Forest·Story 第1章  第1話  兎耳と魔法使いの成長譚

@Forest_Ropu

第1話 昔のお話

 ここはマイクラ世界によくある小さな村落の一つ。


『ワールド生成』時 に平原にできたこの村は、 初めは何の特徴のないただの村であった。


 そんな村に今から約60年前、一人の魔導師とその連れが現れた。 丈の長いローブを纏って、長い杖を持つ魔導師はすぐそばにいた村長に声をかけた。 かくかくと首を縦にふる村長。それを 見た魔導師は満足げに微笑み、杖を空へ掲げる。直後、 魔導師 の杖が光を放ち、 日輪の如き光が放物線を描いた。


 突然のことに驚き、 光を目で追う村人。その視線の先には、元々一人の村人が住んでいた廃屋があった。


光は廃屋を包みこみ、廃屋ごと消え去る。そうしてできた空き地に、フードをかぶった魔導師の連れは石を敷き詰め始めた。


 石が空き地を埋めた時、また魔導師の杖が光を放ち、空き地を包んだ。先ほどよりも明るく輝く光に村人は目を閉じる。 そうして数秒後、光が向かった先には新しく大きな図書館ができていた。


 その図書館は、村のどの建物より、高く、大きい。まだ作られてそんなに時間が経っていないはずなのに、樹齢千年を超えた大木のような威厳がある。


 魔導師はまた村長に何事か呟くと、その建物に連れと共に入って行った。


 村人たちは状況の激しい展開についていけず、ぼうっとそれを眺めることしかできなかった。

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