四辻
近所にある薬局でシャンプーのストックを買う為に歩いていた。
無精者である私は徒歩1分の場所にある其処へ向かうのも億劫で外に出るまで時間がかかる。
やっと重い腰を上げたのは夕闇が迫る頃、人の顔の識別がつかない暗さになると誰彼となく「
夕餉の匂い漂う住宅街の細い路地をとぼとぼ歩いていると、四辻に差し掛かった処で小さな声がした。
―いってらっしゃい…
「行ってきます」
つい返事をしてしまったが、他の者には聞こえていないらしく擦れ違ったサラリーマンが不審げに私を見る。
私はスマホを見る振りをして誤魔化した。
―チョコアイス…
またお強請りか―外にまでついてくるなんて。
―チョコアイス…
私はシャンプーのストックとバニラアイスを買って家に帰った。
―チョコ…
不満げなか細い声が聞こえたが、せめてもの抵抗だ。
だが冷凍庫に入れて置いた其れは、またいつの間にか無くなっていた。
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