第21話 20 旅立ち



 暫く二輪は国道を走っていたが、途中で停車した。


 二輪から降りてヘルメットを脱いだ男は、紛れもなく兄だった。然し、その容貌はかなり変わっていた。金色に染めていた髪は、元通りに黒くなっており、黒縁のメガネをかけたその顔は真面目なサラリーマンそのものだ。そして兄は言った。


「長い話は今は無しだ、兎に角、乗り換えるぞ。なーに、この二輪は俺の連れのもので、盗難届を出してる。足は付かないさ。安心しろ。今からこいつで移動だ」


 そういうと兄は、私を車に乗せた。

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