第4話
「僕はカレーだ。ここの代表者、僕に現状を教えてくれるかな?」
「はいっ!」
元気よく返事した兵士がいる。
「ジュリです! 私たちはドンドコ帝政を倒すべく、労働者による評議会を結成しました!」
「評議会?」
「そのとおりだ」
アムリンが進み出た。
「政治は市民たる労働者が握るべきだとは思わないか。私たちはそのための評議会を先ほど結成したところだ」
「ふむふむ」
カレーはにこにこした。そして言った。
「僕も評議会には賛成するよ。よければ君たちに協力させてもらえないかな」
「えっ!」
ジュリが叫んだ。
「あなたは、私たちを鎮圧しに来たんじゃないんですか?」
「そういうことになっているけど、僕にはそのつもりはないんだ。いいか、聞いてくれ」
カレーはジュリとアムリンを交互に見た。
「僕は社会民主党の党員だ。そしてこの馬鹿げた戦争を終わらせて、帝政を打倒すべきだと考えている。だからここで、戦争を続けようとする馬鹿な奴らを背後から一突きしてやろうじゃないか!」
「本気ですか?」
「本気だよ」
「ほんとのほんとに本気ですか?」
「本気だよ」
「わあ!」
ジュリは叫んだ。
一方アムリンは冷静だった。
「して、具体的に君はどのようなことをしてくれる、カレー殿?」
「カレーの名において、ここの水兵と労働者の待遇改善を約束しよう」
「それから?」
「僕には政治的な人脈がある。評議会に参加することになればおのずと政治界にも影響が出るだろう」
「なるほど」
アムリンは言った。
「政治家の方が味方についてくれるのはありがたい。どうだ、ここは逆に、カレー殿に評議会の総督になってもらうというのは」
おおーっとどよめきが上がった。
「さすがです、アムリンさん。敵である政府を逆に味方のカシラに祭り上げてしまうとは!」
「これくらいしたほうが、体制派には痛手だろう。革命もうまく進むと、私は判断した」
「やったあ、それじゃあ、私とアムリンさんとカレーさんの三人で、革命と評議会の活動を進めていくってことですね!?」
「そういうことだね。僕も頑張るよ」
「すごい!」
「ああ、すごいな。……みんな、ちょっといいか」
アムリンが声を張った。
「ここでの反乱は一旦終了としよう。その代わりみんな故郷に帰って、革命を全国に広めるんだ。活動はこの私が全面的に支援しよう。できるな?」
「おおーっ!!」
こうして軍港での反乱は一時的に収まった。
それと同時に、ドンドコ革命が始まったのだった。
革命の火は各地に広まった。ドンドコ帝国の南から北まで、広範囲にわたって。
「どういうことなの」
パクリダやケーキが悲鳴を上げたが、もう遅かった。
事態は、動き出してしまった。
何故かミナシだけは、タバコをふかしながら、にやにやと状況を傍観していた。
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