第437話 魔の森の中心へ
魔物の軍勢が魔の森まで引き下がったのを確認したあと、王都のことはみんなに任せて別れたわけだけど……
「う〜ん」
「さっきから難しい顔をしているみたいだけれど、どうかしたの?」
「ルミエ様……いえ、別に大した事ではないんですけど……」
「ふふっ、なにかしら?
ソフィーのことならどんなに些細な事でも、なんでも話を聞くわよ」
うん、ニコニコとそれはもう、ご機嫌そうで何よりですけど。
「こほん、それじゃあ言わせてもらいますね……」
私とルミエ様にエレンお兄様とフィルの4人は、ミカエル達の案内で魔の森を歩いてる。
ミカエル曰く、目的地は魔の森の中心部。
だから冒険者ギルドが定めたS級危険領域という、本来なら一般人はもちろん一流の冒険者でも助からないような超危険な場所をのんびりと歩いてるのは別にいい。
だって私達は人類最強の一角であるSランク冒険者だし、ミカエル達も
そんな事よりも……
「なんで、こんな事になってるんですかっ!!」
「うふふっ、ソフィーったら可愛いわ〜」
問題なのは、私が今いる場所がルミエ様の腕の中だという事実っ!!
そう、腕の中にっ!!!
「ルミエ様! 早く俺にも代わってください!!」
「ふふっ、いつまでも撫でていられるわね」
「あはは……」
フィルも苦笑いしてないで助けてよっ!
「この輝くような真っ白な毛並み。
クリッとした紫の大きな瞳。
愛らしい白色の子猫の姿も、本当にお母様そっくりだわ」
「うんうん! いつものソフィーも世界一可愛くて美しいけど、子猫の姿になっても俺達のソフィーは世界一だ!!」
ルミエ様とエレンお兄様のいう通り……私は今っ! 人間ではなく真っ白な子猫の姿になって、ルミエ様に抱っこされて運ばれてるわけだけど……
「うぅ〜」
なんでこんな事に……!
「ったく、お前らなぁ……嬢ちゃんを愛でるのはいいが、もうちょっと緊張感を持てよ」
いいがじゃないっ!
なんか呆れたように言ってるけど、そこをスルーしないでガルスさん!!
というか! 元々の発端はガルスさんなのにっ!!
ガルスさんがどんな状況になっても私を守れるようにする必要があるって、言い出したからこうなったんですからね!?
別に守ってもらわなくても、この一年で私は更に強くなってるのに……
それなのに、みんなしてソフィーは危なっかしいからって、私の意見は見事とに却下されて。
当事者である私を抜きに話が勝手に進んで……気がついたら子猫の姿になって、ルミエ様の腕の中にいた。
「ふぅ」
いや、普通こうはならないでしょ!!
気がついたら子猫になってたって何っ!?
確かに
ルミエ様のお母様である魔法神ティフィア様は、そんな七魔公の皆様すら従える
ルミエ様が動物に変身できても不思議じゃない。
不思議じゃないけど……まさか他者まで動物に変身させる事ができちゃうだなんて。
流石に想定外すぎるんですけど。
というか! ガルスさんの言う通り……
私が子猫になった事をスルーするのはよくないけども。
もうちょっと周囲を警戒するとか、緊張感を持ちましょうよ。
ここはS級危険領域の魔の森ですよ?
「お楽しみのところ、申し訳ありませんが……そろそろ到着しますよ」
え? 今向かってるなって、魔の森の中心部じゃ……この森はめちゃくちゃ広大だし、普通に歩いてるだけだと中心部まで行くのにも丸一日以上はかかるハズなんですけど。
「この先に我ら光の使徒の本部へと移動するための、転移魔法陣があるのです。
それを用いて光の使徒の本部……魔の森の中心に移動します」
な、なるほど。
まぁ、このペースで歩いてたらめっちゃ時間がかかるもんね!
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