恩猫と2人旅

ハナミ

第1話私の原点

私が優しいと感じるなら、猫のフェムのおかげだ。万華鏡を読んだ人なら分かると思うけど、私は身内から虐待死に近い状態で。中学三年生の春休みからは、賄えるお金は全て自分で払っていた。衣食住の、住以外は全て。人間関係に対しても冷めていて、世渡り上手だっただけ。満たされない事も無かった。

私の世界はそれだから。

可哀想だとも思わないし。ただ、友達も、男友達も、彼氏もいて、うっすらと感情が動くくらい。

好きって言うのが分からない。

愛された事がないから当然だなと。

そんな、私の趣味は読書。純文学も、漫画も、ラブコメも、BLも読む。

高校で、ワープロを買い小説書いてたな。

親の暴力は酷くて、竹刀が折れるまで毎日バイトをしてごはんを食べて帰ると殴られる。

次は掃除機の棒。

あまり家にも帰らなかったし、病院代も私が払っていたので友達の家にいたりした。

高校卒業して、アルバイトから正社員になって家にお金を一円も入れたくない私は、父性を感じた男の人と付き合った日から同棲。微かな愛情と、打算かな。

酷い奴だと思う。

私も彼氏に仕事を辞めて結婚して欲しいと言われて、

辞めて。お小遣い15万貰ってペットショップに行った

ゲージには、ブランド猫は個室で。

雑種は、4匹ぎゅうぎゅうだった。2匹の内1匹を実家に渡し、我が家では猫だけは大事にする家だったので。初めての旅は、フェムと滋賀の旅。

小さくて小さくて。

目が綺麗で、まっすぐ私を見てくれて宝物。

来たその日から、心が満たされた。

理由なんてないよ。何かをしてくれたから?とか思わないから。私の膝の上で寝て。

ご飯の用意をして。

ベッドを用意したのに、1キロも無い体で必死にベッドに登り一緒に寝る。

あまりにも、フェムが可愛くて、愛おしいくて、泣いてしまったらそっと傍にきて、寝てくれる。

トイレもお風呂も台所も一緒。

予防接種、定期検診も欠かさなかった。

1番楽しかったのは、毎日の散歩。

キチンと病院で薬を貰って、リードだったかな?

小型犬用の。

骨格が小型犬並だっていわれていたから。

公園に行って、フェムの好きな鯛の茹でた身をあげで

空っぽだったグラスに、愛情が注がられる。

猫皿に水を入れて。

私はおにぎり食べて。

毎日幸せで。

名古屋にも行った。

動物も泊まれるホテルに泊まり。

親戚の集まりだけど、私は身内の冷たさを知っているから。顔だけ出して、名古屋の大きな公園を散歩。

フェムから、愛する気持ち、無償の行為を教えて貰った。フェムは、大きくて暖かくて、優しくて、私の事を大好きで、私も大好きで。

恩猫だな。

私の欠けていたピースを埋めてくれた存在。

17年一緒にいてくれた。

子供とも遊んでくれて。

最後は、やっぱりフェムらしい。

私が泣かないように、少しでも悲しまないように、病院代をタクシーで下ろしに行った10分で、空に登っていた。私がペットロスになる暇も無いくらい、子供が泣いて。

私はフェムの月命日には、特別な事はしないが話しかけている。

私が預かりボラや、動物を大切にするのはこんなにも愛情深い生き物は存在しない。

犬もうさぎも、猫も他の動物も計算して行動なんかしない。ただ、ただ、愛情だけ。

私は恥ずかしながら月命日には緑茶を飲みながらないてしまう。感謝と寂しさと愛おしくて。

だから、動物に対して不正も虐待も、動物実験も許せない。

私は17年の歳月で、恩猫フェムから教わった事。

これからも、フェムに恥じない行動がしたい。

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恩猫と2人旅 ハナミ @muneta

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