第419話 来ちゃったわ!
「「「「「────!!!」」」」」
名実ともに誰もが認める、美しく気品に満ち溢れた完璧なカーテシーを披露する後ろから……空気を震わせるようなどよめきが響き渡る。
「随分な騒ぎになってるみてぇだが……いいのか?」
「問題ありません」
王都の住人はもちろん騎士団の騎士達や、王宮にいる各国の王をはじめすると重鎮達。
とにかく! 王都レ・フィーアにいる人々を安心させるために、この映像と音声を魔法で投影して生中継してるわけだけど。
まさかの明日から始まる世界会議に、八魔王が一角である獣魔王レオン陛下が参加されるって聞いて驚くのは当然!
けどそれは、さっきまでの恐怖と不安に満ちたパニックじゃなくて、純粋な驚愕からくるもの。
騒ぎにはなるだろうけど、そもそもが世界会議の時期は世界中から各国の王達や重鎮が集結することもあって、毎日がお祭り騒ぎみたいな感じだし。
それで何か問題が起こるわけでもないしね。
「それでは、私達が王宮までご案内いたします」
本来なら各国の王族や重鎮達が到着した場合、外壁の正門で待機している騎士達が護送をしつつ王宮まで送り届けるんだけど……さすがに魔王であるレオン陛下の案内を任せるのは、ちょっと可哀そうだもん。
まぁ、何はともあれ! フィルとフィルのお父様……つまりは、レフィア神聖王国の現国王陛下との打ち合わせで決めた、事前の予定通り!
これでちゃんと、レオン陛下の事は周知できたはず!!
「ふふっ」
事前に今回の世界会議には魔王の一角が参加するなんて発表すると、大騒ぎになるのは確実!
それに信じてもらえない可能性が高いって事で、事前に公表はしなかったわけだけど。
実際にその目で見てもらってから、私達Sランク冒険者が動く事で混乱を治めつつ、今回の会議には史上初めてとなる魔王の一角が出席するという事実を周知する。
この完璧な作戦を立案したのは、何を隠そうこの私っ!
うんうん! 我ながら素晴らしい作戦だったわ!!
さてと……これで獣魔王レオン陛下紹介大作戦は、無事に完遂されたわけですし。
王都中に投影してる、映像と音声を切ってっと。
「あの、ソフィーちゃん」
「イヴさん、どうかしましたか?」
「もしかして、さっき言っていた教団の襲撃を受けた4組のうちの、最後の1つって……」
「いかにも! レオン陛下が率いる、獣王国ビスバロニスです。
けど真なる魔王であるレオン陛下を襲うなんて、教団もおバカさんですよね〜」
「うん、そうよね。
この状況だし、それ以外にあり得ないわよね」
あ、あれ? イヴさん……?
なんで疲れたように目頭を揉みながらため息を……
「あのな、お嬢。
お嬢が獣魔王レオン殿と面識があるのは知ってたけど……こんな重要な事はせめて、事前に言っておいてくれ」
「えっ、私言ってなかったでしたっけ?」
ま、またまた〜、ロイさんったら冗談ばっかり。
さすがに今回のことは、みんなにはしっかりと伝えて……ないな、うん。
そういえば、フィルとフィルのお父様と3人でしてた打ち合わせ。
ひと段落してフィルのお父様が自ら、ご用意してくださった秘蔵のワインを一口飲んだところから記憶がない。
まぁ自動迎撃用の魔法を常時展開してるし、フィルにイタズラされた心配はないけど……目が覚めたら、いつのまにか王宮内に用意されていた私の部屋のベッドの上だった。
それからファナに怒られて……
「「「「「「「「「「言ってない」」」」」」」」」」
「うっ、ごめんなさい……」
なんだかんだで、伝えるのを忘れてたわ。
「と、とにかく! 早くレオン陛下達を王城に案な……」
「ソフィー!」
「ほわっ!?」
こ、この声は!
「カ、カリンさん!?」
「ふふふっ、久しぶりね」
「はい、お久しぶりです……じゃなくて!!」
いきなり抱きつかれたらビックリするとか、色々と言いたい事はあるんだけど。
それよりもっ!!
「どうしてカリンさんがここにっ!?」
「うふっ、お父様にお願いして来ちゃったわ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます