記憶が無い僕と夢の中
有海
プロローグ
「♪♪♪」
ピアノの音が眠っていた僕の耳に聞こえた。目を覚まし音が聞こえる方に目を向けた。女の子がピアノを優しく弾いていた。その音が悲しそうに感じた。女の子は弾くのをやめたのにピアノは止まることなくずっと奏でられている。女の子は僕の方に来た
「起きたのね」
「うん」
「あの時の話を覚えている?君が私に「忘れない」と言ったこと。」
「覚えているよ」
「良かった」
また彼女はピアノの方に戻って行った。僕は戻る彼女の手を慌てて掴んだ
「どうしたの?」
僕はどうして彼女の手を掴んだのか分からず応えることが出来なかった
「どうしたの?」
「なんでもない」
僕は彼女の手を離した。手を離した時何故か寂しくなった。彼女はそのまま前に進んだ
「待って」
「さっきからどうしたの?」
「離れないで」
「心配しないで君の傍からは離れないから」
彼女はまた前に進んだ。僕はそれでも寂しく感じた。「離れないで」と心の中で思っていた。彼女はピアノの前に立ち言った
「君はまだあの時の悲しみが心に残っているの?」
悲しみ、僕のこの感情は悲しみなのか?僕にはただ寂しい。その感情しかないけどその中には悲しいが何処かにあるのかもしれない。そう考えているうちに彼女はピアノの前に立っていた
「悲しくなったら言って、また慰めてあげるから」
彼女はそう言ってピアノを弾き始めた。僕は彼女が奏でる音を聴きながら眠りに入った。気がつけば少し明るかった外も暗くなっていた。それでも彼女はまだ弾いていた。僕は彼女の傍に行こうとたち上がろうとしたけどたち上がれなかった。それでもたとうと思った。何回もたとうと挑戦したけどたつことが出来なかった。たてないのはどうしてなのか考えた。でも分からなかった。それでもたとうとした。何回も挑戦しているうちに彼女の演奏が終わっていた。彼女はこっちに来た
「手を貸して欲しい」
僕は彼女にそう言った。でも彼女は手を貸してくれなかった
「手は貸せない。君が立てないのは君が何かに迷ってるから立てない」
彼女はそう言って僕の前でただじっと見ていた。何に迷っているか分からないけど僕は何回もたとうとした。でも立てなかった
「君がここから立ちたいなら迷っているものを無くして、そうすれば立てるから」
「僕は何に迷っているの?」
「私には分からない。でも君ならわかる。よく考えて答えはすぐそばにある」
「何処にあるの?」
「君の記憶の中」
「記憶の中?何処にあるんだ」
「君が決断した日。その日を思い出せば分かる。君の今の迷いが」
あの日の思い出せば分かるのか今の迷いが。
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