第103話 対トレントと無茶振り
「これは……凄い!さっきまでと魔法の威力が桁違いだ」
魔物と戦いながらミラが喜びの声を上げる。レンのステータス改造によってミラは、上の段階に進んだ。
それにしてもミラの魔法は、使うたびに上達が速い気がするが、もしかすると賢者の卵の効果かもしれないなと興味深そうにレンはみる。
彼女も十分チートなのだが、レンの前では霞んでしまうのは仕方のないことだ。
ミラの調子が上がり、そこからガンガン迷宮を登っていく。
あっという間に20階層に到着する。大森林の階層だ。突然飛び出してくる魔物に驚きながらも、ミラは対応することが出来ていた。
「あれがボス部屋かな?」
エリアスが前方を指差しながら聞いてくる。一度レンは来たことがあるためすぐにわかった。
「そうだね。あれがボス部屋だ」
4人は扉に向かって歩いていく。大森林ではあるがここの道は歩きやすい方だ。
「あれ?敵がいないな……」
ボス部屋に入ってミラは呟く。
「目の前にいるからな!気を付けろよ」
とレンは、周りに教えておく。
「ここのボスはトレントか!」
エリアスは、剣を抜きながら答える。冒険者をこれまでもやっているので知ってるようだ。
「あれがねぇ……初めて見たわね」
ルティアは、知ってる様だが見るのは初めてのようだ。
「今回は3人で戦ってみてくれ」
とレンが声をかける。
「わかった、私が前に出るからミラは魔法で援護して。ダメージを負ったらルティアが回復を……後攻撃出来るなら無理せずにね」
とエリアスが言い魔法を使ってトレントに向かっていく。
「まかせなさい!」
「わかった!」
と2人は返事をして準備を始める。
「ライトニング!」
雷を纏ったエリアスは、トレントのツルを余裕でかわしながら本体に向かっていく。移動速度が前よりも上がったなとレンは思った。
「よーし、いくぞ!ファイヤボール」
ミラも魔法を放ちながらエリアスが進むのを援護していく。
「この程度の敵じゃエリアス達は、怪我しないわね。ファイヤドール……行きなさい!」
炎の人形がトレントのツルを燃やしながらも進んでいく。
「何その魔法!凄いんですけど!」
とミラがルティアの魔法を見て驚きの声を上げる。そういえば、初見だっただろうか。
「生命魔法との複合よ!私の思い通りに操れるわ」
と自信満々にルティアが言う。
「私も使ってみたいな」
ミラは羨ましそうに見ていた。
ルティア達の援護もありエリアスは本体の前にたどり着く。
「迷宮のトレントって結構大きいね。でも……装備変更、大剣!はぁぁぁぁぁぁ!」
跳躍してトレントの真上に来たエリアスは、武器を大剣に切り替えて頭上から叩き切る。
エリアスの大剣の攻撃によって真っ二つになったトレントが地面に横たわるのだった。
「終わってみるとあっさりだったわね」
とルティアが言う。
「2人とも強いなぁ……羨ましい〜」
ミラは、2人の戦いを見てやる気が上がったようだ。
「レン、前より強くなってた?」
エリアスは、すぐさまレンの所に行き聞いてくる。
「ああ、前よりも確実に強くなってるよ、エリアス」
と言いながらエリアスの頭を撫でる。尻尾がブンブン回っているため、嬉しそうだ。
「あらら、2人の空間が出来たわね」
「くうぅぅぅ!それも羨ましい」
と残されたルティアとミラが言っている。
気を取り直して、21階層を進み始める。
「迷宮って、完全に攻略したら何か良いもの貰えるかな〜?凄く興味があるんだよね!」
ミラが言い出した。
「たしかに気になるな……強力なアイテムとかお宝とかありそうだ……」
レンも興味はある。
「ルティアなら本とかで見たことない?」
「うーん、これまで三大迷宮は攻略されてないからね。何が貰えるかわからないけど……普通の迷宮ならお金になるものとかが貰えるわ」
とエリアスに聞かれたためルティアが説明してくれる。
「となると、三大迷宮とか言われてる位だから相当な物が貰えるかもしれないね!楽しみだなぁ」
ミラは何やら攻略報酬を楽しみにしているようだ。
「何だったらレンが今すぐ登ってきたら?朝飯前じゃないかしら?」
とルティアの無茶振りがくる。
「100階層まであるかもなんだろ?まだレベル的に難しいと思うぞ?」
とレンは答える。どこまで行けるかは正直試してみたいとは思ったが……
さすがに無理か〜とみんなで笑うのだった。
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