第8話 出かける前にはご挨拶
大野酒店に飲みに来る前は、別段通りかかることもない路地でした。
どうやら、酒屋と定食屋があることは、もちろん知っていました。
ちなみにその定食屋は、既に廃業されて久しい。
あとは、この酒屋さんだけ。
岡山駅前とは思えない、なんか少しばかり明るくない路地。
通るのは、パチンコ屋の客か、駅へと向かう通勤客。
さて、かくも御縁ができた以上は、せっかくだから通っていこうという気にもなるものです。ま、顔見世興行といえば、そうやも知れぬ。ええ、そうですよ。
例えば、倉敷とか津山とか、あるいは県外のどこかに出向くべく岡山駅へと向かうときには、中筋の商店街ではなく、1本北側にあるこの路地を通って参ります。看板が焦点名を見せていないときや雨のときなどは商店街の屋根の下へと参りますが、そうでないときは、やはり、こちらを通ります。
「こんにちは~! これから津山に行ってきます!」
「あ、これから倉敷です。あさってには戻ります!」
こんな調子で、軽くご挨拶して、目的地へと出向きます。
別に、何か買っていくとか、そういうわけでは、ないけどね。
逆に、どこかから帰ってきた時にも、挨拶がてらに、この路地を通ります。
もちろん、ご挨拶もしますよ。営業時間内であれば、ね。
営業がどうとか、あいさつがどうとか、そういう問題じゃなく、でも、そういう積み重ねが、自分の人生を作っていくのだってことは、忘れちゃいけない。
と、正面切ったことを言ってみたけど、別にそんな大層な話じゃなく、普通に、さりげなくそういうことを続けていくことが、「社会性」を維持し高めていく上では、確かに確かに、大事なことだと思っております。
酒屋で酒を飲む話をするところ、クソまじめな話をして、申し訳ない。
次回はもう一つ、酒ではないお話をします。
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