惑星開拓ロボ(仮題)設定検討編

冴吹稔

第1話 ナガン=スタンウェイ社の植民計画

 遥か未来。銀河系のとある居住可能惑星で繁栄を続ける人類だったが、そこはかつての母星ほどに、分厚い資源と生命圏を有していたわけではなかった。

 欠乏する希少元素、減少していく生物多様性と環境復元力。突破口を求めていくつもの企業が巨額の資金を投じ研究を続ける中、総合商社ナガン=スタンウェイはついに、宇宙の彼方に居住可能惑星を有する恒星系を発見した。


 スペクトル分析によって選び出されたその惑星は「ボミキス」と名付けられた――


 この時点での最高の科学技術をかき集め、乗組員と開拓者を世代交代なしで送り込むための宇宙船、ロアノーク号が建造された。

 それはブラックホール近傍の歪曲空間を利用し、船内の経過時間を極限まで減速しつつ亜光速で進むという方法を取る、疑似超光速航法船だ。


 ボミキスまでの距離は三百光年。船内で体感半年ほどを過ごすうちに、船外では三百年を超える時間が経過する。それまで暮らした世界でのあらゆるつながりを断ち切り捨てて、ナガン社と契約を結んだ二百人ばかりの開拓者たちが宇宙を突き進む。


 だが、彼らがブラックホールの残滓を拭い去られて通常空間に戻った時。


 眼下に広がるボミキスの大地には三百年の間にさらなる技術発展を成し遂げた人類による、後発の開拓団が既に先行者として独自の社会を築いていたのだった――


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 というのがそもそもの発端になります。


 次回、「ロアノーク号の乗組員と開拓用ロボット群」

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