第88話 再会と対冒険者

 地上に帰還したレン達は、迷宮に入っている間に達成した依頼を報告するためにギルドに向かう。


「ルティアがほとんどの依頼をクリアしちまったな」


 とレンは2人に呟く。


「少しでも依頼を達成してランクを上げることにしたわ」


 ルティアもランクアップしたいと思っているみたいだ。ランクは上げていて損はない。



「はい、こちらが今回の報酬となります!お疲れ様でした」


 と受付嬢が言い報酬を渡してくる。


「ありがとう」


 と言いながらルティアが受け取っているのを見ながらレンとエリアスはボーっと待っているとギルドが騒がしくなる。



「おい、そこのネェちゃん。オレ達と遊ばないかぁ?もちろん断わらねぇだろう?」


「何たって俺たちゃDランク冒険者のズグル三兄弟だぜ?」


「ほらさっさと来いよ!楽しもうぜ」


 と女の子が冒険者に絡まれていた。




「酷い事をするね」


 とエリアスが呟く。


「ああ!見てられないな……」


 とレンも言いながら止めに行こうとすると、女の子が興味深い事をいう。


「ちょっと、離しなさいよ!あんたらに構ってる暇は無いんだから。全く、ギルドに入った途端にこのパターン?ラノベじゃ無いんだからこんな展開求めて無いわよ!」


 と女の子が暴れながら言っている。ラノベというワードが出たし、知っている声だった。


「ん?あれは……まさかな、高宮さん?」


 レンが元の世界での学校で同じクラスだった人だ。本を貸したりなんかもしたことがある、数少ない知り合いだ。肩にかかる位の黒髪に眼鏡、特徴も同じだ。


「えっ!もしかして折神くん?おお!こんなに早く会うことが出来るなんて。神様はいるのかもね。まさか、これが異世界の力か!」


 とこちらに気づき大声で言ってくる。


 ギルドにいる人たちは何を話しているのかわかってないようだった。しかし、彼女はあんなに喋る性格だっただろうか?とレンは疑問を持つ。


「困ってるみたいだけど助けがいる?」


 もしかしたらチートとか持ってるかもだし、助けがいるか聞いてみる。


「もちろんだよ!助けて折神くん!」


 とこれまた大きな声でレンに呼びかける。


 大きな声で言ったため多くの人がレンに注目する。


「ああ?何だお前の仲間か?」


「後ろにいる2人もなかなか可愛いじゃねぇか」


「おい、ガキ!怪我しないうちにさっさと帰んな」


 と冒険者が言ってくる。やはり俺に飛び火するか……と思いつつ前に出る。


「一旦外に出るとしようか?ここでは、目立つからね」


 と出入り口を指差す。




 ギルドでは目立つため外に出たレン達であったが、野次馬が多く集まり結局場所を変えた意味はなかったようだ。


 周りからは、どっちが勝つかなどの話が聞こえてきたり相手は、Dランクだが素行が悪くランクが上がらず本当はCくらいの実力があるかもしれないなど話が聞こえる。


「えーと、折神くん、こんな状況になってからで悪いんだけど勝てるのかな……」


 と高宮さんが後ろで言ってるのが聞こえるが、


「レンなら大丈夫」


「レンなら余裕よ!」


 とエリアスとルティアが自信満々に言っているのが聞こえる。



「ガキが、後悔すんなよ!」


 と言いながら武器を構える。3人とも兄弟とか言われるだけあり容姿が良く似ている。構え方すらも同じじゃね?と思ってしまうくらいだ。


「そうだな、じゃあまずはこれを見せておくよ」


 と言いながらレンはギルドカードを取り出す。色でランクがわかるようになっているためレンの実力を知ることが出来る。ちなみにBランクは銀色だ。


 周りからもざわめきが上がる。レンの実力に驚いたようだ。


「ちっ、格上かよ。だがな3人でかかれば勝てんだろ!」


 と言い突っ込んでくる。1人ずつとかは考えないのか……


 レンは、突っ込んでくるのを見ながら遅いなと思って見ていた。完全に隙だらけだ。


「そんなんじゃ、俺には勝てない」


 と呟き右端の男に蹴りを入れ3人まとめて吹き飛ばす。それもそのはず、ランクはBだがAランクを超える実力はあるのだ。前にもこんな倒し方をしたなとふと思い出す。


 蹴った時に、前にもこんなやり方をしたなと思った。


 さすがは冒険者だけあって気絶することはなくヨロヨロと起き上がっていた。


「全く見えねぇじゃねぇか」


「やばいのに喧嘩売っちまった……」


 と慌てている。


「まだ続けるか?」


 とレンが手から魔法でファイヤボールを出しながら聞くと男達はすぐさま逃げていった。絶対に勝てないというのを悟りながら……


「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!」


 と周囲から野次馬の歓声が上がる。


 レンは、特に反応することなく仲間の元に戻る。


「さて、目立っちゃったしここを離れよう」


 と声をかける。


「そうだね」


「そうね」


 とエリアスとルティアが答えるのだった。


「いくらなんでも強すぎるんじゃない?」


 とミラは衝撃をうけなからレン達に置いていかれないようについていくのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る