第432話 熾天使の提案
「っ!!」
マジですか。
ミカエルの翼が2対から3対になっちゃったんですけどっ!?
「流石に驚いてもらえたようですね」
それはもう、心底びっくりしてるわ。
だってまさか、ミカエルが本当に
「ふんっ、最高位天使である
いかに特異点たる愛子とはいえ、ただの人間に過ぎない彼女が驚き、声も出せないのは当然かと」
エメラルドグリーンの瞳と髪をもつ美女こと、
そうじゃないっ!
いやまぁ確かに、最高位天使である熾天使なだけあって、解き放たれたミカエルの魔素は凄かったよ?
でも……それだけ。
ぶっちゃけ、あの程度の魔素はもう慣れちゃってるといいますか。
悪魔王国ナイトメアでもっと凄い人達を見てきた事もあって、特に思うところは何もない。
「すぅ〜」
ファエルの事はひとまず置いておくとして、息を大きく吸い込んで軽く深呼吸……よし!
「ふむ」
私がびっくりしたのは、ミカエルの魔素量じゃなくて……ミカエルが熾天使だったという事実。
今からちょうど400年前に起こった、大陸全土を巻き込んだ大戦。
聖魔大戦とは……一般的にはレオン陛下やルーナ様達、八魔王の内の
大賢者であるマリア先生や、現人神と称される帝国の皇帝陛下が活躍して、伝説に語られるようになったきっかけであり。
魔法神ティフィア様が魔王の怒りを沈め、魔王は罪人達に裁きを下すことで平穏が戻った。
これが正式な歴史書や子供向けの絵本にも登場する、魔法神様の神話として誰もが知ってる超有名な聖魔大戦の内容な訳だけど。
事実は異なる。
「……」
私達が悪魔王国ナイトメアで知ったこの世界の真実は、400年前の聖魔大戦における真実は大きく異なる。
確かに魔王と人類との戦争だった事は事実だし、人類に神が協力したのも事実。
けど……真実の歴史では、人類と神は協力して魔王に立ち向かうもの、怒り狂う魔王を前になす術なく惨敗を喫している。
そもそも、かの聖魔大戦が勃発した原因たる、大いなる罪を犯した罪人がその人類の代表と神なわけだし。
世間一般でいうところの魔法神ティフィア様が、激怒した魔王様ご本人なんだけど。
かの御方は魔神と畏れられる最古の魔王であり、実際に神へと至った女神様でもあるわけで。
とにかく! 真実は一般的に知られている内容とかなり違ってるんだけど……その聖魔大戦において、神と共に魔王に立ち向かった
五大熾天と呼ばれた彼らも、もちろん魔王の怒りに触れて裁きを下される事になった。
その結果なぜか堕天して、魔王こと世間一般でいう魔法神ティフィアの配下になった。
その堕天した元五大熾天の方々とは、悪魔王国ナイトメアで実際に会ったし、これは間違いない。
そして熾天使が5人しか
「なるほど」
まっ! 実際に目の前に存在しちゃってるわけだし、ぐだぐだ考えても仕方がない!!
「貴方が本当に熾天使だという事は理解しました。
それでは双方の自己紹介も終わった事ですし、早速ですが本題を聞かせていただいても?」
「貴様っ! 無礼だぞ、このお方は最高位天使たる熾天使であらせられる!!
今すぐ頭を垂れ、跪くがいいっ!!」
えぇ……さっきから敵意と戦意全開な目で私達を睨んでたけど、このウリエルって人はここが対話の場だって事を理解してないのかな?
「ウリエル、控えなさい」
「し、しかしっ!」
「くどい」
「ッ──!!」
ミカエルから発せられる重圧に、ウリエルが息を呑んで目を見開く。
「も、申し訳ありません。
出しゃばった真似をいたしました……」
おぉ〜、ウリエルが素直に謝った。
どうやら彼らの間には厳格な上下関係があるらしい。
「私の配下が申し訳ない」
「いえ、構いませんよ」
乙女ゲームのガイルよろしく、脳筋って結構いるもんだし。
「ありがとうございます。
それでは、本題ですが……もう既に貴女方も知っているかと思います」
それは、まぁね。
「しかし、そのために貴女方と争い、無駄な被害を出す事は我々としても本意ではありません。
そこでです……Sランク冒険者の皆様、我らに協力していただけませんか?」
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