第4話 みんなとお風呂
テニスサークルのみんなが乗った高速バスが那須の駅についた。
迎えに来た2台のワゴンで向かった先はキャンプ場のログハウスだった。
「綺麗!」
「空気がうまい!」
「本当ですね!」
「バス旅疲れたよ!」
「さ、みんな入ろ入ろ!」
テンションアゲアゲでみんなでログハウスの中に入ると、それぞれ4つの部屋があり男子と女子でわかれる。この合宿には12人が参加した。
部屋割りは次の通り。
Aルーム 3年 健先輩 陽治先輩
Bルーム 2年 迫水雷太先輩 大道啓介先輩 1年 上原唯人君
Cルーム 3年 北川華絵先輩 橋本麻衣先輩 2年みなみ先輩 公佳先輩
Dルーム 1年 長尾栞(私) 夏希 佐波梨美さん
2泊3日の予定だった。
近くにテニスコートがあって、そこで練習することになっていた。コンドミニアムになっていて、管理人さんからワゴン車を借りて買い出しに行く事となる。来るときに地元のスーパーがあったので、そこまで行けば食料が買えるようだった。
「しおりん!楽しいよぉー!」
「だねー!梨美さんもよろしくね!」
「うん、一緒の部屋でうれしい!」
「1年生3人で仲良くしようね!」
「「おおー」」
私と梨美ちゃんが拳を突き上げて返事をする。梨美ちゃんは地味な私や元気っ子のなっちゃんともまた違うタイプだった。ほわんとした雰囲気で、少し明るめブラウンの髪の、タレ目がかわいい女の子だ。間違いなくモテそうなのに彼氏はいないそうだ。
コンコン!
「はーい。」
ドアがノックされたので、なっちゃんが返事をする。すると陽治先輩と 迫水雷太先輩が来た。
「買い出しいくよー。」
「はい。」
私たちは自分達の荷物を置いて部屋をでた。外に出てワゴンが停めてある駐車場にいくと、華絵先輩と公佳先輩が車に乗って待っていた。
「行きは俺が運転するよ。」
陽治先輩が運転をかってでる。
「じゃあ帰りは俺がします。」
雷太先輩が答える。
「さあ乗った乗った!」
「「「はーい。」」」
女子が後部座席に乗りワゴン車は森の中の道路を下っていく。森は緑が生い茂り生命力を感じる。木漏れ日が優しくワゴン車に模様を作っていた。
外をながめてるだけで元気になりそうだ。
たどり着いた地元のスーパーには、地元農家さんの野菜がずらりと店頭に並んでいた。
お肉コーナーに行くと豚肉100グラム80円セールをやっていた。毎週火曜日はセールの日らしく安売りをしていたようだ。玉葱、キャベツ、人参、じゃがいも、飲み物、ビール、焼肉用カルビ、鶏肉、しいたけ、焼肉のたれ、カレールー、お米、お菓子を人数分買い込んだ。
全部で約14000円を12人で割り勘なので、一人頭1166円となった。これで初日の夜と次の日一日のみんなのご飯を買う事が出来た。
「いっぱい買うの楽しい!」
「ほんとほんと!」
「ははは!そうかそうか楽しいか!そりゃよかった!」
豪放磊落な雷太先輩が屈託なく笑いながら言う。
「今日の夜がカレーで、明日の朝はおにぎりだ!昼が野菜炒め定食で、夜がバーベキューなんだぞ!楽しみだろう!早く食いてえ!」
雷太先輩は・・見た目通りに食いしん坊らしい。
「お前は食うことばっかりだな。」
苦笑しながら、陽治先輩がわらう。
「雷太君らしくていいわ。」
華絵先輩も微笑みながら雷太先輩を見ている。
「作るときは陽治先輩と一緒がいいなあ・・」
公佳先輩がポツリとつぶやいていた。公佳先輩はきっと陽治先輩が好きなんだ・・
買ったものをワゴンに積み込んでいると、スーパーの人が近づいてきて話しかけてきた。
「お兄ちゃんたち!都会から来たんだろ!よかったらこれも持ってって!」
地元スーパーのおばちゃんが袋一杯に、桃を詰めて持ってきてくれた。もう片方の手には、まるまるとしたスイカの袋がぶら下がっている。
「え!いいんですか!?」
「いいよ!せっかく来たんだ!いい思い出にしてってよ!」
「あ・・ありがとうございます。」
華絵先輩がたくさんの果物を受け取った。
「お、おも!」
男の先輩たちが持ってあげる。
すると店先にあるファーストフードのお店から声がかかった。
「おー、お姉ちゃんたち!これ食べていきな!」
「いえ・・十分にいただきましたから・・・」
「いいっていいって!いっぱい買ってもらったんだからサービスサービス。」
と私たち7人分のソフトクリームをくれた。その場でみんなで食べながら話す。
「田舎の人は優しいね。」
華絵先輩がほっこりした感じで言う。
「買い出し部隊だけが得しちゃったな・・」
陽治先輩が申し訳なさそうに言っている。
「でもおいしぃ!」
公佳先輩もご満悦のようだった。
「なっちゃん、得したよね!」
「ほんとほんと!買いだし来てよかった!」
「私たちだけ悪いですね。」
私となっちゃん、梨美ちゃんが言う。
「よし!俺、食い終わったから運転するわ!!」
「「「「早!」」」」
雷太先輩が早くもソフトクリームを食べ終わったらしい・・私たちはまだ半分も食べていないのに。
「さあ、みんな待ってる!乗って乗って。」
みんなでソフトクリームを食べながら、ログハウスに戻っていくのだった。
私達はさっそく午後からのテニス練習をした。夕方まで汗をながしてログハウスで夕涼みをしていた。
「さて!温泉に行くよー!」
華絵先輩から女子に声がかかる。
「「「「はーい」」」」
華絵先輩、麻衣先輩、みなみ先輩、公佳先輩、私、夏希、梨美ちゃんで温泉に行く事にした。ログハウスから温泉館まではすぐだった。まあ同じ敷地内にあるので、ログハウスからはすぐに見えるところにある。
みんなでバスタオルとフェイスタオルや洗顔セットをもって温泉に行く。時間で貸し切りが出来るらしく宿泊料に温泉も含まれている。1回50分となっているが十分温まれる時間だった。
「こんばんわ。」
麻衣先輩が温泉館の管理人さんに挨拶をする。
「はい、こんばんわー!50分の貸し切りとなります、でも今日はあなた達だけだから特に制限はないですよー。好きなだけどうぞ!」
「えー良いんですかー?」
「いいのよ。明日新しいグループが来るけど、今日は1組だけだから大丈夫。日焼けや皮膚炎にも効能があるからちょうどいいと思いますよ。」
「「「「ありがとうございます」」」」
《そうか・・この敷地内には3棟のログハウスが建っていて、キャンプ用の炊事場もあるけど、今日はこの広い敷地に私たちだけなんだ。貸し切り!》
私はついテンションが上がってしまった。
「貸し切りだね!」
「ほんと!」
「きてよかった!」
私、夏希、梨美ちゃんがテンションを上げて話していると、みなみ先輩がひと言いう。
「でもあんまりはしゃいじゃだめよ。大人として節度をもって・・ね。」
にっこり笑って私たちを諭してくれた。
「「「はーい!」」」
とにかく!待ちに待った温泉だった。これが一番の楽しみだと言っても過言ではない。
「今日の夜ご飯は男子陣の作ったカレーだし、至れり尽くせりって感じだけどね」
華絵先輩が本当にうれしそうに言っている。
「健先輩が部長として作る!といいだしたんですよ、本当に申し訳ないです。」
みなみ先輩が申し訳なさそうに言うと、麻衣先輩がフォローするように言う。
「男子陣もかわいい女子の後輩たちが来て、きっとうかれちゃってんじゃない!」
「か・・かわいいだなんて・・。まあ・・自覚はありますけど。」
なっちゃんが半分ふざけたように言った。
「「「ははははは」」」
先輩たちが一斉に笑った。
ひとり、公佳先輩はそれほど楽しそうにしていなかったが、私たちはそれに気が付くことは無かった。
離れの温泉に着くとそこは待合室も大きく、くつろぎスペースもあった。そこはバッチリクーラーも効いていて涼しかった。
「あー極楽極楽」
華絵先輩が気持ちよさそうにつぶやいた。
「文明って感じですね〜」
公佳先輩がしみじみと言う。
「あら、クーラーならログハウスの寝室にもついてたわよ。」
どうやら麻衣先輩がチェック済みだったようだ。
「えっ!そうだったんですか?よく見てなかったから気が付かなかった。じゃあ夜は快適ですね」
なっちゃんがそう答えると、華絵先輩が言う。
「あ、でも夜は網戸をして窓を開けると涼しいんだって。朝方は肌寒く感じるそうよ」
「あーやっぱりせっかく高原にいるんだから自然の空気吸いたいですよね。」
私がそれに答える。
ワイワイと話をしながら、脱衣室で服を脱ぎ始める。
みんなポロシャツやTシャツに短パンの格好をしていたが、さっさと服を脱いですぐに裸になった。みんな汗対策で下着は綿をつけていた、公佳先輩や華絵先輩の下着もスポーティーなものだ。
《そりゃそうか、スポーツするなら下着はみんな綿よね。》
私は一人でそんなことを考えていた。おしゃれな人が多いから総レースの下着なんかつけてるのかと、勝手に想像してしまっていた。
今日、初めてみんなの裸を見た。
びっくりしたのが華絵先輩だった。とても・・・大きい!服を着ている時もおおきいなあくらいに思っていたんだけど、実際にブラをはずした胸を見ると自分の胸を隠したくなるほどだった。
《私だってDカップくらいはあるのに・・どう考えても、Hカップくらいはありそう・・それなのに太ってないなんて、なんて恵まれているんだろう・・》
全員がうらやましそうな目で華絵先輩を見ていると・・
「ちょ・・ちょっと何よ!みんなでじろじろとやめてよ。」
「あ、すみません。」
「は、はい。」
私となっちゃんが慌てて下着を脱いだ。なっちゃんと二人でみんなの裸をじろじろと見る。
「へへへ、しおりん・・みんないいからだしてまっせ」
「そうでんなぁ。なっちゃん、何ともエロいでんなー。」
「そんな目で見てはあきまへんよ。ただのオヤジでんがな。」
「なっちゃんこそ、さっきからただのスケベオヤジのようでっせ。」
二人でふざけながら皆を観察し始めた。
麻衣先輩は少しぽっちゃり気味だったが、けっして太ってはなかった。なんというか・・くっつきたくなるような気持ちよさそうな・・胸も華絵先輩ほどじゃないけど大きい。Fカップくらいはあるな・・優しい女の色気を感じさせる体つきだった。
みなみ先輩は引き締まっていた。さすが大会ベスト8まで残る実力者!腹筋もしっかり割れていて、上腕二頭筋もふくらはぎもサラブレッドのように引き締まっている。そして誰よりも日焼け跡がはっきりしていた。毎日練習している証拠だった、胸の大きさはDカップくらいか・・私と同じくらいだ。
公佳先輩は体が白くて日焼けしにくいタイプのようだった。なんというか、なで肩で華奢なんだけどついているところにはついているというか、Cカップくらいのバストだった。
梨美ちゃんはもっと華奢だった。正直痩せている印象を受ける、胸はBとCの中間あたりかな?でも男心をくすぐりそうな、ロリロリな感じだった。
「なつきはん!みな魅力的でんな。」
「そうでんな!しおりんも捨てたもんじゃあらへんで」
「ほんまでっか?」
「ちょっぴりぷよぷよしてるけど、出てるとこでてるし良い体してまっせ。」
「なつきはんこそ、中学までソフトボールをしていただけあって、引き締まっておりまんな。」
「褒めても何もでまへんで。」
ちなみに私は新潟出身、なっちゃんは宮城県出身だった。似非関西弁を話しているが全くもって適当である。
「ふざけてないで入るわよ。」
華絵先輩から忠告される。
「はーい」
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