第483話 どうして2人が!!
てなわけで! 現在は馬車にて、王宮へ移動してるわけだけど……
「お待たせ致しました。
こちらお飲み物と、軽いお菓子をご用意させていただきました」
「気を遣わせてしまって悪いな」
「ありがとうございます」
「ありがたく頂戴します」
「いえ、とんでもございません。
お客様をおまたなしするのは当然のことですので。
お嬢様には特製のココアをご用意致しました」
「ありがとう、ファナ」
この状況で全く動じる事なく、見事に動けるのは流石だと思うし。
何も言わずとも紅茶ではなく、ココアを用意してくれるところとか、流石はファナだと言わざるを得ない。
でも! だもだよ!!
確かにここ最近はずっと冒険者として活動したり、悪魔王国にいたりしてたし。
私が貴族令嬢として振る舞う機会は少なかった。
ファナが私をお世話する事を生き甲斐だと言っているのは、ルスキューレ家では周知の事実だし。
珍しく貴族令嬢として振る舞う私のお世話をできて、それはもうイキイキとしたいい笑顔で喜んでくれてるのはいいんだけど……
「ふむ、美味い。
流石はソフィーの専属だな」
「お褒めに預かり光栄です」
ファナの淹れた紅茶を飲んで満足気に微笑むネヴィラお姉様と、私の後ろに控えて優雅に一礼するファナ。
うんまぁ、ネヴィラお姉様がこの場にいるのはわかる。
それは私としても納得できるし、文句なんて全くない。
「彼女のおかげでこうして一息つく事もできたわけだが……ソフィー、早速だが本題に入ろうか」
本当なら優雅な所作で脚を組むネヴィラお姉様の言葉に、全面的に同意する所なんだけど……
「その前に、一つだけよろしいでしょうか?」
「ん? どうした?」
いやいやいや! どうした? じゃなくてっ!!
私から見て右側、私の対面に座っているネヴィラお姉様の左側にある2人掛けのソファー。
そこにに座ってる…… めちゃくちゃ見覚えのある顔!!
「どうして2人が!! この2人がここにいるんですかっ!?」
「「ッ〜!!」」
薄い青の髪に水色の瞳の青年と、燃えるような赤い瞳と短髪をした青年。
セドリックの側近であり、乙女ゲームの攻略対象でもあるサイラスとガイルがなんでいるわけっ!?
というか何をビックリした顔してんの! こっちがビックリするわよ!!
この2人はセドリック陣営、つまり私達は敵同士と言える状況にある。
ネヴィラお姉様がこの2人を連れて来たから、仕方なく馬車には乗せたけど。
ネヴィラお姉様はいったいどういうおつもりで……あっ、あの顔は普通に面白がってる顔だわ。
「まぁまぁ、少し落ち着きなさい。
私は問題ないが、この2人にソフィーの覇気は少々キツいだろうからな」
「むぅ、失敬な。
私は感情的になって覇気を撒き散らすようなヘマはしません!」
私は人類最強の一角たるSランク冒険者の中でも、規格外のルミエ様とガルスさんに次ぐ序列3位。
つまりは実質的な頂点に君臨する実力者! そんなミスをする私じゃないのである!!
「今のはちょっと魔力が漏れて、威圧しちゃってただけです」
なにせこの2人は敵なわけですし。
何をしに来たのかは知らないけど、軽い威嚇くらいはしとかないと!
「今のがちょっと……はっはっはっ、ソフィーの成長が嬉しいやら寂しいやら、すっかりソフィーも私を軽く超えて規格外になってしまったな」
う〜ん、それはどうだろう?
ついこの前も、自身の弱さを痛感したばかりだし。
「まぁ何にせよ、ソフィーの威圧はこの2人にとっては荷が重い。
威圧するのはやめてあげてくれないか?」
「……わかりました」
ネヴィラお姉様にお願いまでされてしまっては仕方がない。
「「っは……!!」」
お、おおう、呼吸もまともにできてなかったのね。
それは何というか……ちょっと申し訳ないです。
「ルスキューレ嬢、あなたは…いったい……」
「やはり、貴女は……」
「さてと、それで本題なんだが」
「えっ」
まだ絶賛肩で息をしてるんですけど、この2人へのフォローというか配慮は無しですか!?
「まずソフィーも気になっている、この2人を連れて来た理由だが……実は私も詳しくは知らんのだ」
「ネヴィラお姉様……」
いやまぁ、そんな事だろうとは思ってましたけど!!
「まぁそう睨むな。
ソフィーにどうしても話があると言うのでな、それなら直接聞いた方がいいだろうと思ってこうして連れて来たわけだ」
そりゃあ、ジト目にもなりますよ! それに断言できる!!
絶対にその方が面白いと思って、2人を連れて来ましたよねっ!?
「それで……サイラス・エドウィン、ガイル・アレス、お前達の話とは何だ?」
「「っ!!」」
さっきまでの面白がっていた雰囲気が一変して、ネヴィラお姉様から発せられる重厚な緊張感にサイラスとガイルが息を呑んで姿勢を正す。
「私も同席させて貰うが異論は許さん。
今この場で嘘偽りなく、ソフィーへの話とやらを聞かせろ」
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