初めての人助け
森の中をとりあえず歩き回っていたわけだが、土地勘もなければ足場の悪いところを歩きなれているわけではないので何回も転んでしまったがまず痛くもない、そしてひざなりどこかを擦りむいたと思ったらもう治っている。思わず、
「うわあ・・・」
と声が出てしまう、しかも体の疲れすら一向に感じないのだ、気疲れでこの頃はため息ばかりついている。残念なことに私には高校生がつけてて当然なくらいの知識しか持ち合わせていないのでサバイバル術なんて心得ていない、なので正直空腹も感じないこの体に助かってはいる。
が、がだ、正直なところ一刻も早く心休まる場所が欲しい、何なら洞窟でもいい、洞穴とかとにかく雨風がしのげて足が延ばせておいしいご飯が・・・とまで考えてそこまでは贅沢だ、と思考を切り替えていた、前世は精神的には最悪だったがご飯も食べられたし雨風はしのげて寝る場所だってあった、ご飯は味もしなかったけど。
とにもかくにもだ、私は性急に休める場所が欲しかった。家の作り方すら知らないので魔法の使いようもない、勉強って、知識って大事なんだなあとため息をついた。眠ることもいらないようなチートな私ではあるけれど、インドアな自分に長時間外(誰もいないが)にいるのはなかなか堪えるものがあった。もう少しで森を抜けるのかもう少し先は光の入り方が強くなっている。どうやら奥に進んでいるはずが森を抜けるほうに歩いていたらしい。
よく聞くと泣き声や雄叫びやらが聞こえてきて何やら騒々しい、森の中を移動しているときに覚えたステルススキルを使って草木の隙間から音の聞こえるほうへ覗いてみることにした。泣いているのは女子供で一か所に集められている、下品な笑みを浮かべていたり大声を出しているのはゴブリンっぽい見た目目の緑色の肌をしたとがった耳のクリーチャーだ。
な、なるほど…村襲われちゃったのか…男衆は…まあ御察しっていう感じだろう、集められているのはよく見るとエルフ…?のような感じで今から起こるであろうことは何となく想像できた。
人嫌いな私ではあるし、他人より感情も薄ければ薄情だし、ビビりでもあるが、力もあっておそらくは絶対に助けられるであろう人を見捨てるほどではないのだ。
ゴブリンの制圧は一瞬だった、攻撃魔法は怖すぎて初めて使った超電磁砲以外は使えないのだがそれで十分だった、流れ弾で死んでしまわないように集められていたエルフたちには結界を張ってやって茂みからでて頭に向けて撃つ、なんだかゲーム感覚だ、集落を歩き回ってゴブリンを殺す、どれだけ弓で撃たれても痛くもかゆくもないし矢を抜けばすぐ怪我も治る。ゴブリンを一掃して日が傾いてきたころに広場に帰るとおびえた顔でエルフの人たちが私の顔を見上げてきた。
「え、えーとは。初めまして・・・??」
エルフの人たちが、私にありがとう、ありがとうと大泣きだった。
これが私がこの世界にきて初めて出会って知り合った人たちだった。
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初めまして。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
この主人公のように投稿もスローではありますがお待ちいただけると嬉しいです。
こちらの小説は、小説家になろうにも投稿しています。
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