第2話 ギルド勧誘

『あっ‼ そこのお兄さんどうですか?』


 この発言が誰に向けての言葉なのか、イマイチわからない。誰かに向かって走りだす少女。

 俺は横目でコクリと頭を下げて、完全スルーで通りすぎる。しかしその方向は完全に俺のいる場所で、急接近からの第一声はというと、


「あなたのことです‼ どうですか? ギルド【アーサーラウンダー】のメンバーを、募集しているんですけど……」


 どうやら俺のことだったようだ。どうしよう……。入ろうか……。拒否するか……。

 今までギルドと言えるギルドに入れなかったため、あまり期待はしていない。

 入っても誰も手伝ってくれなかったし、「クエスト行こう」と誘っても誰も来てくれなかった。

 そのような理由で、俺は友達も少なく遊び相手もいない一人っ子。学校ではいつもボッチ枠で、イケメンなのにあまりモテない。


『おーい‼ ガロン‼ 調子はどうだ?』

「モードレさん‼ お疲れ様です‼ 今、ちょうどいい人を見つけたところです‼」


 モードレ? って誰? モードレだから、モードレッド……。円卓の騎士じゃん‼ アーサー王伝説の‼ でも、モードレよりアグラヴェイン派なんだよね〜。


「ん、あ。えーと、攻略ギルド【アーサーラウンダー】団長のルグアだ。君が、ガロンがスカウトした人だよな?」


 いつの間にか、俺と同じ背丈の男性だろうか? 性別が良くわからないアバターの人が、俺のすぐ近くに立っていた。


「は、はい……。でも、さっき『モードレさん』って呼ばれていた気が……」

「ああ、あれか……。まあ、肩書きみたいなやつだ。気にする必要は無い」


 それなら納得できる。このギルドは面白そうだ。俺はルグアという人物に興味が出てきた。

 性別は聞いてみない限りよく分からない見た目だけど、いろいろ知りたくなってくる。


「その、【アーサーラウンダー】? ってギルド。俺、入りたくなった。期待してないけど……」

「よし‼ んじゃ決まりだな‼ ガロン帰るぞ‼」

「了解です。モードレさん‼」


 っていうかこのルグアって人、フレンドリーすぎね? こんな盛り上げて積極的で、しかも団長だろ⁈

 相当わっしょい祭りのギルドなんだろうなぁ……。きっと楽しいはず。ワクワクが止まらない。デスゲームというのも忘れ、胸を躍らせ飛び跳ねる。


 ルグアとガロンの案内で【アーサーラウンダー】の拠点へ。相手の名前はだいたい覚えたけど、俺自己紹介してなくね⁉

 拠点はギルドとはまた違う、三階建ての住宅。その中は、想像を遥かに超えていた。

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