プラセボ
橋本伸々
第1話
「エガルモンテ・ディビジ・ラマリエ症候群?」
「はい。とても珍しい疾患です」
「それで?どんな症状が起こるんでしょう」
上杉啓治は身を乗り出して自分と同世代ぐらいであろう医師に質問を投げかけた。
これまで全くの健康体で生きてきたつもりでいたところ、今年の会社の健康診断で異常があると指摘を受けて精密検査のために今日病院にきていたのだ。
もう50代も半ばにさしかかってきている。生活には人一倍気を遣っているし、昨年まで何の異常もなかったとはいえ、同僚たちのように糖尿病や高血圧、脂質異常症などいわゆる生活習慣病と言われる病気が見つかっても不思議ではないのかもしれない。それともまさかガンだろうか。今や日本人の2人に1人はガンに罹患し、3人に1人はガンで亡くなる時代だと新聞で読んだような記憶もある。そういえば、部下で1人、ガンが見つかったと言っている者もいた。そういうふうに突然ガンが見つかるなんてこともあるのかもしれない。そんな不安を抱えながら会社の有給を取り、長い間待合室で待っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます