アテナたんの正体?
とりあえず頭を元通りに直したところで感慨深くソレを眺めてみる。
でっかい前立てのついている羽の生えたゴツい兜にこのサイズでも重そうなフルプレートアーマー。身長の倍くらいはありそうなデカい槍にでっかい円盾。今どきここまできっちり完全武装してそこらを出歩いてるヤツなんて男でもそうそういねーよ、ってくらい全身ガッチガチに固めている。
ぶんぶん飛び回ってるのはどうやら足に履いているこれまた羽の生えたサンダルの効果らしい。兜の下からのぞく灰色の瞳は零れ落ちそうに大きく、サイズさえ普通なら相当な美人さんになるだろう。猛々しい装いにもかかわらず、掌サイズの今はただただ可愛らしいだけだ。
「……お前いったい誰だ?」
「何だ?」と訊かなかったワシをほめてほしい。
「あたしはのティターンのおうじょ、メティスがむすめアテナだ!!ははうえのかたき!!」
「えっと……心当たりが……」
「うそつけ!!おまえ、けっこんをいやがるははうえをおいかけまわしてむりやりてごめにしたあげく、みごもったとたんにあたまからまるのみにしたじゃないか!!」
「……父上、詳しくお話を伺えますか??」
いかん。
というかひらがなで長文しゃべるな。読みづらいじゃないか。おかげで
「たしかメティス様といえば、父上がお祖父様を討った時に叔父上叔母上がたを救出するのを手伝ってくれた知恵の女神ですよね?恩人を手籠めにした上に殺したんですか?」
いかん。正確に把握してやがるじゃないか。
「人聞きの悪いこと言うな。産まれてくる子供がワシを滅ぼすって言うから思わず丸のみにしちゃっただけだって」
「喰った(物理)んかい!?アンタそれでも人間か!?」
「失礼な。至高神だよ」
「そういう問題じゃない!!」
すっぱーーーーーん
「それよりオマエ母親ごと丸のみにされたのに、なんでワシの頭から生まれたんだよ」
「はらのなかにいたらしょうかされそうでこわいからずがいこつのなかにひなんしてた!」
「えっと……とりあえず漢字使えよ、読みにくいから。あとその鎧兜どうしたんだ?」
「ははうえがおまえのほねつかってつくってくれた」
えっへん。胸を張って言う姿は可愛いが言ってることは無茶苦茶だ。でもやっぱり可愛い。
心なしか
やっぱり面倒なことになった。 ワシは内心嘆息しながら、これからコイツをどうしようかと途方にくれていた。
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