第461話 予定通り

 しっかし、もう私に勝ったつもりですかって……


「当然!」


 そうに決まってるじゃん!

 というかそもそも! 人間共やクソ女神達は勘違いしていたのかもしれないけど、初めからこれは私とクソ女神の戦いなんかじゃない。


 これは一方的な蹂躙劇であり……私の! 私による! 私のための! ただのお遊びにすぎないっ!

 それに人間共やクソ女神達はは想像もしてないだろうけど、初めから全てはこの私の掌の上なのだよっ!!


「あはっ!」


 これが笑わずにいられるだろうか?

 否っ! この状況下にも関わらず、まだクソ女神が余裕綽々って態度で、その表情も崩してないのは癪だけど。

 楽しくて! 愉しくて! 笑いが止まらないわっ!!


「ふふっ、レフィーお嬢様があんなにも生き生きと!」


「ご主人様、本当に楽しそうですね!」


「このレフィー様を直接見られないのは少し可哀想ですが……」


「それはあの方の自業自得ですよ」


 無表情に定評がある私だけど……シルヴィアやミーシャが話してるように、きっと今は誰もが見惚れちゃうような満面の笑みを浮かべているはず!

 それはつまりっ! 今の私は非常に希少レアな状態という事に他ならないっ!!


 むふふっ! 残念だったな、ファル……いいや、ファルニクスよっ!!

 ミリアが憐れんで、リリィーがバッサリ自業自得って切り捨ててるように、超希少な私を見逃した事をしっかりと後悔するがいいっ!!


「皆様もう少し真面目に!

 あの方々を倒す事が、レフィーお姉様からの勅命なんですからっ!」


「アリシアの言いっている事は尤もです。

 しかし……あの一件から気落ちされていたレフィーお嬢様が、あんなにも生き生きと楽しそうにしていらっしゃるのですよ?

 ならば眷属として、従者として、我々にはレフィーお嬢様を見守る使命があるのですっ!!」


「シルヴィア様……」


 シルヴィアの熱弁? を受けて、アリシアが呆れてるけど気持ちはわかる。

 だって私が楽しそうにしてるから見守る使命があるとか、シルヴィアの言ってる事は意味不明だもん。


 でもまぁ、うん。

 ああ見えてシルヴィアは七魔公のみんなよりもなお高位。

 悪魔公デーモンロードの……悪魔界の頂点に君臨する帝位の悪魔公という、正真正銘の大悪魔!


 普段は完璧で超絶有能な私の専属メイドだから忘れがちだけど、言ってしまえば私に次ぐ悪魔の中の悪魔なわけだし。

 悪魔たる者! 欲望に忠実なのは至極当然なのである!!


 だから意味不明でも仕方ないんだよね。

 結局のところそれっぽい理由を無理やりつけて言い訳してるだけで、自身の欲望を叶えようとしてるだけだもん。

 しかも……


「それにあの程度の者共の相手など、グランとセラフィルの2人で十分です」


 チラッとあの程度の者共こと、グランとセラフィルの2人と対峙するミカエルと……他3人の天使羽虫達をみて、シルヴィアのいう通り!

 はっきり言ってミカエル達の相手はグランとセラフィルの2人で十分。


 他のハリボテ熾天使共も急速かつ一方的にその数を減らしてるし、そう時間がかからないうちに殲滅し終えると思う。

 よって! アリシアは真面目な良い子だからああ言ってたけど、本当にシルヴィア達が参戦する必要は全くないんだよね〜。


「ウフフッ……」


「むっ」


 クソ女神め、この状況でもなお笑みを浮かべるとは。

 そう、お前は本当に……


「当然、ですか。

 確かに自我を持たないあの子達は、もうすぐ貴女の軍勢によって殲滅されるでしょう」


 狂って、壊れるて、狂気の世界こっち側に堕ちて来たんだ!!


「ですが」


 ニタァっと!

 あのクソ女神が! かつて主神として君臨した、アバズレ聖女と仲良く脳内お花畑で、自己愛に満ちた女神アナスタシアがっ!!


 かつての大戦時と……400年前と比べて同一人物とは思えない程に!

 あんなにも狂気に狂ったように顔を歪ませちゃってっ!!


「全ては予定通り。

 魔神レフィー、この400年で貴女は少しぬるくなり過ぎたようですね。

 この程度で終わったつもりになるなんて……私をガッカリさせないでください」


 見下すように、それでいて愉悦に濁った目でクソ女神が私を見据え……


「まだまだ本番はこれからなのですからっ!!」


 瞬間──クソ女神の魔素エネルギー量が跳ね上がった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る