第222話 3対1と元帥出現

「そのまま、2人1組で押し返せ!」


 フェインドラが聖騎士に指示を出しながら、近くの魔族を斬り捨てる。聖騎士と魔族の戦いは、聖騎士が優位な状況にある。


「聖騎士長!ここは、我々で十分です。アルファード殿達の方に」


 隊長達がフェインドラに言ってくる。レンが落ち、アルファードが向かって方では未だに激戦の音が聞こえてくる。


「無理だけはするな!ここは頼んだ」


 と言いフェインドラも移動を始める。未だに激しい戦いが起きており、2人の無事を祈るばかりだった。







「はぁ……はぁ……」


 レンは息を吐きながら目の前の強敵を見据える。


「全く……あの頃よりも遥かに強くなってやがる。何があったんだ?」


 アルファードがマサトを睨みつけながら疑問の声を上げるが、マサトがそれに返事をすることはない。


「マキシマムマジック……ヘルファイヤ」


 ただ、魔法を唱えるのみで会話をしようとするような行動は見受けられない。


「フリーズ!」


「うぉぉぉぉぉ!」


 レンとアルファードが連携を行いそれに立ち向かって行く。


 魔法、それに剣の両方を使いこなした動きを見せるマサトにレンとアルファードは、なかなか攻めきれずにいた。


「確実に実力は負けてる!どうする……」


 マサトに近づくことすらも厄介で難しい。アルファードでも手を焼いているのは、かなり厳しい状況だと感じさせられる。


「聖技、ホーリースラッシュ!」


 アルファードと、マサトの間に誰かが入り込みマサトに対して技を放つ。白い光に包まれた剣にマサトが取った動きは回避だった。



「フェインドラ、向こうは大丈夫なのか?」


 アルファードが息を吐きながら聞く。


「ああ、今の状態なら問題ないな。それに、こっちの方が明らかに問題だ」


「そうか、ならさっさとこっちを片付けたいな」


 アルファードが剣を構え直して言う。マサトも再び戦闘態勢となっている。


「まさか、あれは本当に彼なんだな。死霊術か何かが関わっているのだろうか」


 フェインドラがマサトを見ながら呟くのを聞き、レンは、フェインドラもマサトのことを知っているのだろうと思う。


「さっき聖騎士長の攻撃を回避したのも光が弱点だったから……なのか?」


「それならチャンスがあるかもな。それに、こっちは3人になった!」


 流れがこちらに向かって来ている感覚を感じつつ、レンもいつでも動けるように魔法の準備をしておく。



「付与!」


 レンが言い、アルファードとフェインドラにオーラが纏う。自分よりも上位の力を持つ2人のサポートに回ることにした。


「行くぞ、フェインドラ」


「そうだな、アルファード」


 2人が凄まじい速度でマサトに向かって飛び込んでいく。レンの付与や神女の祈りなどもあり、いつも以上の実力を発揮できている。


「マキシマムマジック……っ!」


「させない!フラッシュ」


 マサトが魔法を使う前に、レンが魔法を放ち妨害を行う。やはり光の魔法が嫌なようで、動きが鈍くなっていた。


 その隙をアルファード達が見落とすはずもなく攻撃を行い押していく。


「このまま押すぞ!」


「ああ!」


 アルファードとフェインドラの連携はとても高いものであり、長年の2人の関係性が大きいものであることは良く窺える。


「フラッシュ!」


「ステータス外スキル、バーストカウンター!」


「ステータス外スキル、インビシブルスラッシュ!」


 レンの魔法そして、アルファードとフェインドラのステータス外スキルによる攻撃がマサトに炸裂し……


 凄まじい砂埃を舞い上げた。


「少しは決定打になったと思うんだが……」


 剣を砂埃の方に向けながらアルファードは、言う。


「ああ、私もここまでの攻撃が出来たことに驚いているくらいだ。効いていないとさすがに厳しい」


 アルファードも気を抜かない。



 徐々に砂煙が晴れてきて向こうの様子が見えてきた。ダメージが入った様子のマサトが立っていた。


「まだだけど、これなら!」


 とレンは次の魔法を放とうとするが、直後に何か嫌なものを感じた。


「なんだこりゃ?」


 マサトの近くの空間が歪み出したのだ。何かが出てこようとしており、陽炎のように揺らめいている。


「なっ……」


 フェインドラが息を飲むのを感じた。



 歪んだ空間からは、人が出てきたのだ。


「フォッ、フォッ、フォッ。様子はどうかと思って来てみれば苦戦しとるようじゃのう?」


 シワの入った老人だ。だが、その気配には覇気すら感じられた。


 レン自分の身体が緊張するのを感じた。


「誰だ?お前は」


 アルファードが剣を突きつけて聞く。


「ワシか?ワシはのぉ、スティグマのトップみたいなもんじゃなぁ!元帥なんて呼ばれとるよ」


 と言う。


 空気が固まるのを感じた、


 レンは厄介なものが現れてしまったなと思うのだった。

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