第102話 仮定とミラ改造
「あくまで仮定なんだけど、もしかしたらナビゲーターさんもレイみたいに俺の身体全体を使えるのかもしれないな……」
『なるほど……それは驚きの考えですね、マスター。そうなると、乗っ取り放題です』
スマホじゃないんだから……
さすがに発想が怖いなと思うが彼女はそんなことをする人(スキル)ではない……はず?
『相棒を疑わないでくださいよ、マスター』
とナビゲーターさんのため息が聞こえてくるようだった。
「悪い悪い。でもこの考えはあり得るだろう?ここは異世界、常識が通用しない……いや無いと言っても良い場所だから」
驚くべきことが起きても納得するしかないのだ。そうしなければこの世界で生きていけない。
『では、私がマスターの身体を自在に操れるようになれば、レイの力を使うためのヒントが掴めるかもしれないですね』
「そうそう!だからナビゲーターさんの協力がかなり必要だけど頼めるかな?と思って」
彼女の協力は、レンにとって必要不可欠なものだ。
『ええ、もちろん。私は、あなたの相棒なんですから!』
と良い返事をもらえた。
「それじゃあ、練習を始めようか……俺の魔法をナビゲーターさんが使った時の感覚で俺の身体を動かせるようになろう」
『わかりました。やってみましょう』
ナビゲーターさんがかなり頑張っているのが伝わってくる。スキルであるナビゲーターさんに努力させるというのも不思議なものだ。
『これは、なかなか難しいですね。身体を動かすというのは時間がかかりそうです』
とナビゲーターさんから返事が来る。彼女でも大変なようだ。
「そうか、じゃあボチボチやってこう。今日は、帰るとしようか」
と言いながら街に向かって歩き始める。その間もナビゲーターさんは、どうにかしようと頑張っていた。
朝になり、寝坊してエリアスに起こされてルティアに怒られてと1日が始まる。結構頑張っているつもりなので許して欲しいと思うが難しいようだ。
欠伸をしながら朝食を食べてるためエリアスが少し心配そうだ。
「ちゃんと眠れてないの?」
「いや……やりたいことが多くて。ついつい睡眠時間を削ってしまう」
言ってることは間違ってない。温かいスープで目を覚ましながら答える。
「考えごとはほどほどにしなさいよ」
と暴食も見慣れたルティアが言ってくる。
「お前は、食べる量をほどほどにしなさいよ」
と返しておく。王女様の扱いにも慣れたものだ。
「キー!表に出なさいよ。無礼を償わせてやる」
と言ってくるが、やっても返り討ちだろう。
「私達じゃ勝てないでしょうに……」
とミラが紅茶を飲みながら答える。一度、レン対3人というのをやるのも面白そうだと思う。
「今日も気合入れて迷宮攻略頑張るぞ!」
「「「おー!」」」
前回の続きで11階層に来たレン達は、迷宮攻略を再開する。
「ファイヤボール!やった、成功だ」
ミラが火球を放つことに成功した。
「習得が早いわね」
と羨ましそうにルティアが呟く。
「ルティアも十分早かったから、心配するなよ」
と声をかけておく。
「そういえば、ミラのステータスを改造しないの?」
「そうだな……ちょうど良い機会かもしれないからやっておくか」
エリアスが聞いてきたのでここでやることにする。ファイヤボールを出せるようになったのだ。それなりに努力はしたと言えるだろう。
「なになに?改造って。かなり興味深いんだけど!」
興奮した様子でミラが詰め寄ってくる。正直怖い。
一度、ミラを落ち着かせて説明を行う。あらかた話終わるとまたもや興奮して詰め寄る。
「なによ!ハッキングって!ずるい、ずる過ぎる。セコいぞこのチート人間!」
「ちょっ、落ち着けってー!」
レンの両肩を掴んでガンガン揺さぶる。もう発狂してると言ってもいいかもしれない。
「落ち着いて!」
「いい加減にしなさいよ!」
と言われながらエリアスとルティアに引き剥がされて連れて行かれる。
「ちくしょうーーーー!覚えとけよーーー!」
捨て台詞までしっかりと吐いていった。
「はぁぁぁ……これ大丈夫なのか?」
レンは少し不安になるのだった。
「えーと、よろしくお願いします」
エリアスとルティアにこってり絞られた様子のミラがレンの方に来て言ってくる。少し涙を浮かべているため、どんだけ厳しい説教をしたのだろうかと思ってしまう。
「よし、やっていこうか……手を出してね。ハッキング!」
『ミラ・タカミヤのステータスに接続します』
さて、どう強化するか……
「欲しいスキルある?」
「えーと!最強になれる奴で!」
欲望に忠実な解答が返ってきた。さすがはミラだと思う。
ミラ・タカミヤ(人間)Lv20
HP1090/1090
魔力1690/1690
攻撃力150
防御力210
〈スキル〉
異世界言語
初級全魔法
経験値増加
状態異常耐性
即死回避
使用魔力削減
魔法威力上昇
精神強化
〈称号〉
転移者
賢者の卵
加護を受けし者
「かなり必要になるものは入れておいたから、後はのんびり考えていこう」
「わかったよ。でもなんなら最強の力とかないものかなぁ〜」
とミラが呟いている。彼女にも努力の大切さを教えなければならないかもしれない。最悪、スキルをアンインストールするか?と黒いことを考えるレンだった。
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