前日譚 小春日和前 八、無慙無愧ⅰ / 捲土重来ⅰ
◉登場人物、時刻
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〈南武方〉
南武甲斐 南武刑部大輔の子。南武家は守
護家の支族で「峡の国」南部に
一大勢力を持つ有力國衆。
直情径行のきらいがある。
井手山主税助 南武家の重臣。本隊に参加。
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〈南武方〉
井手山主税助 南武家の重臣。本隊に参加。
南武甲斐 南武刑部大輔の子。南武家は守
護家の支族で「峡の国」南部に
一大勢力を持つ有力國衆。
直情径行のきらいがある。
この四人は主人公ではありません。
◉ 日常ⅰの概要
当時は百姓も、盗賊も、侍衆も、
飢饉が毎年の様に続く、生産性の安定しない中世では、そうでもしなければ飢え死にするだけで生き残れなかった。
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前日譚
「退け、ひけぇ!」
全軍、
敵に向かうが、寸刻も持ち
……
諸将もだらしがない。普段の
先陣も先陣だ。私の必勝の策を授けられ、
家臣がこうも情けない者どもでは、私の知恵の鏡も曇るという物だ。この戦が終わったら、者どもにきつく言い聞かせなくては!
ピシィっ!
……腹立ち紛れに口取り*3に
……大体、
ピシィ、ピシィ!
…………
…………先ずはこれからどうするべきか?
ここは前線が近すぎる。総大将が流れ矢に当たるような事があってはならない。様々な人の想いを背負って生きる私の様な者は
我、天下に大望ありて、
勝敗は兵家の常。この上は一時の恥を
「伝令!先手の
まずは山向こうに退き、体勢を立て直す。その為には先手に時間を稼がさせねば。
最早、半刻も押し込まれ続けている。
戦を立て直す事も難しい状況だ。
八隊あった本隊先手も半数の四隊まで討ち減らされた。
若よりの使番が先程、来た。
この戦力で何が何でもこの地に留まり、死守せよ、との事だ。有り難くて涙が出る。敵に追撃を受ける状況で、兵に展開しろなどと兵法を知っていれば言えないことだ。
(至 山地) (至 寺倉)
道 道 川
丘丘道丘丘丘丘丘丘丘丘崖崖崖崖丘『先』 川川
丘丘道道丘丘丘丘 丘道道道道道道道道 川川
丘丘丘道丘丘丘 道道崖丘丘丘崖 道 川
丘丘丘崖道丘崖 丘丘丘丘崖丘崖 『戸』 川
崖丘丘道崖崖 崖崖崖崖丘丘崖林林 道 川
崖崖丘 (尾根筋) 丘崖崖林『手』 川
丘丘丘丘丘丘崖丘丘丘丘丘丘丘丘丘林 道 川
丘丘丘丘丘丘崖丘丘崖崖崖丘丘丘林林『南』 川
丘丘崖崖崖崖丘丘丘 丘崖丘 道 川
丘丘丘丘崖崖丘丘 丘 道 川
丘崖崖崖丘 「木花集落」道 川
(南武方)道
浅瀬小川小川小川浅瀬小川小川小川小浅瀬小川小
(至 渡の郷)
『戸』=戸田本隊 『先』=戸田先陣
『南』=南武本隊 『手』=南武本隊先手
「誰かに時間を稼がせろ。それから先手四隊の内、二隊を左右に回せ。左翼は林に伏せさせろ」
側近が答える。
「それでは隊が薄くなりますが……」
本隊の方を指して言う。
「本隊を逃す時間を稼がねばならぬ。このままでは我らが所領を守る者が居なくなる。何とか刑部大輔さまが帰ってくるまで、本隊の戦力を温存せねばならぬのだ」
「……はっ!」
「配置が済んだら、右翼、中陣の順に敵を押し込む。左翼の伏兵は最後の切り札だ。この戦法は時機を見極められるかに
…………敵は戸田高雲斎。相手にとって不足なし。付き合ってもらうぞ、
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◉用語解説
*1【
現在の三十分。四半刻ともいう。
*2【
口に任せて大きな事を言う事。大口をたたく。ビックマウス。
*3【口取り】
口取りは中間・小者(武家奉公人)の仕事で運搬・土木専門で戦わない人夫(陣夫)とは異なり、主人の身の回りの世話をしながら、いざと言う時には戦闘にも参加しました(諸説あり)。
この場面の口取りは「小者」で家の私的奉公人であり、家に属する奴隷のような人たちでした。
*4【
「韓信の股潜り」という名で有名な古事成語(「史記・淮陰公伝」)。韓信は中国漢王朝の創始者、高祖劉邦に仕えた将軍で蕭何・張良と共に「漢の三傑」と言われた名将。
若い頃に韓信が地元のならず者に「大柄で、立派な長剣を持っているが、お前は度胸がない。もし度胸があるのならば、その剣で俺を殺してみろ。もしそれが出来ないのであれば、俺の股の下を
一時の恥を
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