第39話 凍える第九層
「さ、寒い……。防寒着……」
「確かに欲しいです。そういえばウェンドラさん、例の装備よろしくです‼」
「かしこまりました」
ウェンドラが防寒装備を配りだす。見渡す限り氷で覆われ。ライトブルーの地面は、とても滑りやすそうだ。
「アレン。これを……。ルグアは必要ありませんよね?」
「ああ。こういうのは慣れてるからな。魔法もいらねぇし」
マジ⁈ マジでガチなの⁉ 火山地帯は魔法使ってたけど、氷点下系は魔法無しなの⁈ 体感温度はどんな感じ?
「普通。リアルでも冬は暖房つけてないし。寒さ耐性には自信がある」
いや、そういう問題じゃないだろ‼ 高確率で風邪引くって‼ 健康管理どうなってんだよ⁉ ヤバすぎじゃん‼
「ん? インフルエンザになったことは、2、3回くらいしかないんだが……。基礎体温も高い方だし……」
なるほど……。冬でも学校に行く時は、半袖短パンタイプなのか……。これがほんとのことだったら、実際は体育会系なんじゃね? あ、運動音痴なんだったっけ?
だけど、あまり半袖短パンの女子は見ない。見たことが……。
「アレン。ワタシは一年中半袖短パンでしたが……」
いたぁーーーー‼ 半袖短パン女子‼
「なぜそこまで? 至って自然だと思いますが……。男女平等であることが常識ですので」
せ、正論だ……。確かに平等大事。不公平反対‼ でも、まさか女子がいるとは思ってなかった。こんな近くに……。
「ウチのお姉ちゃん、料理も上手なんだよぉ~♡ 彼氏いるどころか既婚者だしぃ~。来年には子供もぉ~」
「フラン、それ以上は控えてもらえませんか?」
「おっけー♡」
氷の上でどれだけ話しただろうか? ルグアが宴と言っていたが、もう夕暮れが近い。夜になったら危険だ。
「今日はここまでにして、休むか……。第九層のボスは私が行くからさ」
よろしくお願いします。俺も行きたいけど寒いの嫌いだし。休憩もしたいし……。とにかく眠くて、ものすごい疲れた。
「ん? 一人でとは言ってないんだが……。アレンは私と来てくれ‼」
俺だけ着いて行くのかよ⁉ 少しは休んでも良いじゃん‼ そうだ、寝たフリしよ……。氷の上に横になって目を閉じると、
――ズズゥー……。ズズゥー……。
何かを引きずる音。閉じたばかりの目を開けると、ルグアが無理やり俺を移動させていた。
なんでこうなる。というより、どこまで俺と一緒が良いんだよぉ~。そこまでデートしたいの? 中身が無い俺と⁉
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