第35話 飛行の上達とモンスターパレード
結局、図書館では呪いを解く手がかりを得ることはできなかった。本に載っていたのは、歴史上知られている呪いの効果や被害についてなどであったがエリアスのようなパターンは見つからなかった。
「アリーもきっとエリアスの声を聞きたいだろうし、呪いを解いてあげたいな……」
呪いにも軽いものがあり、軽い呪いならば優秀な回復術師が治すこともできるが、エリアスの呪いは相当に強いものらしい。
「もしかしたら、俺のレベルが上がれば呪いに効くユニークスキルが解放されるかもしれない……」
望みは薄いが、レベルアップが当面の目標になりそうだ。
「よし!明日も討伐系の依頼を受けるか」
レンは、気合いを入れる。
宿に帰ってから食堂でのんびりと夕食を食べていると、商人の会話が聞こえる。
「今回よう、魔物に襲われたら大変だから冒険者を大勢雇ったってのに、全然魔物が出なかったんだ。報酬で損したぜ」
「それゃツイてんのかツイてないのかわかんねぇな!」
この世界では、商人が移動の時に冒険者を雇うのは常識だ。魔物や盗賊なんかも出るからだ。実際に、お金をケチって酷い目にあったという話は珍しくない。
話を聞きながらレンは、冒険者は楽して儲けたなと軽く考えていた。
この時、まだ誰も気づいていない。街に危機が訪れようとしていることに…
食事が終わった後レンは、外に出て飛行の練習をしていた。重力魔法に風を合わせて飛行をしていた。
「初めての頃より飛べるようになっているな」
かなり自由に動けるようになっていた。空を飛ぶのは憧れていたためイメージがしやすかったのが良かったのかもしれない。
レンは、ぐんぐん高くまで飛んでみた。
上を見ると満天の星空が広がっている。
「ここまでの上空まで来ると地上で見るのとは大違いだ」
美しい景色に感動した。当分の間見つめていたい。
まだまだ練習は必要だがレンは、飛行に満足していた。
そして宿に戻り眠るのだった。
次の日ギルドに訪れたレンとエリアスは、違和感を感じていた。
「何で討伐依頼が一つもないんだ?」
「確かにおかしいよね」
エリアスがボソッと耳元で言う。
いつもはあるはずの討伐依頼がなかったのだ。ちなみに近くに人がいない場合はエリアスは街中でも話すようになった。
「街の付近で魔物が全く見当たらないのです」
アリーに尋ねたところこのように返ってきた。
レンとエリアスは、討伐依頼がないため調査の依頼を受けることにした。
封龍の森に向かった。
「最近おかしなことが多いが、何かの前兆なのか?」
レンは疑問を口にする。
「もしかしたら、モンスターパレードが起こるかもしれない」
とエリアスが聞いたことのない言葉を言った。
「モンスターパレード?」
「そう、2、30年に一度起きるものなんだけど。街に向かって魔物が大量に侵攻してくる」
と解説してくれた。
「パレードってお祭りみたいに言うのね」
素直な感想を言う。
「狂宴って感じかな?」
かなりまずいな、その表現……
「それで今回が、モンスターパレードの周期になるわけか……」
まさかこのタイミングで召喚されるとはと考えているとまさかの答えが返る。
「いいえ、モンスターパレードは10年前に起こったはず」
だとすると今回起こったら場合、かなりのイレギュラーになるわけだ。
「調べてみないことにはわからないけどね」
封龍の森が見えてきたため2人とも集中をする。
森の中は、恐ろしく静かだった。
「静か過ぎる!」
「ええ、何も起きないのが不思議」
ただ2人の歩く音がするのみだ。
「索敵……これは不味いんじゃないか」
スキルで探してみると、とんでもない数を捉えた。
「森の奥の方にとてつもない数の魔物がいる」
「本当に?近づき辛いね」
エリアスが苦い顔をする。
「俺は、隠密を使えるから1人で行ってこようか?」
と提案する。
「確かに私は、足手まといになりそうだからここら辺で身を隠して待ってる」
そして気をつけてと言う。
現在俺は、気配を消して森を進んでいた。
森の奥のには、大量の魔物がいた。まさに軍隊のように並んでいる。ゴブリンやオーク、オーガなんかもいる。
「これは、まずいな」
レンは、すぐさま撤退に移る。恐ろしさを感じた。
バレないようにエリアスの元に戻ってきた。
「エリアス、いるか?」
と静かに声をかける。
「ええ、どうだった?」
と状況を聞いてくる。
「最悪だな。魔物だらけだ。チラッと見ただけでも千はいるぞ」
見てきたものをエリアスに伝える。
「速くギルドに戻りましょう」
2人は、街に向かって走るのだった。
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