俺とアホな美少女先輩の交流記録 ~先輩の生活能力向上を手助けすることにした~
白熊男
プロローグ
俺は晴れて中学一年生となった。
憧れの制服、小学校とは比べ物にならないほどの大きな校舎、そして友達、なにより……
優しい先輩!!!
小学生のときは他学年と関わる機会などほとんどなかったが、中学には部活という汗を流し、かけがえのない青春を送り、優しいであろう先輩と関わるというとっても素敵な活動があるのである!
ぶっちゃけ、超難関といわれているこの私立の進学校を受験したのは、近所のガラの悪い先輩達に絡まれないようにするためである。
だってさ、小学校に行く道中ずっと下ネタを横で連発してくるような中学生と同じ学校に通えるか?
通える人もいるかもしれないけど、俺は無理です。考えただけで頭が痛くなってきます。
ちょっと待って、頭が痛くなってきた。この話は終わりにしよう。
今日は待ちに待った入学式である。バカでかい校門をくぐり、桜並木の道を通り抜けると、趣のある校舎が見えてきた。やべぇ、めっちゃでかい。
「やばい、やばい遅刻するっ!! また怒られるよ」
校舎をみて感激していた俺の横を女の人が通り過ぎる。あの制服……、この学校の生徒か。
「ああああああああぁぁぁ!!!」
さっきの女の人から叫び声が聞こえた。うるさいな、鼓膜破れるかと思ったよ。
絶望に染まった顔で騒いでいるが面倒事には巻き込まれたくない。
できるだけ影をうすーく、うすーくして女の人の横を通り過ぎた。
否、通り過ぎようとした。
「ねぇねぇ、そこの君!」
周りには俺しかいない。つまり、そこの君というのは俺のことだ。
俺はゆっくりと顔を後ろに向ける。
「俺に、な、なにか用ですか?」
そう言うと、女の人は可愛いという部類に入るであろうその顔でにっこりと笑った。
「お姉さんの役に立つ気、ない?」
「ありません!!」
「即答!?」
残念ながら、俺は美少女の言葉に乗せられるほど軽い男ではないのだ。
美少女にこれ以上なにか言われないように、くるりと方向転換をし昇降口まで一気に走る。
「待ってよぉぉおおお!!」
そんな叫び声が聞こえた気がするが、俺は知らない。
予想外の出来事があったものの、俺は気を取り直して事前に知らされていたクラスへと向かう。確か、1年A組だっけ。
「1A、1A……、あった」
自分のクラスを見つけた俺は、新しいクラスメートに胸を躍らせドアをスライドさせた。
俺の素敵な中学生活が、これから現れるアホな先輩によって滅茶苦茶にされることを、この時の俺はまだ知らない。
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