クラスメイトに孤高の美少女が居ますが.....実の所はポンコツ甘々だったりするもんで
アキノリ@pokkey11.1
第1章 解雇されてからの?
1、ある春の日の事
第1話 春風香るクラスと春の日の解雇
4月も間も無く過ぎ去るという頃の事である。
丁度その頃、俺だが井上藤也(いのうえとうや)17歳、はあまり役に立たないという感じだったのだろう。
新入が入って来るタイミングで会社からそのまま首を切られた。
とは言えとある有名企業のファミレスのアルバイト先なのだが.....まあ命綱だったんだがな.....と思う。
俺は盛大に溜息を吐きながら次の仕事を探すつもりでスマホを弄る。
そしてそのまま周りを見渡した。
教室ではクラス分けになった直後で相変わらず春風が吹いた様な感じのワイワイな感じで色々な奴らが、クラス一緒だね、とか笑顔で言っている。
前と殆ど変わらない感じだな。
あまり変わらないクラス分けだったが俺もそこの一員になれた。
嬉しい限りである。
まあなんか見知らぬクラスメイトと一緒とか嫌だしな。
特に嬉しいのは.....友人と一緒な点だなって思う。
俺は思いつつスマホに目を落とした。
俺はそんな変わらないクラスメイトに積極的に交わりたいが.....。
次の職場が見つかってからだな、と思いながらスマホのアルバイト募集掲示板を親指でせっせと動かして見ていると。
目の前の椅子に誰かが腰掛けたので顔を上げる。
友人だった。
「しかし主も災難であったな」
「.....いや。何処ぞのお偉いか?お前は。.....春美」
「にひひ。.....私はそんなのじゃないよ?本気で心配しているんだから」
人差し指を立ててクルクル回す。
来宮春美(くるみやはるみ)17歳。
パーカーと.....制服を主に着ている少女。
丁度.....肩までの黒髪に両端に可愛い赤のと水色の水玉のリボンを携えており。
顔が幼い感じの.....俺のダチと言える存在。
俺にとっちゃ最高のダチである。
よく誤解されるのが、お前ら付き合っているのか、と言われるが。
そんな事はない。
あくまで.....そうだな。
小さな子犬と大型犬が仲良くしていると言ったら分かるか。
幼い頃から、だ。
春美はマスコットキャラクターという存在である。
「それにしても今の時期に仕事解雇って最悪だね」
「そうだな。.....まあ仕方が無い。この世の中は学習とか活躍出来なきゃ切られるもんだとは思うけどな」
「.....うーん。そうなのかな?.....でも何処も悪くなかったと思うけどね。.....君のバイトの成績とか」
「有能な奴だけが生き残るって感じだろ。.....そんなもんだろうし。それか訳が分からん馬鹿の上しか居なかったか」
「うーん。.....まあだろうね」
「ああ」
そんな会話をしながら俺達は外を見る。
さて.....俺達は高校2年生だ。
春美も.....どう進路を決めていくのか。
大切な時期ではあるんだが.....今はそれよりも死活問題だ。
目の前の事をクリアしなければならない。
「ねえ。それはそうと.....」
春美はヒソヒソな感じで話してきてこっそりと俺に指差す。
その方角は.....孤高の氷姫の居る場所だ。
誰も近付かない様な教室の一角で彼女は本を読んでいる。
制服を律儀に着込んでおり長髪であり学則を律儀に守る少女。
そして本は難しい本を読んでいる.....様な少女。
近付き難い。
で。
その少女がどうしたのだ。
と思いながら改めて春美を見つめる。
山口さん.....今年も一緒のクラスだね、とコソコソと笑みを春美は嬉しそうに浮かべてくる。
何でそんなに嬉しそうなんだ。
関わり合いが無いだろう。
「山口桜花(やまぐちおうか)。.....お前も知っているだろ。孤高の存在だぞ。あれに関わると碌な事が無いぞ。何でそんなに嬉しそうなんだ」
「だって心配になるじゃん。クラスメイトだし。去年も同じクラスだったしね」
「.....意味が分からん。所詮はアレはボッチだろ」
「わー。酷いね。そこまで言わなくても」
「.....アレは無理だ。生理的にな。固すぎる」
そう。
山口の有名な話。
そもそもアンタと仲良くない、とクラスのイケメンを言葉でぶった斬って斬り殺した.....という伝説がある。
学校中のイケメンの中のイケメン代表のイケメンなのだが、だ。
まあそれから塩対応の山口になってしまったのだが。
2つ名として氷姫とも呼ばれる。
どっちでも良いけどな俺は.....だって関わり合いが無いし。
「.....それにしてもお前も心配し過ぎだ。.....アイツが傷付いているとか考えているんだろ?そんな余計な事を考えても仕方が無いぞ」
「でも彼女も女の子だしねぇ.....気になるじゃん?」
「.....まあそうだけど。.....でも関わらない方がいいと思うぞ。やはり」
「まあ.....確かにそうだけどねぇ.....」
するとその様に悩む様な言葉を春美が発した瞬間。
チャイムが鳴った。
それから.....先生が入って来る。
俺はその様子を伺いながら慌てて、じゃあね、と言って去る春美を見送りつつ。
そのまま俺はまた頬杖をついて窓の外から空を眺めた。
☆
塩対応。氷姫。
山口.....か。
俺にとっちゃ本当に何か嫌な感じだな。
対応も存在も全てが気に食わないんだよな。
山口の、だ。
だってそうだろう。
せっかくクラスメイトが心配しているのにそれすらもそれなりに無視。
そんな対応は最低だと思う。
だから関わりたく無い感じではあるのだが。
思いながら俺はベッドに寝そべりながらスマホを弄る。
自部屋で、だ。
アパートの中で夕日を感じつつ.....バイト先を探す。
この影響で全く勉強の内容が入って来なかったな.....。
困ったものだ。
早くお金を儲けないと生活が出来ない。
学校も退学をせざるを得なくなるかもしれないしな。
「.....ん.....?」
するとアルバイト募集板の中の下の下。
(月収は内容次第。出来高になるが最低でも40万円は補償)というのがあった。
交通費なども支給する、と。
何か家のハウスキーパーという職業らしいが.....。
俺は目を丸くしながらその職業を詳しくマジマジと見てから。
怪しいとは思ったが藁にもすがる思いで起き上がる。
高校生でも可能と書いてあったので、だ。
今となっては世間的に厳しいのだ高校生がバイトするのは。
基本的に17時まで受付、と書いてあったので.....まあこんな軽々しいのは受からないだろうけど、と思いながら立ち上がる。
今の時刻は16時なので、だ。
近所の様だどうも。
「.....さて。行ってみますか」
俺は上着を羽織ってから。
そのままアパートを出て行く。
なるだけ服装を整えながら、だ。
☆
そのまま屋敷というか。
案内図の少しだけ大きな家に来てみた。
それから、デカい家だな、と思いつつ玄関ドアをノックする。
何かその。
門番にマジマジと見られながら通されながら、だ。
驚かないのかって?
そうだな。
こんな大きな家とはいえ.....。
結局は他人だしな、と思ってしまうと。
そう考えると何だか呆れる。
思いつつドアを開くのを待っていると開いた。
そして顔を見せた.....可愛い服装の少女.....ってオイ。
「はい.....え」
「.....ああ。初め.....え?」
そこに居たのは。
桜花。
つまり.....山口桜花だった。
俺はビックリしながら眉を顰める。
ちょっと待て.....どうなっている!?!?!
と思いながら、だ。
「.....どうして貴方が?」
「ハウスキーパーの応募が募集サイトでされているのを見たんだが.....まさかお前の家とは思わなかった。大きいんだな」
そんな会話をすると。
どんどん山口の顔が険悪になっていく。
そしてこんな事を言い出した。
もしかして、と言いながら、だ。
「.....貴方も.....もしかしてお金目当て?」
「.....?.....お金目当てはそうだが。.....だけどこの家の資産を狙っているとか無いぞ。そんなモノには興味が無い。.....ただ日常生活を食い繋ぐのにな」
「.....え?そうなの.....?」
「.....そもそも俺はそういう莫大なお金には興味が無いんでね」
「.....」
顎に手を添える。
それから、分かった。じゃあ入って、と言う。
俺は目を丸くした。
そして踵を返した山口だったが.....その瞬間。
地面にぶっ倒れた。
誰が、と言えば山口が見事に、だ。
そして真っ赤になりながら慌ててスカートを抑える。
俺は驚愕しながらも直ぐに視線をずらした。
「.....見てないよね?」
「.....随分と派手に転んだな」
「話をすり替えないで」
「.....すまん。下着を見てしまった」
睨まれて俺はビクッとする。
も。もう、と言いながら咳払いして赤面で立ち上がる山口。
そして試験があるから、と言う。
俺は真剣な顔で、そうか、と答えた。
しかしその。なんだ。
山口は.....成程。
少しだけアレなんだな、と思う。
動きがぎこちないとか、ポンコツなんだなと。
だが実の所はまだこれで終わりじゃなかった。
何がと言えばそうだな。
山口は.....最高にポンコツで。
しかも甘えん坊だった、と言ってしまえば分かるだろうか.....?
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