第175話 近く再びと変化
「あなたは、武道大会でレンと当たった……」
とフィレンがレミを見ながら呟く。
「フィレン、変わらないわね」
と言い、レミが少しの間元の姿に戻る。
「レミ!あなただったの。通りで強いわけね、あなたも変わってないわね」
まさかフィレンギルド長とも知り合いとは驚くことばかりだ。
「レミさんの人間関係広いね」
「ああ、本当だな」
なんでもフィレンが子供の頃に会ったこともあるらしく、それ以来数十年に一度位のペースで遭遇したとかしないとか……
「ギルド長が子供の時って何年前なんだろうか?」
ふとレンは疑問を口にした。
「ちょっと、レンそれは!」
「ええっと……確か……150年位前かなぁ?」
フィレンが会話を打ち切ろうとするもレミが言う。
「へぇ〜、かなり昔だな。ならギルド長は、160歳くら……」
「ああん?」
レンが言い終わる前に頬にフィレンのビンタが炸裂するのだった。
『さすがですね、マスター。地雷源を裸足で歩けるとは……』
とナビゲーターさんの言葉が頭に響く。レンは、赤くなった頬を撫でながら
「一瞬、般若が見えた」
と呟くのだった。前衛も出来るのではないかと言える攻撃だなと思った。
「聖女ネーヴァンは、グーで来るわよ」
とレミが教えてくれたが、さすがに言えそうにない。
「デリカシーがないよ、レン」
とエリアスにも怒られてしまう。本当に反省しようと思う。だが明らかに流れは年齢の方向に流れていっていたと思う。
レン、エリアス、レミとフィレンの4人は地下に降り立つ。
「あれ?前と匂いが変わってる……」
エリアスが呟く。かなり覚悟を決めて踏み込んだが予想を外れたようだ。
「これは一体……」
地下とは思えないような植物が生えている。かつてスティグマも地下に森を作り出していたがそれ以上に広大な森林が広がっている。ここが地下だとはとてもではないが考え難い景色だ。
「迷宮化ね……」
フィレンが呟く。ギルド長はこの事態を知っているようだ。
「なんですか?それは……」
「名前の通りよ。ある場所がなんらかの原因で迷宮の様に変化していくこと……ここの植物も地上じゃなかなか見ないものだわ」
とレミが説明する。
「光明の魔女って言われるくらいだものね。詳しいわね」
とフィレンが頷く。
「原因か……スティグマだろうか?とにかく厄介だ」
もしかすると魔物が出てくるかもしれないだろう。
「何が引き金で迷宮化が起きるかはまだ分かっていないわ」
とレミが言いながら、植物を観察している。
「多分、迷宮化が進んだのはここ数日だと思うわ」
とフィレンが言う。
「わかるんですか?」
レンとしてはさっぱりわからない。元の世界でもそこまで植物とかは詳しく無かったなと思う。
「スティグマの騒動以来、ハルカが地下に時々足を踏み入れてるわ。ちょっと前にも来ているはず……だからここ最近のものだと思うわ」
とフィレンが説明してくれる。ハルカも少しでもスティグマの情報を集めるために行動しているのだ。
「とりあえず、進む?」
とエリアスが聞いてきたため、進むことにした。立ち止まっていても始まらない。
「王都の地下が迷宮化……これについては、ちゃんと国王に報告しないとね」
とフィレンが言う。報告は確実に必要になる。結構大きな問題かもしれない。
「迷宮化って止められないのか?」
とレミに聞く。
「迷宮化した場所のどこかに核があるはず、それを潰せば治せるはず」
とのことだ。ラノベでよくある迷宮の壊し方と同じようだ。
「ここの地下の広さから考えると大変だね……」
とエリアスは、気が遠くなりそうだという反応だ。まず地下がどこまであるかも把握出来ていないので難しい。
「核を探しながらボチボチ進みましょう」
とレンが言い4人は進んでいく。
ある程度進んでも魔物が出てくるということはなく、まだ安心と考えても良い状況かもしれないと思う。
「ここはさっき来たわね」
とフィレンが先程地面につけた目印を見て言う。
地下は複雑な作りになっているため、そう簡単には進めなかった。レンのマップのスキルもかつて来た場所なのに表示がされないのだ。
『予想するに迷宮化で、場所が新しくなったと分析されているのでしょうね。再びマッピングの必要があります』
とナビゲーターさんが言う。
また最初からというのはなかなか大変なものだ。ゲームカセットのデータが飛んだ時は、かなりショックを受けたっけな?と思い出したりもする。
「本当に少しずつですがマップが見えてきました。こっちに行ってみましょう!」
とレンが別の道を指差す。
4人は、少しでも探索範囲を広げるために動くのだった。
王都地上
「……って言うことなのよ、聖女様」
とルティアが生命魔法を発動させながら、聖女ネーヴァンに話をしていた。レン達に話しておくように頼まれたのだ。
「スティグマに魔族ねぇ……そんなに王国を狙いたいのかい。本当なら厄介だよ、ルティアちゃん意識が緩んでるよ」
とネーヴァンが言う。会話をしつつしっかりとルティアに指導も行う。
「あ、ごめんなさい。それで地下に向かったのよ」
ルティアは、再び気合を入れ直す。
「人が多く集まってる王都……何も起きないでくれると良いんだけどね」
とネーヴァンが呟く。
「まあ、レンもいるから大丈夫よ!」
と聖女の前でもルティアは自信満々だ。
「そうだね、アルファードもいる。普段はおちゃらけてるけど役に立つさ。さて良い感じだね、次にいくよ!」
ネーヴァンは、今は少しでも目の前の少女を強くすることに集中する。
「待っときなさいよ!私も速く追いつけるように頑張るんだから」
とルティアは、レンやエリアスに並べるように強くなろうと思うのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます