第467話 本来の姿
「……」
ふふん! 声も出せずに愕然としてる、クソ女神は最高に滑稽で面白いけど。
そんな事は今はどうでもいい。
「ねぇ」
「ッ──!!?」
「お前如きがこの私を無視していいと、思ってるの?」
必殺の確信があった攻撃が通用しなくて取り乱し、現実を目の当たりにして愕然としてる?
だからなんだ、私の質問に答えないなんて許されるはずがない。
私は神とか以前に怠惰で、強欲で、傲慢で、欲望に忠実な大罪を統べる非常にワガママな原初の悪魔。
私の質問を無視するとか、そんな愚かな真似は邪神ですらしないのに。
「もう一度聞く。
心して答えろ……お前、今なんて言った?」
「──ッ!!」
ふむ、流石というべきか、なんというべきか。
心して答えろって忠告までしてあげたのに、それでも2度目も私の質問に答えずに無視して、飛び退いて距離をとるなんて。
「なんて言ったとは、なんの話です!?」
なんの話って、もしかして時間稼ぎのつもりなのかな?
それとも本当に私の質問の意図が理解できてないだけ?
まぁどっちでもいいけど、この期に及んでまだ状況が正しく理解できていないらしい。
べキュッ……!!
耳障りな鈍い音が鳴り響き……
「──は?」
焦燥感たっぷりな顔から一転! 愕然と目を見開いてクソ女神がマヌケな声をこぼす。
そしてゆっくりと怠慢な動きで音の発生源である、自身の左腕を見下ろし……
「あ、あぁぁぁぁあぁっ!?」
情けない悲鳴をあげる。
「うるさい、〝黙れ〟」
「ッ〜!!!」
2度も私を無視したヤツなのに。
それもクソ女神にも関わらず、片腕をグチャグチャに捻り潰すだけで済ませてあげるとか、我ながら本当に寛大で優しいわ〜。
「仕方ないからもう一度だけ、もっと簡潔に聞いてやる」
ゆっくりとクソ女神に近づき、黒く染まった髪を掴んで瞳を覗き込む。
「無駄な言葉は発さず、私の質問に答えない事も、嘘をつく事も許さない。
黙って私の質問にだけ、嘘偽りなく答えろ」
普段……というよりもここ10数年だけど。
とにかく普段は押さえ込んでいる力を解き放ち、一気に膨れ上がる私の
「いま誰を殺すと言った?」
苛立ちと共にクソ女神に向けた覇気、神威によって私を中心に衝撃波が駆け巡る。
「いま誰に殺気を向けた??」
私の魔素と神威に耐えきれずに大気が、大地が、空間が……世界そのものが悲鳴をあげ──
バサァ……
瞬間。
世界が静寂に包まれ、クソ女神が唖然と目を見開く。
「次は無い」
久しぶりに力を解き放ち……顕現する私の本来の姿である翼を。
ふわっふわで触り心地抜群にも関わらず、雄大かつ神聖で威厳たっぷりな純白と漆黒、6対12枚の翼をバサァっと広げて揺らしながら……
「
私の本当の力に、この姿に目を見開いていたクソ女神の瞳が徐々に恐怖に染まるのを見下ろし。
「〝話す事を許可する〟」
簡潔に命じた。
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