第91話 余裕とボス部屋

「まぁ案外大したことないな……」


 現在レンが立っているのは、20階層。レンの周りには数体の魔物の死体が落ちている。


 それもそうだろう。レンのステータスでは、この階層の魔物は弱すぎるのだ。


「ステータス!」



レン・オリガミ(人間)Lv65

HP5780/5780

MP8250/8250

ATK1310

DEF990

〈スキル〉

異世界言語

 マップ

 上級鑑定

 経験値増加

 上級全魔法

 身体強化

 腕力上昇

 脚力上昇

 攻防強化

 斬撃強化

 打撃強化

 狙撃強化

 命中上昇

 使用魔力削減

 魔法効果上昇

 思考強化

 索敵

 即死回避

 状態異常耐性

 隠密

 強奪

 威圧

 付与

 採集技能

 ポーカーフェイス

 交渉術

 精神強化

 千里眼

 二刀流剣術

 状態異常攻撃

 ドレイン

 限界突破

 回復速度向上

 礼儀作法

 魔力操作

〈ユニークスキル〉

インストール

 アンインストール

 ロック

 フィルタリング

 ハッキング

〈称号〉

転移者

 スレイヤー(スライム、ゴブリン、ドラゴン)

 逃走者

 破黒の英雄

 加護を授けし者

 救世主



 色々なことがあった王都での戦いではあったが、その分レンは確実に強くなっている。だがそれでもレンにはわからないことがあった。


「やっぱり、あの力については何も載ってないな……」


 ナビゲーターさんが言うには、デリートなどの力の源であるレイと名乗る白髪の少年は、自らをレンのスキルと名乗ったとの事だ。


 だがステータスには何も載っていない……


「正直お手上げだよな……」


 今のレンに出来ることは、もう二度と暴走しないために強くなることだけだろう。




 20階層は、これまでの草原、浜辺ときて今度は大森林といったような場所だった。


「道に迷いそうだな……」


 道すらないように感じる。ただひたすら草木をかき分けながら進まないといけないようだ。


 草木が多いため、その中に魔物が紛れ込んでいることなどはよくある。パーティならばそれなりの対応が出来るだろうが、ソロの冒険者には厳しいものがある。


『ですが、マスターがこの程度の魔物に遅れを取ることはございませんね』


 とナビゲーターさんがレンを評価する。


「ありがとう、油断しないように気をつけるよ」


 前に油断から矢が刺さった場所をポンポンと叩きながら答える。



「やっぱりめんどくさいな……少し楽をしよう」


 と言いながらレンは魔法を発動する。


「ファイヤボール!」


 レンの周りには複数の火の玉が出現する。


 その時レンに向かって魔物が飛び出し攻撃してくるが魔法によってあっさりと燃やされる。


「自動迎撃システムみたいで良いな!」


 実際は自分で操作しているので自動でもないのだが、見た目は自動迎撃に見えているだろう。





 邪魔な草木を燃やしながら進んでいくと、巨大な扉が見えた。


「あれは、ボス部屋の扉」


 5階層刻みで存在するボスは、強力な強さを誇っているらしい。ここまでの階層でも戦ってきたが、瞬殺してきたので何とも言えない。



「さて、何が出るか…」


 と扉を開けながら呟くと、暗い部屋の中に明かりが灯っていく。初めて下の階層でこの演出を見たときは、この迷宮を作った人(?)はこだわってるなと思ったりしたものだ。


 部屋の中にも植物が生えていて、例えるなら風化した遺跡といったようなイメージだった。



「魔物はいない……なんてことはないな」


 とレンは呟く。そこにあるのは巨大な木だけで魔物が見当たる様子はない。しかし、レンは魔物の存在を感知していた。


「ファイヤボール!」


 巨大な木に向かって魔法を撃つと、その木が動き出す。



「トレントってやつね!」



 浜辺の階層では、海関係の魔物が出たわけではないが、今回は森林関係の魔物が出てきた。


 ドゴォッ!


 と音がしてレンの周囲の地面からは多くのツルが突き出して、今にもレンを串刺しにしようとしているかのようだ。


 即座に剣を抜いたレンは、次々に迫るツルを余裕の表情で切り裂いていく。


「すごい生命力だな、さすがは迷宮の魔物!」


 斬っても再生し攻撃を続けるツルを斬りながら面白そうに言う。




『本体を倒さなければ止まらないでしょうね』


 とナビゲーターさんが言うので少しずつ本体に近づいていくことにした。


 トレントが焦ったようにツルの数を増やすがレンにとっては全く脅威にならない。


「さすがに魔法で焼かないと厳しいかな?付与、炎の剣!」


 と剣に魔法を付与して本体に斬りかかる。


 炎の剣をくらったトレントは、体を再生しようとするが魔法で斬られているため思うように治せない。


 そしてそのまま、レンに斬り刻まれるのだった。




「丈夫な木だ!これは良い素材に出来そう」


 と言いながら、アイテムボックスにトレントを収納する。


 21階層に出たレンは、転移結晶に登録を行い迷宮を出ることにした。



 街中を歩きながら、良い屋台を見つけたため夜食を食べながらのんびりと宿に戻るのだった。

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