第20話
「何だ……? アレは」
隊長と呼ばれた男は信じられないものでも見たかのように、驚愕する。
それもそのはず、男たちはレオンが商店を召喚するところが見える位置にまで来ていたのだ。何もないはずの場所に商店がいきなり建てられたら、誰だって驚く。
「隊長、あいつ普通じゃないですよ!」
「見りゃわかる」
小声で叫ぶなどと言う器用なことをした部下に対して、隊長の男はそう返すと、素早く思考する。
(おいおい、何だよ。商人と獣人のメイドとちょっと優秀な執事なんじゃなかったのかよ、クソが。アレは何だ? 見た目は商人どもの店みたいな面構えだが、防衛力はどんなもんだ? チ、まるでわからん。とりあえず、屋内戦闘装備を準備……いや)
「お前らは屋内戦闘の準備……一人は俺と来い。俺が暗殺する。その護衛をしろ」
「「「は」」」
隊長の男の指令に3人はキビキビと動き、隊長の男ともう一人の男がその場から離れて商店の西に陣取る。
(さてと、ここで張り込んで30分ほど経ったか。あいつらの気配は建物の西側にあるから、そろそろ窓付近に……来た!)
隊長の男はレオンの姿を窓越しに確認するや否や、全力で手に持つ短剣を投擲する。
短剣は音を置き去り、レオンのいる部屋の窓を完璧に捉えていた。しかし、
「は!?」
「な……! 弾かれた!?」
短剣は窓に当たる寸前というところで、目に見えない何かに当たり、弾かれた。
商店には常時物理結界が張られているため、当然のことなのだが、そんなことを男らが知るわけもなく、男らは驚愕している。
普段は滅多に驚かない隊長の男も流石に奇天烈な商店やら変死やらでもう一生分驚いている。
「……『暗殺』『投擲』『腕力向上』『短剣技』の重ねがけだぞ」
「運が良ければ、王クラスも一撃で殺す投擲を完全に防ぐ商店……」
男らは頭痛が痛いとばかりに頭を押さえる。
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