー!はーはー!」
こうして嫌々の姿を見せれば、どうしようもなくなって片方の側仕えが乳母を呼びに行く。そして一人が見守る形である。ここまで来たらあとは飛び込むだけだ。
俺は側仕えが困っている間に氏綱様の部屋に押し通る。一歳の子でも襖を開ける力くらいはある。
「しつれいつかまつります!」
精一杯の滑舌と声で丁寧に入る。幼児が丁寧な言葉遣いをしたことに驚いたのか、側仕えはびっくりした様子であたふたする。
「うじつなさまにおめどおりをしたい!」
これは賭けだ。ここで氏綱様が反応してくれなければ化け物として処されてもおかしくない。氏綱様に後見をしてもらわなければならない。
「よかろう、どなたかな。」
氏綱様であろう渋く重厚な声が部屋に響く。中にいた側仕えの人が氏綱様を支えようとする。脇息を利用しながらこちらをじっと見つめる。
「私は、北条氏康が息子、北条 松千代丸 でございます! ぜひとも、北条の生きる 英傑である 氏綱さま にお話しをきいていただきたく存じます!」
ほう、とつぶやきながらこちらを品定めするように見る。
「ふむ、何か妖怪付きかなにかの類か?お主はなんだ?いや、氏康の息子松千代丸と自分で言っているな。俺も生まれて少ししてから遠目に見た。だが、幼児にしてはちとおかしいであろう。何が目的だ?」
「私は 夢で 応神天皇様 という方にお会いしました! そして 様々な知識を 与えて頂き 北条のために 役立てよと!その時に 氏綱さまに 助けて貰えと! まだ、身体がともなわず しっかりと話せませぬが! 考えることはできまする!どうか! 力をお貸しくださいませ!」
やりきった。ここからどうなるか、斬られるか、生まれた事を無かったことにされるか勝負どころである。
「なるほど、応神天皇といえば鶴岡八幡宮の祭り神、八幡様の教えか。悪意はなさそうだの。力になって欲しいと言ったが何を望む?」
ひとまず警戒は解いて貰ったようで話を聞いてもらえる態勢になった。
「私は先程申した通り八幡様から外つ国の土地を豊かにする方法や兵を強くするための方法などを教えて頂いております。それを来るべき日に備えて実践するために自由に動くための行動制限の解除と、家臣か傅役をつけて頂きたく存じます。領地を頂けるのが一番ですが、まずは神童として周りに認めて頂くために実績を作るための機会を作りたいと考えております。そのための家臣でございます。」
「なるほど。面白いな。わかった。ワシが氏康に対して助言をしてやろう。だから祖父を前にしてそのように緊張するな。大丈夫だ。」
俺が無理をしていたのを気づいていたのだろうか、先ほどまでの威圧感のある姿ではなく、優しいおじいさんの姿を見せてくれた。
俺は正座の体勢を止め、氏綱様、おじいちゃんににじりよる。近づいた俺をじいちゃんは弱ったとはいえ鍛え上げた手で抱いて頭を撫でてくれる。
「ありがとうな。来てくれて。こちらに来てはいけないと言われていただろうに。」
「はい、ですがどうしてもお祖父様に会いたくて、先程の事とは別に。」
「そうかそうか。嬉しいぞ。」
そう言って二人で家族の団欒をしていると乳母と側仕えがやってきたようだ。じいちゃんが気にするなと声をかける。そして、先程呼ばせに行っていたのだろう。氏康、父を呼んできた。
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