ダイエット
うつりと
桂木紗奈
桂木紗奈、都内有名大学に通う21歳。
偏差値そこそこ、マンモス校とまではいかないが人数もそこそこ。男女比は6:4といったところだろうか。
そんな私の1日の中で楽しい時間は読書に続き食べること。毎食3食の時間が心底楽しみなのである。
身長150㎝・体重50㎏。
標準体重とは健康診断やインターネットでは謳われているが、【モデル体重】・【シンデレラ体重】までは程遠いいわゆるぽっちゃり(?)な女の子だと自覚している。
だいたい朝は食パンにたっぷりバターを塗り焼いて食べ、昼は友人と大学食堂でチキン南蛮やラーメン、蕎麦やうどん、カレーライスを食べる。
市場価格相場から考えても大学の食堂は安くていいよな~。
そして、夜はというと母が作ったおかずと白米をモリモリ食べるのである。
痩せている女の子からしたら、「そんなに食べるの⁉」と驚かれるかもしれない。彼女らは日々食事を制限してクリニックやサロンに通っているのだろうから。
さてそんな私の通う大学では毎年10月に学園祭が開催される。
そこで私たちダンスサークル(私はダンスサークルに所属して2年が経ちました。言い忘れていました。。。)は小さな舞台を設けて6作品程ダンスを披露することになっている。
作品は全てサークル内最高学年である3年生が選曲・振付を担当し配置構成もちろん衣装も決めている。
そんな中私が参加する作品の最高学年の先輩はいわゆるモデル体型の体の細い先輩だったのである。
やはり普段からダイエットやエステに勤しんでいるのだろうという空想を他人事のように描いていた。(本当に自分は女なのだろうかと時々疑問を抱くときがある。)
そんな自分にダイエットが他人事でなくなる瞬間はその時だった。
そのスレンダー先輩が「今回の作品、女の子は全員ミニスカートを履いてもらいまーす!!」と言ったのである。
「ミ、ミニスカート!?」
私の頭の中はクエスチョンマークで一杯になった。
なんといっても私は身長150㎝・体重50㎏のぽっちゃり女子。ダイエットのダの字もない人間だったのである。
しかも私の場合上半身には肉がつかず下半身にぜい肉がつく下半身デブなのである。
毎日風呂場の鏡に映った脚を見ながら、なんて立派なんだ、と思っている。
かといって私の中で痩せたいという気持ちは沸いてこなかったからそのスレンダー先輩の発言には驚きを隠せなかった。
もちろん可愛くなりたい、異性からモテたい、という感情がないと言えばウソになる。
私だってモテたいし、可愛くなりたい。
しかしその方法を今までの人生では知らないのであった。
そしてその日の翌日。私はまず親友の川崎千里に相談することに決めた。
千里は野球サークルのマネージャーを務め毎晩のようにお酒を飲んでワイワイしている同い年の女の子。私たちは学部が同じこともあって履修を合わせている。
自動的に休み時間も同じなのでランチの時間にカフェ巡りをしたり喫茶店でコーヒー(千里はブラックコーヒーが飲めないのでカフェオレをいつも飲んでいる。)を飲みながらああだこうだと話をよくしている。
千里の顔をみると安心して学校に行けるし安心して授業に臨むことができる。
この前なんか一緒にハワイ旅行に行った。
旅行といえば海外にしか目がいかない私を見て彼女は私のことを「裕福で甘やかされたお嬢様」扱いをする。
たしかに私の父は印刷会社の自営業の社長で所得は少なくないほうだと思っている。
しかし家は一軒家だがすごーく広いわけではないから上には上がいると常々感じている。
そんな千里に、ある日の昼休み、「ダイエットって何をすればいいの?」とカレーライスを食べながら聞いてみた。(ダイエットする気あんのか!)
千里はダイエットをしたことがないからわからないと言う。
そんなダイエット初心者の私たちはまず、“1か月 5㎏ 痩せる”をキーワードに検索サイトで調べてみた。
するとこうある。
[摂取カロリーが消費カロリーを上回らないようにすることが大切。1か月で5㎏痩せたいなら1日の摂取カロリーは800kcalに抑えること]
……摂取カロリーって…??
気にしたことなかった! と思いながら千里は一時期姉がダイエットのために鶏の胸肉をよく食べていたと言う。
それ位軽い気持ちでとにかくスカートを履かなくてはならない私はダイエットを始めたのであった。
ダイエット うつりと @hottori
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます