♡猫の煮干し貯金♡

x頭金x

第1話

 ドブに落ちた猫が抗議のために貯めていた煮干し貯金を鷺に差し出した。


「承りました」と鷺。その様子を見ていた狐が、「馬鹿だなぁ、僕ならもっと安く請け合うのに」と言った。


 猫は「そうですか」と言い、「次はあなたに頼みます」と言ってその場を後にした。


 猫はにやりと笑った。


 まんまと煮干し貯金を騙し取った鷺は、帰宅中、一本つまみ食いをした。


「うん、これは良い煮干しだ。ちゃんと煮て、干してある」


 上機嫌で羽ばたいていたが、突然、その羽ばたきは止み、地上へと落ちていった。煮干しを煮る時に毒を入れていたのだ。


 交渉の地から鷺の家までの導線上に待機していた猫たちは、落下した鷺をすぐに捕まえ、首を切り、血を抜いて、毒で侵された部位だけを切り取り、手際良く肉を切り分けた。


「今晩のおかずは鷺よ」


 どこの家庭でもその言葉が響いた。幸せ家族計画。




 またドブに落ちた猫が抗議のために貯めていた煮干し貯金を狐に差し出した。


「承りました」と狐。その様子を見ていた狸が、「馬鹿だなあ、僕ならもっと安く請け合うのに」と言った。


 猫は「そうですか」と言って、「次はあなたに頼みます」と言ってその場を後にした。


 猫はにやりと笑った。


 そんな事を繰り返しているうちに、請け合う値段は底値に達した。


 人間が言う。


「これっぽちの煮干しじゃあ商売にならないよ」


 さすが人間、エコノミックアニマル。おわり。





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