第65話 宣戦布告

 ユノという謎の少女がイリスに勝負を仕掛けてきた。

 余が排除してやってもいいのだが、まずはイリスの考えを聞いてみることにした。


「わたしとしては受けてあげても構いません。ディノス陛下を狙う羽虫は早めに駆除したいですから」


 イリスがそう言った。

 彼女は彼女なりの考えがあるようだ。


「イリスがそう言うのならば、余も異存はないぞ。相手になってやれ、イリスよ」


 余もそう言う。


「はい、わかりました。では、ユノさんとやら。さっそく拳で勝負といきましょうか」


 イリスが腕まくりをしながら言う。

 既にやる気満々だ。

 しかし、そんなイリスに対してユノが一歩引く。


「……ボクは今年の新入生。入学式をさっそくサボるわけにはいかない……」


「へえ。案外マジメなのですね」


「……ボクはいつでも黒竜イリスの首を狙っている。今日は挨拶に来ただけ……」


「あら。逃げるのですか? ユノさんは臆病なのですね」


 挑発するような口調でイリスが言う。


「……また来る。その時までにせいぜい力をつけておくといい……」


 ユノはそう言い残し、入学式の会場に向けて歩いていったのだった。

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