第17話

「そうだったのですか……」

「信じられない話ですが、目の前でそ・れ・を見せられては信じるしかありませんね」


 二人はレオンの権能についての説明をすぐに信じた。目の前でレオンが作戦に使用する、とあるものを目の前で購入したのだ。

 二人が信じたところでレオンはこの後、襲撃があることとそれに対する対応を説明していく。


「このタイミングでの襲撃となると、シルフィード伯爵の差金でしょうか?」

「おそらくはそうだと思う。全く、父がそんな人間だとは思わなかったよ」


 本当にもう少しは情のある人間だと思っていたのに、そんなことを心の中で考えながら、馬車に乗り込む。


「それじゃあ、早速、作戦の準備に入りたいと思う。男爵邸まで急ごう」

「「はい」」






 レオンたち一行は、男爵邸についた。


(回帰前に見たままだ。ここは、記憶通りでなくて良かったのに)


「それじゃあ、二人とも少し下がっておいて」


 二人が下がるのを確認してから、レオンは男爵邸の隣の空き地に向き直る。


「神器・どこでも商店」


《どこでも商店を設置しますか?》


「うん」


《承諾確認。どこでも商店を設置します》


 不思議な声が頭に響くと同時にいつもの光が男爵邸の隣の空き地に集まって行き、やがて、一軒家ほどの大きさになったかと思うと、形が鮮明になっていき、やがては、ポツンと建物が残される。


「……商店が建った!?」


 レオンは想定通りとはいえ流石に非現実すぎて驚きの声を上げる。従者二人に関しては驚きすぎて声も出ない様子である。


「…………中、確認してみようか」


 三人はレオンの言葉で商店の中に入っていく。

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