ゲームボーイ・ガールクリエイター
チャチャマル
第1話 いつもの如く彼は・・・
息を切らし後ろから迫る気配におびえて暗闇の中、体を這わせて手足を使い機敏に動くそれから逃げていた。
逃げ続けているとそれが近くに来たのか、それの息遣いやそれが今も逃がさないと追っている音が耳に入る。それから逃げ出さないと死んでしまう。逃げている自分にそう思わせる説得力が迫る。
時折それに襲われかけては叫んでしまう。情けないと思いだろう。しかし、こればかりは何としても言わせてもらう。
「想像以上に怖すぎるだろかおりー!」
これが今作の主人公である。
「いけるいけるっ。逃げ出せる条件はそろえているんだから、あとは逃げ出すのみっ。」
「チクショー!こうなったらやってやらー!」
興奮した気持ちを抑えつつゲームの進捗状況を確認して応援する彼女は少々Sっ気があるようだ。
ハイになっている彼はもう末期なのかもしれない。
そして無事とは言わないがゲームクリアしたとしきは肩で息をしながらゲーム機から離れた。
「それでそれで?今回のはどうだった、結構楽しめると思うんだけど。」
「外見が不潔で妙に生々しいボイスのおっさんに追いかけられて楽しいといって追われる奴がいるかよ。あと脱出条件のカギの位置がおっさんの出てくる布団の中とか悪質すぎるだろ。」
「そのくらいでなくてはすぐに見つかってしまうじゃないか。家に入ってまずは薄暗いふういんきを楽しまないと、そして探索していくうちに見える生活跡。これが一層引き込まれるんじゃないか。」
自分が上手に作った料理をほめろと言わんばかりに胸を張るその姿はかおりが持つ魅力を一層引き出している。
「あーハイハイ。そーだねー、・・・あっそろそろ昼飯作るねー。」
「うおぉい!ざつじゃないかー。あと昼飯あざーす。」
としきは投げやりな返事をしながらもいつもの如くキッチンへ向かう。
「冷蔵庫の中見るよー。・・・うーんとりあえずあり物で作るか。お昼はチャーハンでいいか。」
手際よく料理を作っていくとしきはまさしく主夫のよう。あと普通のフライパンで中華鍋の様に混ぜる姿は高校二年生としてすっごいと思います。
「かおりー、杏仁豆腐いる?」
「うん、おねがいー。」
手際よく作った料理を盛り付けて食卓に運ぶ。
お昼を食べている二人の姿は仲のいい夫婦の様であった。
「ねぇ、としき。いつもありがと。」
「気にするな。俺も楽しんでやっていることは否定しない。次も楽しみにしてるよ。」
食卓で向かい合うふたりの顔は少しばかり口角が上がっていた。
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