第3話 中止

「今回の議題だが、みんな分かってる通り、前から始めてる人間と悪魔との共存についでだが」


「おいおいおい、そんなことよりよ~ もっと大事なことを言うべき物があるんじゃねーのか?」


彼女の話を遮るように割り込んで入って来たのは、鬼人族オーガの代表のガオウだ。


今回14人中11人が出席している。豪華なメンバーだ。


悪魔族デーモン… 不死身インヴァルナラビリティの体:ジャキ。

人間族ヒューマン… 絶対的権力アブソリュートオーソリティ:レゾン・ウィロ。

鬼人族オーガ… 滅却デスハンド:ガオウ。

獣人族ビースト… 終焉ゼロサインの牙:エルンモロ。

妖精族エルフ… 粛清フェアリーパージ精:アーレイ。

小人族ドワーフ… 勇猛果敢ブレイブリーヴァリアント:ドミノ・アバライ。

魔獣族ネオビースト… 終末ラグナロクの怪物:ヴァン。

竜人族ハイドラゴン… 地獄ヘルファイヤ火:トトイ。

野蛮族バーバリアン… 暴力ストームバイオレンス:ジョイ・マニュロイ。

魚人族マーマン… 憤怒レイジシー:ポイド。  

天使族エンジェル… 天変地異カタストロフィー:ルージュル。


今回この11人で議題をするのだが…


「そうだ、何で人間の国で会談をするのだ。」


続けて獣人族ビーストのエルンモロも言った。


「……そのことについては今から説明する」


場の空気が重いな中レゾンはこう言った。


「4日前の夜、パヒュム島に誰かが襲撃をした。あまりにも急な出来事だからな。仕方なく人間の国で会談をする事にした。今からパヒュム島を管理している魚人族マーマンのポイドに話してもらう」


俺は驚いた。俺だけじゃないほかの連中も驚いていた。なぜならパヒュム島を襲撃をすることは禁止されているからだ。これは第1回トゥルース会談で他種族、全員が満場一致でパヒュム島を攻撃しない事を約束したからだ。


だが、この条約は古いものだ。今の世代がこの条約を約束したわけでは無い。しかしなぜ襲撃した。何のメリットも無いのに…まさか今回の会談を中止にするためか。人間と悪魔が共存する事に納得いってない奴がいるのか。


「レゾンが言った通り4日前、私が管理しているパヒュム島が襲撃にあった。甚大な被害だ。人間が作ったカメラとかいう物に4人の人影があった。夜だから顔までは分からないが…お前だろ!野蛮族バーバリアンのジョイ!お前が指示を出しただろう!」


「はぁ~俺が?いくら何でも俺たちが野蛮だからって!お前刺身にするぞ!」


「刺身で思い出した!お前たち海の魚取りすぎだ‼どんだけ取ったら気が済むんだ‼魚取るの禁止にするぞ‼」


「あー?今の俺たちのブームは魚何だよ!魚が美味いだよ!お前焼き魚にするぞ!」


こいつらはいつも喧嘩するほど仲が悪い。だからと言って野蛮族バーバリアンが後先考えずやるとは思えない。パヒュム島を襲撃をしていたら本当に魚が取れなくなるしな。


俺が考えていると、左隣に座ってる鬼人族オーガのガオウが俺の耳元に小さい声で言った。


「ジャキ王お前は誰だと思う?俺はあの人間族ヒューマンのレゾン・ウィロが怪しと思うぞ。あいつは新人ニュービーだからな」


確かにレゾン・ウィロは謎の多い奴だ。今回のトゥルース会談はレゾン・ウィロが率先して準備したからな。いつもは人間と悪魔の共存を議題にする時は俺が率先してするのだが、前の代表者が亡くなったから、今回から人間族ヒューマンのレゾン・ウィロが代表者になった。そして、レゾン・ウィロが率先して議題をすると言い出した。前の代表者とは大違いだ。


だから、レゾン・ウィロがパヒュム島を襲撃指示出したのは考えにくい。俺はそう思いたい。


「……ガオウ 俺には敵が多すぎる。レゾン・ウィロがやったかどうか知らないが、まだあいつが犯人とは言えないな」


「……敵が多すぎるか…ガッハハハハハ!お前は良いな戦う相手がいて、俺は強すぎるからみんな離れて行くばかりだぞ!ジャキ王困った時は俺に連絡しろよ!」


そう言いながら俺の肩を強く叩いた。肩が砕けた様な痛みが走った。相変わらず力加減出来ない奴だ。ガオウとは古い仲だがこいつには連絡はしたくない。余計に面倒がかかるからだ。


「……私は議題のために来たのだが、こんな低知能で食べ物しか考えてない奴の話を聞きに来たのではない。帰らしてもらう」


「あぁ、それなら俺も帰らしてもらおう」


魔獣族ネオビーストのヴァンと竜人族ハイドラゴンのトトイが席を立ちこの部屋を立ち去ろうとする。


「誰が低知能で食べ物しか考えてないだ!お前は魔獣煮込み鍋にしてやる‼」


ジョイは罵声と共にヴァンに襲い掛かろうとする。


「やめなさいジョイ!ヴァンあなたも言い過ぎよ!」


妖精族エルフのアーレイが止めに入る。もう会談は滅茶苦茶だ。するとレゾン・ウィロが何か言い出した。


「トゥルース会談は中止にする!速やか全員解散しろ!」


大きい声で怒鳴り上げた。


「おー怖い怖い、さっさと帰るとしますか」


そう言うと獣人族ビーストのエルンモロンは颯爽と帰っていった。そこから次々と代表者が帰っていく。


「……ジャキ王お前は残れ」


俺はレゾンに呼ばれ残ることにした。



…数分後、大きな部屋の中で俺とレゾンしかいなくなった。とても静かだ、さっきの騒ぎが嘘のようだ。


「初めて会うかな?改めて私の名前はレゾン・ウィロだ。よろしく」


彼女は丁寧に挨拶をした。改めてみるとまだ若い、20歳にもなってないだろう。よくここまで上り詰めたものだ。


「……いやお前とは1度あった事がある。まだお前が幼いころにな、お前が覚えてないのも無理はない」


そうおれは1度彼女にあった事があった。まさか、人間の代表者になれる力があるとわ。


「そうか、1度会った事があるか。 まぁーその話はまた次の時に聞こう。…ジャキ王今回パヒュム島を襲撃指示を出したのは私だと思うか?」


彼女はそう言ってきた。正直な所今1番怪しいのはレゾンだった。ただ俺は黙ることしか出来なかった。


「……まぁいい、疑うのも仕方がない。1番怪しのは私だからな。…ジャキ王、八王星ヤオウセイの存在は知ってるか?」


俺は長く生きているから昔から八王星ヤオウセイの存在は知っていた。


「人間では大きく八つの国に分けられている。私を含め八つの国の王の事を八王星ヤオウセイと言う その八王星ヤオウセイの事だが、この会談を行う数日前に八王星ヤオウセイで改めて人間と悪魔との共存の話をした」


……なるほど、そういう事か俺は何となく理解した。


「話し合いで6人は賛同してくれたが残り2人が反対を出した。まぁー6人以上が賛同していたらトゥルース会談に持ち出すことが出来るんだが、多分残り2人がトゥルース会談に持ち出すのを嫌がったんだろう。だから今回パヒュム島を襲撃をして中止にさせようとしたんだろう」


確かにそれなら辻褄が合う。だが何故そこまで人間と悪魔との共存を拒むのだ。俺は理解出来なっかた。


「まぁーあくまで仮設だがな、でも可能性は高い、勿論私はこの2人には指示をだしていないぞ。…だがなジャキ王、お前たちが昔やった事は人間の心に染み付いてるぞ。…もし戦争が起きる事になったら私の国を巻き込むなよ。もしそのような事があれば真っ先にお前の首を取りに行くぞ」


恐ろしい言葉が返ってきた。勿論巻き込むような事はしないつもりだ。


「お前の国には迷惑かけないつもりだ」


「……冗談だよ。真面目になるな。私は人間と悪魔の共存は賛同しているんだぞ」


本当に冗談なのか分からないものだ。


「それともう一つお前に頼みたいことがある」


嫌な予感がした。余りよくない頼まれ事をされそうだ。


「お前に調査してほしいのだ。近頃、腕利きの勇者が集まって何か話し合いをしてるらしい。何かが起きる予感がする。勇者は私たちでは手に負えないのでね、君たち悪魔族デーモンの方が勇者の対応は得意だろ。だからお前たちに頼みたいのだ」


めんどくさい物を頼まれたものだ。だがこれも人間と共存のためにやっておこう。


「……いいだろ 余り気が乗らないがな」


「そう言ってくれると思ったよ。後で私直筆の入国許可証を渡しておこう。余り騒ぎにならないように頼んだぞ」


口車に乗せられた感じもするが、まさか入国許可証をくれるとは思わなかった。手間が省けた、まぁ俺には他にも人間の国でやることがあるしな。ついででやることにするか。



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