第44話 新たなユニークスキルと果たされる約束
レンは、防具が壊れ姿がわかってしまう状態のエリアスに近づく。
「大丈夫か?エリアス」
無事かを尋ねる。
「ええ!無事よ」
とエリアスが返事をくれる。
「それにしてもその格好はまずいな……錬金」
エリアス用に服を造る。そしてすぐにフードで顔を隠す。周りに呪いの影響が出るかもしれない。
「ありがとう!あと手袋も作ってもらえないかな?」
素手で触れるのもいけないのだ。
手袋を錬金魔法で作っているレンの脳内にアナウンスが流れる。
『レベルが60に達しましたのでユニークスキル、ハッキングを解放します』
ここで新たなユニークスキルが解放された。
(おいおい、ハッキングってスマホの域を超えてるようなスキルだな…)
結構危険そうな匂いがすると思った。
だがレンは、思った。
レンの考えが正しければ、レンがやりたいことを行える。
「考え込んでどうしたの?」
ボーッとしてるレンにエリアスが声をかける。
「なあエリアス、手を出してくれないか?」
レンは自分の手を差し出す。
「ええ、あなたなら呪いは効かない。それに呪いなんて無くてもレンになら……」
と言いながらレンの手に手を重ねる。そしてレンの手をギュッと握りしめる。
「ハッキング!」
ユニークスキルを発動する。
『エリアス・ミリーのステータスに接続します』
と音声がなる。
おお!ついにこの時が……
レンは歓喜したが、まだ成功してないと気持ちを整える。
「頼む、呪印をアンインストール!」
と祈るように呟く。するとレンのMPがエリアスに流れ込むのを感じた。
するとエリアスから黒いモヤのようなものが吹き出して、苦しむように暴れ消えていった。
「これは……一体どういうこと?」
未だにエリアスは、状況が飲み込めてなかった。
「落ち着いて、そうだ!これを持ってみてよ!」
レンは、アイテムボックスから一輪の綺麗な花を取り出しエリアスに手渡す。
「これを持ったら良いの?綺麗な花だし、触ったら枯れちゃうよ………あれ?……どうして枯れないの?」
エリアスは、花が枯れないことに驚いた。
「ようやく呪いが消えたんだよ、これでみんなと話せるね!」
とレンは微笑む。
エリアスは、ようやく理解した。長年、自分を苦しめた呪いが消えたことを。目の前にいる彼が自分を救ってくれたと……
これまでの多くの思いが涙となって頬を伝う。
「グスッ…ありが…と…レン」
エリアスは、涙を流しながら今まで見たことが無い最高の笑顔でレンにお礼を言った。
「ああ!本当に良かった…これで……」
とレンは言いながらエリアスのフードをとる。しかし、気が緩んでしまったのか、エリアスに倒れかかり気を失ってしまった。
「レン!どうしたの?大丈夫?」
という声はレンには聞こえなかった。
レンには、どこからか
「頑張ったね…」
と声が聞こえた気がした。
レンは目を覚ました。
「ここは…」
レンは、ベッドで寝ていたようだ。
「身体のあちこちに包帯が巻かれてる…イテテ!」
痛みがレンを襲う。
ふと視界を右斜め前に向けると、エリアスが椅子に座り、居眠りをしていた。
フルプレートでは無い、可愛いケモミミが見える姿だ。
「うーん?はっ!」
エリアスが目を覚まし、レンが目を覚ましていることに気づく。
「レン!起きたんだ。良かった……」
いきなりエリアスが飛びついてきてレンは、驚く。
「心配かけたみたいでごめんね……あーのー、俺は嬉しいんだけど当たってるのですが……」
柔らかな感触を感じ、レンは顔を赤くする。
「ひゃあぁ!ごめん」
と言ってエリアスも顔を赤くして引き下がる。
「身体の調子はどう?」
気を取り直し、レンはエリアスに聞く。
「あなたの方が危なかったかもしれないのに……」
とエリアスは言いながら、大丈夫と答える。
俺は、黒龍を倒し、エリアスの呪いを解いた後に倒れたようだ。
現在いる場所はギルド管轄の病院の様な場所で、まだ動いてはいけないとのことだ。
「エリアス、俺はどれくらい寝てた?」
と気になる質問をする。
これは1週間くらい寝てたとかだろうか……しまった、天井ネタをするの忘れてたと後悔する。精神的にはかなり元気だ。
「一日くらいよ!街では片付けとかが進んでるよ」
思ったより時間は進んでなかった。
「エリアスは、アリーと話したの?」
と聞いてみる。
「えーとまだ心の準備というか……片付けも忙しいだろうし……」
とモジモジしながら言う。
まだ出来て無いようだ。
ギルド職員は、今回のような時とても忙しいだろうとも予想できる。アリーも呪いが解けたことをまだ知らないのだろう。
ここで、看護師さんが入ってくる。
「目を覚まされましたか!ギルド長が面会したいとのことですが、よろしいでしょうか?」
と聞いてくる。
「ええ!構わないですよ」
と返事をする。
少し時間が経ち、ギルド長のフィレンとアリーも一緒に見舞いにやってきた。
アリーは、姿を隠していないエリアスを見て、一瞬思考が停止しすぐにハッとする。
レンは、エリアスに言う。
「ほら!話してきなよ」
と優しく背中を押す。
エリアスは、ゆっくりと歩き、アリーの手を握る。そして話す。
「久しぶり……アリー!また話せて嬉しいよ!」
と涙を流して言った。
「エリアス……私も嬉しい……」
とアリーも涙を流して言うのだった。
レンは、良かったと思いながら微笑むのだった。
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