第456話 浄化を始めましょう

 楽しそうな……それこそ、世界の命運を賭けた戦いと言っても過言じゃないのに、まるでスポーツの試合でも観戦しているようなネフェリアス様の気軽さ!


「はい、全員座ってドリンクも持ったね?」


 こうして一瞬で私達を転移させて、その上これまた一瞬でどこかから出現させたソファーに座らせて、さらには飲み物まで用意してた事もだけど……


 世界の命運を賭けた戦いを前にして、この落ち着きよう!

 そして何より! この大陸全土をなんでもないかのように、神域で覆っているという事実っ!!


「ん? どうかしたかな、ソフィーくん」


「い、いえ! なんでもありません!!」


 ネフェリアス様って悪魔王国でも敬われてるし、国王である竜神ファルニクス様からも閣下って呼ばれるほど。

 それに最高神様っていってたから、すごいんだろうなぁーとは思ってたけど……やっぱりすごかったんだ!!


「ふふっ! やっとソフィーくんも、私の凄さがわかったようだね」


「っ!?」


 こ、心を読まれたっ!


「私は最高神だよ? その程度はできて当然だよ」


「た、確かに……」


 言われてみれば、最高神様であるネフェリアス様が、私程度の心を読めないはずがなっ……


「ッ〜!!」


 なに、これ……


「おっ、ついに始まったみたいだね!」


 始まったって、これって本当に大丈夫なの?

 ネフェリアス様は気楽そうに言ってるけど……女神アナスタシアから放たられる圧倒的な。


 Sランク冒険者にして、人類最強の一角に名を連ねる私達ですら。

 ルミエ様ですら息を呑んで、思わず身を震わせちゃうほどの強大な魔素エネルギー

 空が、大地が、世界が揺れる! 空間が軋む!


 レフィーちゃんによって、黒く染まっていた空が白い光に塗りつぶされる。

 天が……世界がそのままのしかかってきたかのような、押し潰される錯覚を抱かされるような、凄まじい重圧っ!!


「これが……神」


 神と呼ばれる者の……超越者へと至った存在の中でも、神能を有する者の力っ!!


「私の可愛い子達よ、降臨して悪き者達を退けるのです!」



 ゴーン、ゴーン



 厳かな鐘の音が鳴り響き……さっきレフィーちゃんが出した、漆黒の門と対をなすような白亜の門が!


「開け……天界門」



 ────!!



「っ!」


 今度は……


「ラッパの音?」


 ラッパの旋律と共に白亜の門が開いて行き……


「これって……」


 空を……天を埋め尽くす白き翼! 数万にも及ぶ天使の大軍勢っ!?


「さぁ……この世界の浄化を始めましょう」

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