第224話 反撃と狙撃
「ここでデリートを使うわけには……」
マサトの連続攻撃を躱しながら、レンは呟く。ここで使ってしまえば、魔門が出現した時に消すだけの力が残らないかもしれない。
マサトが厄介すぎてレンは、苦戦を強いられていた。
「マキシマムマジック……ヘルウインド」
「マキシマムマジック、フラッシュ!」
強力な光を放ち、レンはマサトから距離を取って後退する。
『マスター、離脱をお勧めします。このままではジリ貧です』
このまま戦っても負けるだろうことはレンにも予想が出来る。すぐさまこの場所から移動することを選んだ。
「ヘルファイヤアロー」
レンの背後からマサトが魔法を放って追ってくる。
「錬金!」
地面を隆起させ壁を作り魔法を受け止め、移動する。壁でこちらを捉えることは出来ないと思い少し安心した瞬間に衝撃を受けることになる。
「転移……」
マサトが目の前に現れ剣を振りかぶって斬ってくる。
「転移だって!まずい!」
振り下ろされた剣はレンを切り裂いた……はずだったが、レンはまだ無事だった。
レンが傷ついていないことにマサトが少し疑問を覚えたような表情をするが再び攻撃がくる。
「もう次はない!錬金」
横っ飛びで回避して、再び地面を隆起させる。
『即死回避のお陰で命拾いしましたね』
「ああ、だけどこれ以上は、厳しいな」
さっきからギリギリなのだ。まさか転移まで使えるとは思わなかった。
『ここは、レイを使うこともやぶさかではないですね。後のことを考えてはいられないです』
「だよね、レイ」
『ああ』
レンの髪が真っ白に染まる。
レンの持っている剣に白いオーラが纏わり付く。
「はぁぁぁぁぁ!」
マサトに向かって剣を振ると、向こうも剣で対応してきた。だが、レンの剣がマサトの剣を触れた部分から消し去って斬りかかる。
「‼︎」
今度は、マサトが回避する番になった。剣を捨て後ろに後退していく。
「ふぅ……」
マサトの猛攻から一息つくことができ、少しほっとした。
『マスター、ここが攻め時です』
「ああ!」
レンがマサトに向かって一歩踏み出した。
「まだ生きておるのか、あの小僧。マサト相手になかなかやるのぉ」
アルファードとフェインドラと相対している元帥は、別の方向を見て言う。そこには、どこか楽しそうな様子すらあった。
「レンは無事か!」
「だが、いつまで保つか分からないからないね」
まだレンが無事であることに安心するが、いつどうなるかはわからないものだ。
「ホッホッホ、妙な技を使っておるのぉ。ちょいと攻撃させてもらおうかねぇ」
元帥がレンとマサトがいる方向に手をかざした。とてつもない衝撃波が放たれて飛んで行った。
「な……!」
「何をしたんだ!」
「ワシの攻撃を放っただけじゃよ。何、運が良ければ死なんで済むがのぉ。無理かのぉ」
ホッホッホと老人の笑い声にアルファードの武器を持つ手に力が入る。
「本当にお前達は、何がしたいんだ!」
「しっとるじゃろう?世界を滅茶苦茶にしたいのよぉ。お主の大事な友人も使役してすっかりこちら側じゃからのぉ〜」
歪んだ笑みを浮かべて元帥がアルファード達を見る。
「ふざけやがって!」
「そうですね、あなた方はそのような存在でした」
フェインドラとしても友であるアルファードの友が酷い仕打ちを受けたことを良く思うはずもなく怒りを感じている。
「さて、あっちの小僧の方も終わるじゃろうし、ワシの遊びもそろそろおしまいかのぉ」
あくびをする様に元帥が言う。
それに対して、アルファードとフェインドラは、怒りを力に変えつつ立ち向かおうとするのだった。
「はぁぁぁぁぁ!」
マサトの魔法をレンは、剣に付与したレイの力で消し去った。レンのステータス外スキルがマサトに勝っている。
『このままトドメを刺そう、レン』
「ああ、そうだね」
とレンがマサトに向かおうとした時、目にも止まらぬ速さで飛んできた衝撃波がレンを貫くのだった。
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