第6話 殲滅者 ★★★

「【炎神言弾(アグニール・スピット)】」


 赤く輝いたユーリの剣身から撃ちだされたのは、燃え盛る火球かきゅうだ。

 ターゲットに向け、一直線に向かっていく高速の火弾。


 だが、それは幻魔に命中することはなかった。

 グリフォンは翼を揺らすと同時、その巨躯が嘘であるかのように素早く動き、難なくその直線的な軌道を回避してしまったからだ。


「ほぅ」


 ユーリが感心したかのような声を漏らし、ひゅっ、と口笛をひとつ吹く。


「化け物のくせに、やるもんだな」


 そのいかにも軽い態度を挑発と取ったのか、グリフォンは、獅子のあごをくわっと開くと、大きく咆哮した。

 次いで、鷲の頭も、金切り声めいた叫びを上げる。


 【恐声きょうせい】である。


 もちろんユーリほどの魔装騎士ともなれば精神錯乱の効果はないが、それでも統率者クラスのものとなると、魔力波の振動だけでも、相当なものだ。

 それは、一種の特殊な衝撃波となって、ユーリに襲いかかった。

 だが彼は無造作にマントを前に突き出すだけで、それを平然と受け流す。


「無駄だ……っと」


 語尾が乱れたのは、直後、グリフォンの巨体が、突進してきたからである。

 恐声はフェイントのようなものだったようだ。さほど効果がないことも見切っての、ただの布石だったのだろう。

 ユーリはそれをひらりと避けた。


 グリフォンの巨大な鉤爪かぎづめは、ユーリのいた場所を空間ごと断裂するかのような勢いで、そのまま通り過ぎていく。

 突進の勢いは殺しきれず、グリフォンの身体もそのまま、見えない壁でも突き抜けるようにして、ユーリの背後へと駆け抜けていった。


 ユーリは身をかわしざま、くるりと振り返った。その視線の先、グリフォンもまた、身体を向き直らせる。

 地に足を付け、再び獅子の頭が咆哮――今度は、小さな翼をはためかせたかと思うと、どっとばかりに、強烈なつむじ風を巻き起こした。


 小さく笑ったユーリが、まるで踊りのステップでも踏むように、小さく脚を踏み鳴らす。

 するとたちまち、青い光を放つマグスが地を這い、パキパキと異様な音を立てて、大地が盛り上がった。


 現れたのは……土と氷が混ざり合ってできた壁だ。言い表すなら、霜柱しもばしらを人間一人を覆い隠せるほどのサイズにし、厚みと幅を増したもの、とでも形容すべきか。


 それは、まるで巨大な盾が龍の息吹を受け止めるように、その鋭い風の前に立ちはだかり、やがて魔力ごと四散させてしまった。


 だがグリフォンは、なおも巨躯と小翼を震わせると、新たなつむじ風を、一層強く吹きつけてきた。


「……マグスの力比べか。いいぜ、つまんねえ余興よきょうだけどよ」


 ユーリは軽く呟くと、今度は片手を突き出し、氷土の壁に、自らマグスを込めていった。

 それを吹き飛ばそうとするグリフォンの魔風と、あくまで遮ろうとするユーリの氷土ひょうどの壁。


 マグスとマグスが、ちょうど拮抗きっこうしたように思えた……その次の瞬間。

 グリフォンの双頭が、一際強い気合を込めたかのように、咆哮と金切り声を発する。


 直後、勢いをさらに増した風が、見えない牙で噛みつきでもするかの勢いで、氷土を飲み込む。

 やがて……壁の一点から亀裂が走ったかと思うと、それは粉々に砕け散った。


 咄嗟に身体をかばうかのように、マントを広げ、両腕を前で交差させたユーリの身体が、どっと殺到した風に押し包まれ、軽々と吹き飛ばされた。


 数メルテル、空中で弄ばれるように身体を押し運ばれたユーリだったが、すぐに猫のように素早く体勢を整え、くるりと身体を反転させて、そのまま着地。


 それを離れた距離から見据えたグリフォンが、鷲の頭で、勝ち誇ったように金切り声をあげる。

 だが、そのまま……ぴたりと、グリフォンの動きが止まった。


「おいおい、俺が力比べなんてお遊びに、タダで付き合ってやるとでも思ったか?」


 あくまでシニカルなユーリの台詞。グリフォンは、焦ったようにじたばたと身体と尾を動かし、翼をうねらせる。


 だが、その身体は、地面に釘付けにされたように――いや、実際にその足先が凍り付き、完全に大地に縫い留められている。


「くだらねーお遊戯に夢中になって、足元への注意がお留守だったな? そうなりゃ、ご自慢の翼も役に立たねえだろ。さて……仕舞いにしようぜ」


 ユーリの全身から生まれるマグスが、見事な樹氷のような模様を形作り、周囲はほの青い光に包まれた。


「【氷槍乱舞(アイス・マカブル)】……!」


 その呟くような声とともに、ユーリはあくまで優雅に、両手を突き出す。

 その先でグリフォンは、焦ったように唸り、金切り声で叫んだ。

 途端。

 まるで氷造りのおりのように、四方八方から渦巻く氷の波動が、巨獣の身体を押し包んで動きを封じた。


 同時、槍のような氷柱つららが無数にその周囲に出現し、青白く光る檻の中で動けない標的を、無言の連撃とともに刺し貫いていく。


 グリフォンの双頭が、今度こそ二つの、本当の絶叫を上げた。


 直後、その全身のシルエットが揺らいだかと思うと、そのまま全身が漆黒の光の粒と化して、灰化はいかするように、巨大な身体が崩れ去っていく。


 最後に、まるで断末魔のように一際強く黒い光がはじけたかと思うと、まるでその巨大な質量が存在していたのが嘘だったかのように、グリフォンの巨躯きょくは跡形もなく消えていった。

 ユーリはそれを無言のまま、冷ややかな目で静かに眺めて、ゆっくりと残る幻魔の群れに、視線を向けた……


 数刻後。

 皇都を守る黒壁の下、まるでしなやかな野生動物のように、素早く走る人影があった。


 その人物は勢いのままに跳躍ちょうやくし、城壁の出っ張りを軽く蹴ったかと思うと、そのまま反動を利して、また別の突出部へと飛び移る。


 それを繰り返し、軽々とそのいただきまで上り詰めたかと思うと、一際大きく突き出た胸壁の上に、トンと足を着けた。


  巨大な壁の上、その黒く小さな影が背負うのは、白々しらじらとした光。

 すでに月が支配する夜の時間は過ぎ、かすかな朝焼けが、暁光ぎょうこうとともに現れ出ている。


 「ふぅ~、なんとか、朝飯にゃ間に合うかな」


 その人影――皇都に帰還したユーリス・ロベルティンは、小さく独りごちた。


※ ※ ※


 翌日、午後の教室では


(ほら、またユリっちだよ~)


 ティガがくすくすと笑いながら、セリカへと意味深な目配せを送ってくる。

 セリカはそれに苦笑で応えつつも、ついつい、そちらへと目をやってしまう。


 その視線の先では、授業中だというのに、ユーリが大胆に机に突っ伏して、眠っていた。

 一応隠すつもりはあるのか、教科書を前に立ててはいるが、まさに「申し訳程度」というのがぴったりくる状態だ。


 イゴル教授は背を向けて、黒板に長ったらしい歴史年表を板書しているので、まだバレてはいないようだったが……


 そんなユーリの様子に気づいたのは、ティガだけではない。さざ波のような忍び笑いは、ユーリの周囲の席から漏れ始めて、やがて教室中に広がっていく。このままでは、教授が察するのも時間の問題だと思われた。


 しかし、当の本人――ユーリはそれにまったく頓着とんちゃくしない様子で、マイペースに眠り続けている。


(……困った人だわ。でも、なんだか……)


 ずいぶん無邪気というか、まるで子供みたいな寝顔だ、と、そんなことを思ってから。ふと、昨日のことを思い出し、セリカは頭を一振りして、授業へ集中しようとした。だが、頬にわずかな赤みが差すのはどうしようもない。


 下着を見られてしまったあの一件。ただの風の悪戯だったとはいえ……まったく、不覚というほかはない。小国とはいえ、これでも一応大公家の七女なのだから、と己をいましめてみるが、ほてった頬の赤みは、すぐに引きそうもなかった。

 それをどう取ったのか、ティガが小悪魔めいた微笑を浮かべ、不意にささやいてくる。


「なぁに? セリィ、昨日あいつと、何か……あ、もしかして、気になるって感じなのかなぁ~!?」


 この悪友は、そういうところについて、どうも目ざとすぎるところがある。えっ、と思わず反応してしまったセリカに、畳みかけるように。


「やっぱりそうなんだ? ふ~ん、セリィって、やっぱあんなのがタイプなの? でも、ショージキ趣味悪くね? 見ようによってはイケメンかなあ~、とは思うけど、将来性なんて欠片もなさそうだよ。


 入学試験はおろか初の月例試験の学年順位は一桁ひとけた、美人で優等生で性格よし! マジあり得んレベルで三拍子そろってるセリィには、どーみてもあっちの方が不釣り合いだっての!」


「だ、だから……もう、違うわよ!」


 セリカは、思わずガタリと机を鳴らして立ち上がると、大きく頭を振って否定する。

 直後、コホン、という咳払いの音とともに、イゴル教授がこちらを振り返り、じろりと視線を送ってきた。


 あ、と思ったその時である。

 セリカの向こうでバタン、と何かが落ちる大きな音がして、教授の注意が、そちらに逸れた。


「いや~、すっかり寝ちまってたな……でも、春ってなんでこんなに眠いのかねぇ、いくら寝ても寝足りねえんだから、困っちまう、って……あれっ!?」


 ねぼけ眼でムクリと身体を起こしたのは、ユーリだ。直後、教授の怒りに満ちた視線に今さら気づいたように、あわてて立ち上がる。


 まさに弾かれるような勢いだったので、派手な音を立て、彼の椅子が倒れてしまった。続いてユーリは、そそくさと机の脇に落とした教科書を拾い上げ、上目遣うわめづかいに教授を見やる。


 彼がへへ、とばかりにしまらない愛想笑いを浮かべた直後……イゴル教授の怒りが頂点に達し、凄まじい勢いで爆発した。


「ユーリッ! ユーリス・ロベルティンッ!! また貴様かッ!」


 同時、一気にクラス内で、爆笑の渦が巻き起こった。

 ティガなど、まさに椅子から転がり落ちんばかりに腹を抱えて大笑いしている有様ありさまだ。


 しばらく鳴り止みそうにない喧噪の中、おずおずと腰を下ろしたセリカは、その騒ぎに加わらずにいた。

 代わりに、彼女はじっと、杖を振り上げる教授から逃げ回っているユーリを見つめた。


(まさか……さっきのは)


 一瞬だけだが、教授の怒りが爆発する直前、ユーリは確かに、こちらを見た……そんな、気がした。その時、彼は唇に微かな笑みを浮かべていたような。


(もしかして)


 わざと、だというのだろうか。だとしたらその意図は。


(昨日のおび、とか? ……でも)


 イゴル教授に叱られ、ヘコヘコしている彼の様子を見ている限り、そんな機転や気の回し方ができるようにも見えない。


(まったく、よく分からない……人だわ)


 不審そうに少し眉根を寄せ、セリカは、心の中でそう呟く。

 そう、セリカとしては、どうにも気になる。

 単に、あの少年の態度が、妙に印象的だ、というだけではない。


 セリカは先日、あの丘の上まで、教授の言いつけで彼を呼びにいった時のことを思い出していた。あの時、ユーリが草笛くさぶえで奏でていたメロディ。それに、セリカは聞き覚えがあったのだ。


 あの人……かつて“あの事件”の折に、自分を助けてくれた、一人の戦士の記憶。それは、まるでおとぎ話に語られる英雄譚えいゆうたんの一幕のように、鮮烈な印象として今も脳裏に刻まれている。


(まさか、ね……だって、あの人とユーリ君じゃ年齢が違いすぎるわ。彼ならもう、二十歳はたちもいくつか過ぎて、立派な青年になってるはずだもの……)


 そう、記憶の中の少年は、子供だったセリカからすると実に大人びていて、頼もしく見えた。だがそれももう、過ぎ去った過去のこと。そもそも彼は……。


(もうあの人は……どこにもいない。そう、すでにこの世にいないはず、なんだから……)


 セリカは溜め息をつくと、小さくかぶりを振って、そんな疑念を否定する。


(それに、髪……あの人は、ユーリ君と地色は確かに似た感じでも、“銀髪交じり”じゃなかったはずだものね……)


 それでも彼女は再び、蒼黒そうこく色に灰銀交じりの不思議な髪色の少年の姿を、改めて見つめ直すのだった。


※ ※ ※


 ……厳めしい雰囲気が漂う、軍本部の指令室。

 メルゼ秘書官は、討伐された幻魔の群れについて、一通り報告を終えた後、しばし無言で上司たるヘカーテ軍司令の言葉を待った。 


「どうだ、言った通りだろう? 何の心配もない、と……」


 ヘカーテは開口一番、静かに言う。


「は、はい……けれど、たった一人でこの戦果とは……あまりに、あまりに……!」

 

 メルゼ秘書官のその口調は、もはや震え声に近い。


「……“第七魔領域帰り”は伊達じゃない。ユーリはかつて、討伐任務の最中、時空の魔領域たるあの場所特有の超常現象に巻き込まれた、という話はさっきしただろう? 時空の迷い回廊カオシックドリフト、君も軍学校で聞いたことぐらいはあるはずだが」


「は、はい……時間の歪みを引き起こす、一部の魔領域で発生する超物理現象だとか」


「そう、彼は迷宮みたいな異界をさんざん彷徨さまよい、三十八年もの長き期間を戦い抜いて、ようやく帰還した……だが、その地獄のような時間は、外界にいた我々の体感時間に換算すると、わずか四年超だったというわけだ」


「……そ、そんなことが……?」


「にわかには信じられんだろう? だが、事実だ。魔領域というのは、ときにそういうことが起こりうる場所なのだから。一度その現象に巻き込まれたが最後、魔領域に深く潜れば潜るほど、生ある者の時間は、加速度的に早く流れるようになっていくんだ。


 ユーリも例外ではなく、体感時間がねじれ、空腹は魔力泉まりょくせんの水だけでしのぎ、身体は成長せず外見もまったく変わらないという異様な環境下だったそうだが……実質、毎日が幻魔との死闘の繰り返しだったらしい。


 いわば無限の魔迷宮、この世の果てにあるリアルな地獄……。加えて隊の仲間までも全て失った彼にとってはまさに、“うしなわれた人生に相当する年数”というわけだよ」


「……」


 秘書官はもはや、言葉もない様子だった。


「だがともかく彼は、なんとか我々の世界に帰還した。そして……元から超級だった天才魔装騎士が、実質三十八年もの魔領域での戦闘経験を経て戻ってきた結果、どうなったか? 


 当然、ユーリは皇国内はおろか大陸でも並ぶもののない規格外の戦闘力を有する存在にのぼりつめた。だが彼は、魔領域から還ってきた後は、まったく変わってしまったのさ。あれほどの力を持ちながら、戦う理由ってやつを見失ってしまったようで、な……」


 ヘカーテは、少し遠い目をしながら言った。

 みずみずしい若草のようなエメラルド色の瞳に、憂いの影が落ちる。


「それをなだめすかして、私はなんとか、彼を軍で活動させてきた。やる気が半ばないとはいえその力は圧倒的で、数々の輝かしい戦績を打ち立ててきたのさ。私の今の地位も、半ば彼の存在によるものなのだよ。


 だが、それからしばらく経ったある日……彼は事もあろうに皇帝様が見守る叙勲式じょくんしきの場で、かつての無謀な作戦立案について、直接ギシュター総統の責任を問うた。上層部のお偉方えらがたの面前で、威嚇いかくの大魔術をぶっ放すという暴挙つきでな」


「そ、そんな……」


 軍内での評判はかなりよろしくないとはいえ、ヘカーテをも超える軍の最高権力者であるギシュターに大っぴらに異を唱えるなど、勇気などというレベルを通り越した自殺行為である。メルゼ秘書官が驚くのも無理はない。


「当然、総統は激怒してユーリを罪に問おうとしたが、私が方々で“調整”を行なってカタを付けた。軍刑務所暮らしになりそうなところを懲罰金ちょうばつきんを支払わせて仮釈放かりしゃくほうさせ、さらに『追加懲罰代わりに参加させた魔領域での作戦中、行方不明になった』ということにしてな。


 君も知る通り、皇国軍では“作戦中の行方不明”は、実質死亡扱い……つまりえある神龍魔将、ユリシズ・ハイアード殿は、見事に化け物どもの闊歩かっぽする魔領域で英雄的に散り、代わりに訳ありまくりの一学生、ユーリス・ロベルティン君が誕生したわけだ」


 ヘカーテは苦笑しつつ、肩を竦めた。


「し、司令も、ご苦労が多いのですね……」


 メルゼ秘書官は、そんな上司を心底からいたわるように呟く。


「まあね。ただ、このことはくれぐれも内密に頼むよ。それはそうと、確かに最近ハードワーク過ぎてな。どうも肩がって困るんだ。そうだな、あとで少しんでくれないか?」


「はい、それはもちろん! ……でもまあ、それは司令が、その両肩に負われているご重責じゅうせきのせい……だけでもなさそうですけど」


「ん?」


 メルゼ秘書官は、小首をかしげたヘカーテの身体の一部、具体的には、弾けんばかりに豊かに張り出した胸を、まじまじと見つめ……そっと自分の、ごくささやかな“それ”を見下ろし、しばし無言になり。


「いえ……何でもありません。それはそうと、司令は本当に大変ですよね。皇国におけるあらゆる軍務を、一手に担われていて……」


 それからメルゼは、少し溜め息をついて。


「それに比べてギシュター総統は、今夜も政治献金集めのパーティの続きだとか。まだ魔領域の出現も落ち着いていないというのに……正直私としては、司令のような方こそ、軍のトップに就くにふさわしいのでは、と」


「メルゼ秘書官」


 ヘカーテはぴしゃりと彼女の口を封じるように言った。


「めったなことを言うな。君らしくもない」

「あ……し、失言でした」


 恐縮する様子の若き秘書官に向け、ヘカーテは妖艶ようえんな笑みを浮かべつつ、静かに続ける。


「私は皇国の一軍人に過ぎない、ただ身命しんめいを捧げてこの故国に尽くすのみさ。そう、しかるべき運命の風が、私の歩む道に吹いてくるまではね……」


 メルゼ秘書官は、上司のそんな言葉にはっとしたような表情を浮かべたが、すぐに唇を引き結んで。


「そのお覚悟……私も司令の行かれる道に、最後までお供します!」


「ありがとう。今後とも、頼りにしている」


「はい!」


「……さて、ぼちぼち行くか。次の会議が待っているからな」


 ヘカーテが重々しく言うと、メルゼ秘書官も黙ってうなずく。

 その後、部屋を出て次の“戦場”へと向かう二人の間には、それきり沈黙のとばりが下りたのだった。


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■12/22追記 最序盤の1-5話について、導入・設定まわりの重さについてご指摘がありましたので、序盤の設定情報だしのリズムを変更し、読みやすいように調整いたしました。読みかけだった皆さまにはご迷惑をおかけし、申し訳ありません…!


お読みいただき、ありがとうございました。当分は毎日朝7:00か夜19:00ごろ更新の予定です。つたない作品ですが、システム上、目次の最新話下にある★にて評価いただけますと、より時間をさいての更新や内容充実を図れますので、大変助かります!


また、応援、感想、レビューなどいただけますと、更新の励みになります! お手数ですが、よろしくお願いいたします。

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