第3話 騒がしすぎるギルド

「みんな‼ 帰ったぜ‼ ついでに新入り連れて来たから、集合してくれ‼」


 ルグアが拠点で叫ぶ。けどついでって何⁉ ついでって‼ どうして俺はついで扱いなんだよ‼ もっと別の言い方があるに決まってんじゃん‼


『りんりんだ‼ おかえり~‼ りんり~ん‼』

らん……。じゃなかった。フラン、その呼び方、いい加減やめてくれよ。私のリアルを割ってんのと、同じなんだぞ‼」

『ごめん‼ ついついうっかり‼ テヘッ♡』

「「テヘッ、じゃない‼ あ⁉」」


 偶然にもルグアと声が重なる。フランという人は今のところ声だけで、他の三人が出迎えてくれていた。


「そんじゃあ。フランは放っておくとして、自己紹介といくか……。私はもう終わってっから……。そうだな。ん~。関係が深いやつからにするか……。ウェンドラ‼」

「そうくると思ってました。お初にお目にかかります。ワタシはウェンドラ。ルグアのライバルですが……。脱線してしまいますので手短に。以後よろしくお願い致します」


 清楚な口調の女性。大人びた容姿と説明のわかりやすさに、したいたくなるが、威圧感のあるオーラは空間を破壊しているようだ。近寄るのも難しく感じる。

 しかし、ルグアは何もためらわずに近づき、肩を叩く。この二人は特別な関係なのだろう。


「その……。ウェンドラと私の関係ってのは……」

「関係とは?」

「まあとにかく私は、ウェンドラに殺されかけている」


 マジ⁈ それほんとマジっすか⁉ ウェンドラって殺人鬼なんすか⁈ このギルドヤバすぎじゃん⁈ まずまず、ギルドにライバル兼殺人鬼入れるわけないじゃん‼


「ワタシから補足ですが……。ワタシは、ルグアの命しか興味ありませんので……」


 本気で言ってんの⁉ ガチ⁈ ガチで⁉ ルグアオンリーって、逃走レベルじゃね‼ なんで逃げないんだよ‼ 団長‼


「じゃ、次に……。時間ねぇから名前だけだな。ウェンドラ。ガロン。セレス。フラン。ゼアン。んで、ゼアンはこのゲームの親会社で活動している。つまりゼアンの会社の子会社が、このゲームの運営ってことだ」


 おいおい、このギルド絶対どうかしてるって‼ ギルドにこのゲームの運営の親会社の責任者がいたら、終わりじゃんかよ⁉


「ちなみにみんなが使っているアカウントは、普通の"ノーマルアカウント"だが、私のアカウントは運営特別設定の"ユニークアカウント"だ。設定はHP100の、他ステータスが全て最低値〝-999,999,999〟。レベル変動無しになっている」


 この団長俺より弱いじゃん‼ しかもHP少なすぎだし、全ステータスマイナスって、正気か? 戦闘向いてなくね⁈

 良く団長になれたな。というのは早とちりだったようで。【アーサーラウンダー】は数年前から存在し、当時からルグアが団長とのこと。


「最後に、頼んだぜ‼」

「はい……。はじめまして。アレンと言います。よろしくお願いします」


 やっぱりこういう場面では、敬語しか思いつかない。でも、ルグアは普段通りで良いと視線で伝えてくる。

 たしかに、話しやすい方でやった方が良いよね。俺は頭を掻きながら顔を赤らめた。


「それともう一つ。私の方でダンジョンを見つけた。みんなログインしたばかりだが、早速行かないか?」


 えっ⁈ この人たち一緒なの⁉ まとまり――フランは別として――ありすぎじゃん‼ 楽しすぎるっていうか、違う意味で騒がしい。賑やかすぎる。


「それならモードレさん。アレンさんとお二人で行ってください‼」


 俺と二人⁉ 絶対負ける‼ 負けるに決まってる‼ けれどもルグアは頷いて、二人で行くことになった。

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