大家さんととある大学生の日常
猫と犬が好き
第1話
「あれ?なんで大家さんの二ノ瀬が俺の部屋の前でネコミミのついたパーカーを着て体育座りをしてるんだ?」
「なんでって……?そんなの当たり前じゃないですか!今日鹿崎さんは朝何時に帰ってくるって私に言いましたか?!午後6時30分くらいには帰るって言いましたよね?!だからアパートの前に立ってずっと待ってたのに来ないからもう帰ったのかなって思って部屋を見に行ってもいないからここでずっと待ってたんですよ!」
「いや、すまん。大学で教授に呼び止められて少し雑用をしてたんだ。そうしたら気がついたら6時30分をすぎてたんだ」
「なら一言電話してくださいよ!心配するじゃないですか!」
「わかった。でも、付き合ってもないのになんでそこまで心配してくれるんだ?」
「だって、鹿崎さんあの時……」
「あの時?」
「忘れてるならいいです!鹿崎さんのバカ!ふんっ!せっかく今日は鹿崎さんの好物ばかりを夜ご飯に用意したのに!食べさせてあげません!」
「えー!それは勘弁してくれ!二ノ瀬のご飯は美味しいんだよ」
「そ、そうですか?それはありがとうございます。ですが、食べさせません。まだ怒りが治まりません」
「どうやったら怒りが治るんだよ……」
「そうですね。じゃあ今日鹿崎さんの部屋に泊めてください。大丈夫です。私はすでに成人済みです。法律にも条例にも違反しません」
「わかった」
「じゃあ一緒にご飯を食べましょう。荷物を置いたら管理人室にきてください」
「りょーかい」
「それでは後ほど♪」
〜管理人室〜
「また部屋が散らかってるし……。この前綺麗にしたばっかりじゃん」
「そう言うなら毎日掃除に来ればいいじゃないですか。そうすればこの部屋はいつきても綺麗ですから」
「俺は清掃屋じゃないんだが」
「私が頼んだら文句を言いながら掃除をやってくれますし実質わたし専属の清掃屋じゃないですか。いっそこのまま永久就職しませんか?」
「なんでだよ」
「掃除ができないけど料理の腕はいい私と綺麗好きな鹿崎さん、バランス良くないですか?アタッカーとヒーラーみたいな」
「それを言うならタンクとヒーラーじゃね?」
「そんな細かいことはどーでもいいです。……っと、はい、できましたよ。さ、食べましょうか」
「そうだな」
「あ、取り皿は紙皿、箸は割り箸でもいいですか?その方がお皿洗いの手間が省けますし」
「別にいいけど」
「ありがとうございます。それでは——」
「「いただきます!!」」
〜晩御飯後〜
「ごちそうさま」
「お粗末さまです。じゃあ私は調理器具を洗ってきます。鹿崎さんは部屋でも綺麗にして待っててください」
「いいけど。俺がいつまでもやってあげるわけじゃないんだからいい加減できるようになれよ。全く……」
「……」
「?どうしたんだ?」
「い、いえ!なんでもありません!」
「そうか」
「鹿崎が……から……なる?……ない」
「なんか言ったか?聞き取れなかったからもう一度頼む」
「……しなきゃ……しなきゃ……しなきゃ……しなきゃ……しなきゃ……」
「おーい」
「あっ、すみません!少し考え事をしてしまってて。独り言ですので気にしなくても大丈夫です」
「そうか?ならいいけど。あっ、この雑誌資源ごみに出してもいいか?」
「はい!大丈夫です!リビングに散らかってるものはいらないので全部ゴミに出しても大丈夫ですよ」
「サンキュー」
「あ、お菓子の空箱が必要なら持って行ってください。いらないのであげますよ」
「そんなものいらんわ!」
「そうですか……」
「なんで残念そうにするんだよ」
「なんとなくです」
〜1時間後〜
「終わったぞ」
「久しぶりの床です!鹿崎さんってやっぱり掃除が上手ですね!」
「はいはい。あ、少し気になったんだけど、さっきの紙皿と割り箸、二ノ瀬捨てた?」
「はい!ばっちりと!」
「ならいいんだけど。適当に捨てると害虫が湧くからな」
「はい!体験済みなのでそこら辺は抜かりなしです!」
「そうか。予想通りの解答ありがとう」
「褒めてもなにも出ませんよ?」
「褒めてないけどね。じゃあ俺は部屋に戻って風呂に入ってくるよ」
「じゃあ私もお風呂に入ります。お風呂に入り終わったらメールしますので迎えにきてくださいね?」
「いや、自分でこいよ」
「パジャマ姿なんですよ?しかもお風呂上がりたてほやほやの!なので迎えにきてください」
「意味がわからん」
「む、か、え、に、き、て、く、だ、さ、い!」
「わかったから。じゃあメールよろしく」
「はい!反応するまで送り続けますからね?ぼっと?とやらになりますから」
「はいはい」
「それではしばしのお別れですね」
「そうだな。それじゃ」
〜部屋にて〜
「お前有言実行しやがったな?通知くんが拒否しますか?って訊いてきたんだが」
「それは鹿崎さんが悪いですよ?さっさとメールを見ないから」
「せめて30分とか余裕を見てくれ。部屋に戻って着替えとか準備しなきゃなんだからさ」
「なるほど。まあ、努力でなんとかなりますよね?ファイトです。ところで鹿崎さん。少し嗅ぎなれないお花のな香りがするのですが……」
「二ノ瀬の服の匂いじゃね?」
「違います。こんな匂いの柔軟剤使いません。もしかして鹿崎さん、この部屋に女性の方を招いたことでも?」
「あー!思い出した!同じゼミの女の子と課題やったんだ!」
「それはいつですか?」
「2日前だね。2日前の午前。ちょうど講義が休講になったから」
「(チッ!油断しました)」
「何か言ったか?」
「……いえなんでもないです。鹿崎さん、換気扇、まわしませんか?私、この匂い嫌いなんですよ」
「わかった。なら換気扇のボタン押してくるよ」
「あの、その女性の方はどこに座ったのですか?もしかしてベッドですか?」
「ちがう。今二ノ瀬が座ってるところ」
「そうですか。(私の匂いで上書きしないとですね)」
「はい、換気扇回したよ」
「わがまま言ってすみません」
「別にいいぞ。嫌いな匂いなんだろ?」
「……はい。(鹿崎さんの部屋には私と鹿崎さんの匂いだけあればいいんですよ。他人の匂いなんて必要ないです)」
「さっきから小声でなに言ってるんだ?」
「鹿崎さんには関係ありません。さっきと同様独り言ですので」
「ならいいけど。言いたいことがあるんだったら遠慮しないでいいからな?」
「わかってますよ」
「あ。そうだ!お菓子食べるか?昨日購買で買ったチョコ菓子があるんだけど」
「食べますっ!」
「お。そうか!じゃあ冷蔵庫から取ってくるよ」
〜就寝前〜
「二ノ瀬はいつも通り俺のベッドだよな?」
「はい!」
「じゃあ俺は来客用の布団で寝ますかね」
「布団敷くの手伝いましょうか?」
「俺がやるからいいよ」
「そうですか。とゆうか、一緒のベッドで寝ます?」
「添い寝か?そうゆうのは彼氏ができてからやりなよ」
「……鈍感」
「は?なんで俺が罵倒されるの?!」
「自分の心に手を当てて考えてみてください。まあ、鈍感な鹿崎さんにはわからないと思いますが」
「もしかしなくても馬鹿にしてるだろ?」
「ええ。思いっきり」
「いい笑顔で言うんじゃない。俺の心のライフがなくなるんだが」
「安心してください。無くなったら蘇生してあげますから。だから安心してライフを0にしてください」
「はいはい。それじゃおやすみ、二ノ瀬」
「おやすみなさいです。鹿崎さん」
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