第25章 女神降臨編

第436話 参りましょうか

「お待たせしました」


 動きをピタッと止めた、魔物達の大軍勢の真っ只中にある……会談場所にSランク冒険者のみんなを率いて、ゆっくりと優雅に降り立つ。


 よし! 我ながら完璧だわ!!

 さっきは有無を言わさないフィルに従っちゃったけど、私はSランク冒険者のリーダー!

 これでちょっとは威厳が保てたはずっ!


「いえ、時間ちょうどですのでお気になさらず。

 それでは……早速ですが、答えを聞かせていただけますか?」


「無論です。

 私達は……貴方達の提案を受けようと思います」


「っ! それはよかった。

 では、たった今より我々は協力関係にある、ということですね」


「はい、その通り……」


「ただし、条件がある」


 フィ、フィル?

 ここは私がビシっ! っと決めるところなんですけど……


「条件、ですか?」


「えぇ、この場で血液のみを手渡す事は可能ですか?」


「申し訳ありませんが、それはできません。

 道を繋ぐためには特異点たる愛子である、ソフィア・ルスキューレさんの魔力を多分に含んだ新鮮な血液が必要となりますので」


「そうですか……はっきり言って、僕達は貴方達を信頼も信用もしていません」


 ちょっ!? フィル、いきなりなにを口走ってっ!!


「なので、ソフィーに僕を含めた数名が同伴させてもらいます」


「もちろん構いませんよ。

 いくら協力関係を築くといっても、元々我々は敵対していた者同士。

 信頼できないのは当然ですからね」


 いやまぁ、それはそうだけどさ。

 ミカエルもこう言ってくれたるからよかったものの……フィルさんや、普通それを口に出して言っちゃうかな?


「それともう1つ。

 今すぐこの魔物の軍勢を引かせてください、これをやってるのは貴方達ですよね?」


「ふむ……皆様が我らを信頼しても信用してもいないように、我らも皆様を信頼も信用もできていません。

 この魔物共を排除すると、そちら側が約束を反故にする可能性が否めませんね」


「なにも片付けてほしいと言っているわけではありませんよ。

 ただこの場から引くだけ、僕達が約束を反故にするようなら即座にまた襲撃させればいい。

 貴方達なら可能でしょう?」


 まぁ、どうやってるかは不明だけど……ミカエル達4人が、この魔物達の大軍勢を操っているのは明らか。

 だって現に今も、ピタッと一斉に動きを止めてるわけだし。


「ふふっ、いいでしょう。

 二つ目の条件ものみましょう。

 他に何か条件はありますか?」


「いえ、この2つで結構です」


 Sランク冒険者側のリーダーは私なのに。

 私を抜きにして話が進む……


「それでは早速、参りましょうか……封印の地。

 魔の森の中心部へ」

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