第13話 第四層ボスダンジョン⁉

 夜が明けて、俺達三人は第四層のボスダンジョンに向かっていた。

 あまり寝ていないはずなのに、スタスタと樹海を進むルグア。やっぱり風の流れの違いがわからない。


 そよ風と普通の風すら判別できないのに、ルグアはどんどん進んでいく。勘では葉で道が見えないにも関わらず、迷いもせずにまっすぐ進む。

 どう見ても同じ風景。葉と幹の集合体だ。では、ルグアにはどう見えているのだろうか?


「みんな、一旦止まってくれ‼」

「えっ⁉」

「そろそろってことですね。アンゲーマー先生」


 そろそろ? もしかしてボス部屋? ここダンジョンじゃないじゃん‼ 祠は‼ 絶対どこかに祠あるよね⁉


「んあ? このフロア全部がダンジョンだが……。気づかなかったのか?」

「ここがダンジョン⁈ 俺にはさっぱり……」

「だろうと思ったぜ……。ここに来る間、遭遇エンカウントしないように、魔法で排除してたんだよ」


 そそ、そうだったんすか……。ってかどこまでがルグアの縄張りなんだよ⁉ 索敵の効果範囲広くね⁈


「一応半径10キロメートルまでだな……。確か……」


 そこは曖昧なんかよ⁉ やっぱ、団長でもわからないことがあるんだなぁ~。ん? 半径10キロメートル⁈ ヤバッ‼

 直径で20キロメートルじゃん⁉ 縄張りデカッ‼ 脳内容量もデカいけど、縄張りもデカッ⁉ そして、範囲も広っ⁈


 そんだけ魔法使えるなら向かうところ敵無しじゃん⁉ 完全なる無敵プレイヤーじゃん⁈ っていうよりルグアって負けたことあるの?


「負けたこと……か。数えるくらいしかないな……。最近はほとんど無い」


 すごい‼ 憧れるなぁ~。無敵のプロゲーマーだ……。かっこいいなぁ……。偉大いだいだなぁ~……。


「アンゲーマー先生‼ 今回のボス戦ぼく一人でやっても良いですか?」


 えっ⁉ ルナさんもソロでやるの⁉ デスゲームだよ‼ 負けたらぽっくりいっちゃうんだよ⁉


「実践編ってことだな。わかった。もしもの時は指示するから、存分に戦ってこい‼」

「ありがとうございます‼ アンゲーマー先生‼」


 マジで承諾すんのかよ⁉ 相当強いんだなぁ~。ルナさんも……。ってことは、俺以外のギルメン全員強い系? 最強ギルド⁉


 なんていう波に乗ってしまったんだ……。着いて行けるわけねぇじゃん……。格上じゃん。全員神? いやそれはないないない。

 神はルグアだけで十分。みんな神だったら運営からバンされる。絶対に出禁になる‼


「それじゃあ、アンゲーマー先生が教えてくれた〝弓〟で行ってきます」


 ゆ、弓で行くの⁉ 弓って遠距離武器だよ‼ 後方支援武器だよ⁉ なんで自信持ってきっぱり言いきれるの⁉ スゴすぎじゃん‼

 ルナは弓を持ってボスがいる方に駆けていく。でも肝心な矢が無い。一体どういう戦いを見せてくれるのだろうか?

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