第14話「ステータスとスキルを調べてみよう」
二人の静かな朝食が終わり、俺が使用済みの食器を食洗機風のボックスに入れたあたりでキサナが「仕事がない……」と凹んでしまった。
ちょっと泣きそうな表情だったので、俺は慌てて「庭の農園(?)の手入れをオナシャス!」と咄嗟に言ったら、彼女は喜んで庭にでかけた。どうせ俺は日中の外に出られないし、庭いじりを彼女に任せるのはいい配置だったと思う。問題は、庭いじりの道具があるのかどうか……。
やっと一人になったところで、俺は遮光カーテンで締め切った書斎に引きこもり、自分自身を【鑑定】した。
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基本情報
【南無セツハ】
種族:LESS-VAMP
肩書:
神々の使徒
(黄泉津大神)
(キラウヨルグ神)
年齢:18相当
性別:男
身長:185メテル
体重:80キトン
状態:健康(普遍)
ステータス:詳細はこちら
スキル:詳細はこちら
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見た目年齢が十八歳くらいになっているのだろうけど、これは確認できないからスルー。
メテルとかキトンという単位がメートルとかキログラムと同じなのかどうかはわからないが、もし同じだとしたら身長百八十五センチ? 元の自分より随分とルックスが良くなっていることになるから、どうなんだろう……。
健康(普遍)っていうのは、俺がヴンパイアだから健康状態は変わらないという意味だと理解した。
ヴァンパイアというのは殆どのゲームではアンデッドモンスター、つまり死者扱いだ。死体はそれ以上健康状態が変わらないので「普遍」と書いてあるんじゃないだろうか。
ちなみに胸に手を当てても心臓の鼓動は感じられ……るぞ? すっごく鼓動が遅いけど、脈打ってるのは間違いない。
んー? よく考えたら吸血鬼の心臓は止まってるなんて描写はどんな映画でも見たことないから、動いていてもおかしくないのか。
次に「ステータス:詳細はこちら」をタップしてみると、前にも見た棒グラフが現れた。項目は分かるが数値は書いていないただの棒グラフだ。
―――あれ? キサナのグラフは白だったけど、俺のは赤いな。色の違いに意味はあるんだろうか……。これは謎だ。
ちなみに
LV/個体の優位性を示す値。
HP/個体の活動限界を示す値。
MP(L・D・E・S)/取得した魔法の段位。
MAG/各種魔法行使力。
SP/LV上昇で増え、各スキルの取得や強化に用いる値。
POW/力。
ATK/攻撃力。
HIT/命中率。
CRI/致命攻撃率。
VIT/体力。
DEF/防御力。
DEX/技工。
AGI/俊敏性。
MEN/精神力。
RES/状態異常抵抗力。
MOV/移動力。
LUC/幸運値。
と、ゲームっぽさ満載で書かれている。
それぞれの項目をタップするとさらに項目がぶら下がる。
試しに押したATKの項目だと、細かく腕の攻撃力とか足の攻撃力とか、武器の攻撃力とかいう中項目があり、さらに武器の項目をタップすると、様々な武器の種類が出てくるがグラフはまったくついていないという感じだ。
「こういうの異世界転生モノでありがちだなぁ」と呆れる反面、実際目の当たりにすると自分の頑張りが目に見えてわかるという効果にワクワクしてしまう。このグラフを伸ばしてみようと思っちゃうわけだ。
次に「スキル:詳細はこちら」をタップする。
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【言語理解(max)】
あらゆる言語が理解でき、会話が自動的に変換される。
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あって良かったこの能力。これがなかったらキサナとも会話できていないもんな。
しかし最終列車の中ではこの力で「ハリウッドでもボリウッドでも字幕なしで映画見放題やで!」とか思ってたのに、まさか異世界転生とはなぁ。この世界には絶対映画ないじゃん。
列車の中でイザナミさんが小声で「映画はないと思いますけど」と言ったのが今になってピンときたぞコンチキショウ。
そう言えば……。この能力を拡大解釈すると、暗号でも読み解けてしまうんじゃないだろうか。まぁ、暗号を読まなきゃいけないシチュエーションなんてないだろうけど。
「ん?」
言語理解のスキル項目を読んだからなのか、自分の中でこのスキルが「確定」した気持ちが膨らんだ。なんだこの絶対的な信頼感は。もしかして今までは能力が定まっていなかったんだろうか……。
ということは全部ちゃんと見たほうがいいな。次行ってみよう!
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【無限収納(max)】
自身が持つことができるあらゆる物を亜空間に格納できる。格納された時点で時間が停止するので状態変化しない。
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このスキルもすごい。
持てるものなら全て亜空間的な目に見えない所に収納され、しかも収納された品の一覧はいつもの半透明ウインドウで確認できるというゲーム仕様。
なぜか最初から無限収納されていた「米✕∞」はきっとイザナミ様の優しさなんだろうなぁ。日本人は米ですよ、ほんと。
で、生き物も格納できるということは、誘拐も簡単にできてしまうし、やれるかどうかはわからないが、例えば! 女性の上半身だけ収納して下半身だけは外に出して……スカートの中見たりできちゃう! なんておっそろしい犯罪スキルなんだ!!
『お前はもう大人だろう? 馬鹿なことを考えるものではない』
脳内で俺を小馬鹿にする
やらないよ? 上半身だけ収納するとかやらないよ!? 断面がどうなってるのか分からなくて怖いじゃんか。
それにこのスキルを授けてくれたイザナミさんがどこから見ているのかわからないし。俺、この人生からは品行方正に生きるつもりだから!
そしてこれも読み終わった時に自分の中で確定した気分がした。
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【鑑定(LV1)】
あらゆるものの状態を確認。LV上昇で鑑定内容がより詳細になる。
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うん。まぁ、わかってることが書いてあった感がするけど、ステータス画面にある「SP」を割り振ってスキルのレベルを上げるのね。わかる、わかるよ。
また確定した気持ちになったけど、もうわかっちゃってるからね? ―――って、おや……? スキルの下に空白だけどタップできるところがあるな。
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種族特性能力(隠しパラメーター)
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かくしぱらめぇたぁぁぁぁ(CV:昭和時代の青い未来のたぬきの声)
これよこれ! こういうのを待ってたんだよ!
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